似た意味を持つ「兎にも角にも」(読み方:とにもかくにも)と「兎に角」(読み方:とにかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「兎にも角にも」と「兎に角」という言葉は、どちらも他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「兎にも角にも」と「兎に角」の違い
「兎にも角にも」と「兎に角」の意味の違い
「兎にも角にも」と「兎に角」の違いを分かりやすく言うと、「兎にも角にも」とは一般的ではない、「兎に角」とは一般的という違いです。
「兎にも角にも」と「兎に角」の使い方の違い
一つ目の「兎にも角にも」を使った分かりやすい例としては、「人を待たせるんだから兎にも角にも急いだ方がいいと思う」「兎にも角にもここまで辿り着きました着きました」「子育てするには兎にも角にも就職することが必要です」などがあります。
二つ目の「兎に角」を使った分かりやすい例としては、「試験結果は兎に角どれだけ勉強してきたが大切です」「もう遅刻するのは間違いないけど兎に角行ってみよう」「考えてるだけでは始まらないので兎に角やってみることにした」「兎に角彼女に聞いてみましょう」などがあります。
「兎にも角にも」と「兎に角」はどちらも他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことを意味している言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「兎に角」は「兎にも角にも」を省略した言葉
「兎に角」は「兎にも角にも」を省略した言葉ですが、「兎に角」の方が広く一般的に使われています。そのため、「兎にも角にも」は一般的ではない言葉に対して、「兎に角」は一般的というのが違いになります。
また、「兎に角」は「〇〇は兎に角」の形で上の事柄には関わらないという気持ちを表すことの意味として使うのも違いの一つです。
「兎にも角にも」と「兎に角」の英語表記の違い
「兎にも角にも」も「兎に角」も英語にすると「anyway」「anyhow」となり、例えば上記の「兎に角彼女に聞いてみましょう」を英語にすると「Let’s ask her anyway」となります。
「兎にも角にも」の意味
「兎にも角にも」とは
「兎にも角にも」とは、他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことを意味しています。
「兎にも角にも」の使い方
「兎にも角にも」を使った分かりやすい例としては、「兎にも角にもここまでこぎつけることができました」「兎にも角にもここまで進むことが出来て良かった」「これを行なうには兎にも角にも情報が必要です」などがあります。
「兎にも角にも」は色々な問題があるものの物事を行う場合によく使います。何はともあれやいずれにしてもというニュアンスで使うと覚えておけばいいでしょう。
「兎にも角にも」の由来
「兎にも角にも」の兎と角は当て字になります。この当て字は「兎角亀毛」(読み方:とかくきもう)から来たと言われています。
兎角亀毛とは、兎に角や亀に毛は存在しないため、現実にはあり得ないものの喩えとして使われたり、実際には無いものをあるとすることです。
上記の意味からも分かるように、「兎にも角にも」と兎角亀毛の意味は全く関係性はありません。そのため、一種の言葉遊びとして使われているようです。
「兎にも角にも」の類語
「兎にも角にも」の類語・類義語としては、せめてのことを意味する「少なくとも」、どんな経過を辿っても結果が同じであることを意味する「何の道」(読み方:どのみち)、他の事はどうであろうとものことを意味する「何はともあれ」などがあります。
「兎に角」の意味
「兎に角」とは
「兎に角」とは、他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことを意味しています。その他にも、上の事柄には関わらないという気持ちを表すことの意味も持っています。
「兎に角」の使い方
「兎に角話すだけ話してみようと思います」「間に合うかどうか分からないが兎に角行ってみようと思う」などの文中で使われている「兎に角」は、「他の事柄は別問題としてという気持ちを表すこと」の意味で使われています。
一方、「結果は兎に角努力することは大切です」「彼は兎に角あなた全く上達していないので居残り練習です」などの文中で使われている「兎に角」は、「上の事柄には関わらないという気持ちを表すこと」の意味で使われています。
「兎に角」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。
一つ目の他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことの意味は、色々な問題があるものの物事を行う場合によく使います。何はともあれやいずれにしてもというニュアンスで使うと覚えておけばいいでしょう。
二つ目の上の事柄には関わらないという気持ちを表すことの意味は、「〇〇は兎に角」という形で使い、ある物事は置いておいてというニュアンスで使います。
「兎に角」の由来
「兎に角」の由来は仏教用語の「兎角亀毛」(読み方:とかくきもう)です。兎角亀毛とは、兎に角や亀に毛は存在しないため、現実にはあり得ないものの喩えとして使われたり、実際には無いものをあるとすることの意味で使われています。
ただし、兎角亀毛の意味は「兎に角」と全く関係ありません。ただ単に、漢字を拝借して当て字にしたと言われています。ではなぜこの当て字が広まったのかというと、夏目漱石が多用したことが原因です。
また、「兎に角」は平安時代から江戸時代までは、「兎に角に」の形で用いられていましたが、時代が経つにつれ「兎に角」と省略されるようになりました。
「兎に角」の類語
「兎に角」の類語・類義語としては、他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことを意味する「兎も角」、どんな事実や事情があってもという気持ちを表すことを意味する「何しろ」、一先ずその事柄を問題から外すことを意味する「さておき」などがあります。
「兎にも角にも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他の事柄は別問題としてという気持ちを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「兎にも角にも」はそれはさておきや、いずれにしてもというニュアンスで使う言葉になります。
「兎に角」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他の事柄は別問題としてという気持ちを表現したい時などが挙げられます。その他にも、上の事柄には関わらないという気持ちを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「兎に角」は他の事柄は別問題としてという気持ちを表すこと、例文4と例文5の「兎に角」は上の事柄には関わらないという気持ちを表すことの意味で使っています。
「兎にも角にも」と「兎に角」はどちらも他の事柄は別問題としてという気持ちを表すことを意味しています。どちらの言葉を使うか迷った場合は、広く一般的に使われている「兎に角」の方を使うようにしましょう。