【扇動】と【煽動】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「せんどう」という読み方の「扇動」と「煽動」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「扇動」と「煽動」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




扇動と煽動の違い

扇動と煽動の意味の違い

扇動と煽動の違いを分かりやすく言うと、扇動とは常用漢字を用いた書き方、煽動とは常用外漢字を用いた書き方という違いです。

扇動と煽動の使い方の違い

一つ目の扇動を使った分かりやすい例としては、「扇動者は群衆心理を上手に利用します」「彼は一流の大衆扇動家でした」「扇動による情報操作があった」「フェイクニュースの扇動に翻弄されてはいけません」されなどがあります。

二つ目の煽動を使った分かりやすい例としては、「民衆煽動して紛争を起こす」「ウソの情報で人々を煽動しようとする」「ヒトラーはいかにして大衆を煽動したか」「暴力を挑発する煽動的な発言を繰り返した」などがあります。

扇動と煽動の使い分け方

扇動と煽動という言葉は、どちらも「せんどう」と読み、同じ意味を持つ言葉です。英語のagitationアジテーションの訳語であり、強い調子の文章や演説などによって人々の気持ちをあおり、紛争や暴動などの行動を起こすように仕向けることを意味します。

二つの言葉の違いは「せん」の漢字表記にあります。「扇」は常用漢字表に記載されている漢字ですが、「煽」は常用漢字表に記載されていません。そのため、公用文や新聞などに用いる場合には「扇動」と表記することが適切です。

ただし、扇動と煽動は全く同じ意味の言葉であり、どちらの漢字を使っても間違いではありません。使いやすい方の漢字を使って良いものなので、好みに合わせて使い分けることが可能です。

扇動と煽動の英語表記の違い

扇動も煽動も英語にすると「agitation」「abetment」「instigation」となり、例えば上記の「扇動者」を英語にすると「agitator」となります。

扇動の意味

扇動とは

扇動とは、気持ちをあおり、ある行動を起こすように仕向けることを意味しています。

扇動の読み方

扇動の読み方は「せんどう」です。誤って「おうどう」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「扇動する」「扇動政治家」「大衆扇動」

「扇動する」「扇動政治家」「大衆扇動」などが、扇動を使った一般的な言い回しです。

扇動の使い方

扇動を使った分かりやすい例としては、「民衆を煽り立てる扇動政治家が多い時代がありました」「明治以前の人々は大衆扇動力に操られていました」「デマは扇動的に流す虚偽の情報です」「真のリーダーは希望を先導し、不安を扇動することはない」などがあります。

その他にも、「彼は扇動的発言を繰り返していた」「ドイツには民衆扇動罪という罪があります」「日本で扇動を行うことは犯罪行為なのだろうか」「英語教師が生徒のいじめを扇動したらしい」「野党がデモ隊と扇動している」などがあります。

扇動の「扇」は訓読みで「おうぎ」と読み、風を送ることや、人をそそのかして事を起こさせることを表します。変化を引き起こすことを表す「動」と結び付き、扇動とは、人の気持をあおり立てて、ある行動を起こすように仕向けることを意味します。

「扇動罪」の意味

扇動を用いた日本語には、「扇動罪」があります。扇動罪とは、書や言動により人の感情に強く訴えて、違法な行為を決意させたり決意を強めるようにあおりたてる罪のことです。「煽動罪」とも書き表します。

ドイツには「民衆扇動罪」があります。民衆扇動罪はドイツ刑法典130条に定められている罪であり、特定の民族や宗教などの集団に対する憎悪をかき立てて、暴力を誘発するような行為を禁止するものです。

扇動の対義語

扇動の対義語・反対語としては、いさめて思いとどまらせることを意味する「諌止」、他人の言動を押さえとどめることを意味する「制止」などがあります。

扇動の類語

扇動の類語・類義語としては、相手を刺激して事件や紛争などを引き起こすように仕向けることを意味する「挑発」、意見や思想を盛んに唱えて広く賛成を得ようとすることを意味する「鼓吹」、相手をおだてあげて自分の思うとおりのことをさせることを意味する「けしかける」などがあります。

煽動の意味

煽動とは

煽動とは、気持ちをあおり、ある行動を起こすように仕向けることを意味しています。

煽動の読み方

煽動の読み方は「せんどう」です。「煽」は訓読みで「あおる」と読みますが、この場合は音読みで「せん」と読みます。

煽動の使い方

煽動を使った分かりやすい例としては、「暴力をさらに煽動する恐れがある」「在日外国人に対する差別煽動は許されない行為です」「外国で内乱煽動罪に問われ投獄された」「雄弁な煽動家に揺さぶられてしまう」などがあります。

その他にも、「新人議員が煽動的な発言で物議を醸している」「英語圏のメディアは煽動的な表現を使っている」「狡猾な煽動者に影響されてしまった」「なぜ人々は容易に煽動に乗るのでしょうか」などがあります。

煽動とは、前述した「扇動」の別表記であり、大衆の意見や行動を特定の方向へ導き、ある行動を起こさせるようにすることを意味します。英語のagitationの訳語であり、「アジテーション」または「アジ」と言い換えられます。

「煽動政治家」の意味

煽動を用いた日本語には「煽動政治家」があります。煽動政治家とは、扇動で大衆を動かそうとする政治家のことであり、激しい調子の演説などによって民衆の感情に訴えることにより、権力を得て目的を達成しようとする政治家のことです。「扇動政治家」とも書きます。

煽動の対義語

煽動の対義語・反対語としては、くいとめることや妨げることを意味する「阻止」、おさえつけて活動などをやめさせることを意味する「抑止」などがあります。

煽動の類語

煽動の類語・類義語としては、ある物事に強く働く勢いを意味する「あおり」、励まして気持ちを奮いたたせることを意味する「鼓舞」、人をそそのかして何かをさせることを意味する「焚き付ける」、強い調子の演説などによって人の気持ちをあおることを意味する「アジテーション」などがあります。

扇動の例文

1.インターネットにはフェイクニュースで世間を扇動する人もいるから、気をつけた方がいいよ。
2.SNSのインフルエンサーは、扇動家のようにフォロワー達に影響を与えている。
3.グローバル化というフレーズに扇動されて、日本の英語教育は加熱するばかりです。
4.なぜ日本には、ドイツの大衆扇動罪のような規定がないのだろうか。
5.戦争や人種差別を扇動するあらゆるプロパガンダは、法律で禁止するべきだと思います。
6.今思えば彼は自社の製品を売るために巧みな話術で都合のいい話ばかりを強調し来場者を扇動しようとしていた。
7.社会科の教師はヒトラーはいかにして大衆を扇動したかを調べさせることで、生徒達のメディアリテラシーを高めようとしました。
8.扇動者は社会の脆弱な部分にアプローチし、人々の恐怖心を煽り立てるので、注意が必要だ。
9.あの国では党の権力強化のために、民族主義を人民に扇動し、抗日運動を展開していました。
10.クラスのリーダー格が、いじめを扇動した結果、その生徒は学校へいけなくなってしまいました。

この言葉がよく使われる場面としては、。大衆の意見や行動を特定の方向へ直接導くための意図的活動を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にある「扇動」は、常用外漢字を用いた「煽動」に置き換えても問題ありません。

煽動の例文

1.インターネット上に、差別をあおったりテロを煽動するようなコンテンツが急増しているようです。
2.不況が長引くなかで、教育産業は英語能力こそが就職のよりどころだと煽動している。
3.古代ギリシアの煽動的民衆指導者であるデマゴーグは、民衆の感情に訴えることにより権力を得ようとしました。
4.人種差別を煽動するヘイトスピーチは、法律で取り締まるべきだと思います。
5.煽動罪は憲法で保障されている言論や表現の自由に反する可能性があるので、慎重に取り扱う必要があるだろう。
6.その国では不安定な社会情勢を利用して、反政府運動を煽動する勢力が存在している。
7.政治団体の幹部に煽動された若者を中心とする支持者達は、夜にもかかわらず政党本部に押しかけて抗議を行った。
8.メディアがいたずらに感染症の恐怖を煽ることで、社会全体が不安定になり、人々の心理に影響を及ぼすことがある。
9.ネット上での差別煽動については、冗談では済む話ではなく、法律で厳しく取り締まるべきだと思います。
10.独裁者は国民の間に恐怖を煽り、自らの権力を保つために、陰謀めいた虚偽の情報を流布した。

この言葉がよく使われる場面としては、大衆に特定の観念を与え,情緒に訴えて一定の方向に行動を起こさせるようにすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文の「煽動」は、常用漢字を用いた「扇動」に置き換えることができます。

扇動と煽動という言葉は、どちらも「ある行動を起こすように仕向けること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、公的な書類などに記載する場合は常用漢字である「扇動」を使うと良いでしょう。その他の場合には、好みにより使用することができます。

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