【お茶を濁す】と【言葉を濁す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「お茶を濁す」(読み方:おちゃをにごす)と「言葉を濁す」(読み方:ことばをにごす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」という言葉は、どちらもその場をごまかすを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「お茶を濁す」と「言葉を濁す」の違い

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」の意味の違い

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」の違いを分かりやすく言うと、「お茶を濁す」は言動だけではなく態度や振る舞いにも使えるのに対して、「言葉を濁す」は言動に対してのみ使われるという違いです。

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」の使い方の違い

一つ目の「お茶を濁す」を使った分かりやすい例としては、「彼は冗談を言ってお茶を濁す」「あまりにもしつこく聞いてくるのでお茶を濁すことにした」「彼女は曖昧な返事でお茶を濁す」「彼は安いプレゼントでお茶を濁しました」などがあります。

二つ目の「言葉を濁す」を使った分かりやすい例としては、「彼女は言葉を濁して本心を明かさない」「彼は言葉を濁して真実を語ろうとしませんでした」「彼女はいつも言葉を濁す」などがあります。

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」の使い分け方

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」はどちらもその場をごまかすを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「お茶を濁す」は「彼はいつも曖昧な返事でお茶を濁す」「若い社員もいるので部長の私が一万や二万でお茶を濁すわけにはいきません」などのように、言動だけではなく態度や振る舞いに対しても使うことができます。

一方、「言葉を濁す」は「彼はいつも曖昧な返事で言葉を濁す」のように言動に対しては使うことができますが、「若い社員もいるので部長の私が一万や二万で言葉を濁すわけにはいきません」は間違った使い方となり、態度や振る舞いに対しても使うことはできないというのが違いです。

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」の英語表記の違い

「お茶を濁す」を英語にすると「make do with」「get by」となり、例えば上記の「彼は安いプレゼントでお茶を濁しました」を英語にすると「He made do with a cheap present」となります。

一方、「言葉を濁す」を英語にすると「speak ambiguously」「equivocate」「do not commit oneself」となり、例えば上記の「彼女はいつも言葉を濁す」を英語にすると「She always speak ambiguously」となります。

「お茶を濁す」の意味

「お茶を濁す」とは

「お茶を濁す」とは、いい加減に言ったりしてその場をごまかすことを意味しています。

表現方法は「お茶を濁す人」「お茶を濁す程度」

「お茶を濁す人」「お茶を濁す程度」などが、「お茶を濁す」を使った一般的な言い回しになります。

「お茶を濁す」の使い方

「お茶を濁す」を使った分かりやすい例としては、「大事な場面でお茶を濁すなんて意識が低いと思います」「彼がお茶を濁しているのはお見通しです」「彼女は記者からの質問に対してお茶を濁す」「お茶を濁す人は出世できないだろう」などがあります。

「お茶を濁す」はいい加減に言ったりしてその場をごまかすことを意味する慣用句です。慣用句とは二語以上の単語が結合して、それ全体である特定の意味を表す言葉のことを指しています。

「お茶を濁す」はただごまかすだけではなく、自分に不利な状況をきちんと解決せずに、その場凌ぎで結論を先延ばしにして逃れる場合に使うので、マイナスなイメージを持つ言葉です。そのため、ビジネスシーンではあまり好ましくない行動とされています。

「お茶を濁す」の由来

「お茶を濁す」の由来は抹茶です。抹茶は本来、いくつかの決められた手順に従って点てるのが正式な作法です。しかし、その作法を知らない初心者がお茶をかき混ぜて濁らせることで抹茶らしく見せてその場を取り繕うとしました。

このことが転じて、いい加減に言ったりしてその場をごまかすことを「お茶を濁す」と言うようになったのです。

「お茶を濁す」の類語

「お茶を濁す」の類語・類義語としては、不都合などを隠そうとして上辺を飾ることを意味する「取り繕う」、あとのことは考えずにその場だけを取り繕うことを意味する「その場凌ぎ」、判断や考えなどを混乱させることを意味する「惑わす」などがあります。

「言葉を濁す」の意味

「言葉を濁す」とは

「言葉を濁す」とは、はっきり言わないで曖昧に言うことを意味しています。

表現方法は「言葉を濁す人」「言葉を濁す心理」

「言葉を濁す人」「言葉を濁す心理」などが、「言葉を濁す」を使った一般的な言い回しになります。

「言葉を濁す」の使い方

「言葉を濁す」を使った分かりやすい例としては、「彼は言葉を濁して本当のことを言おうとはしません」「言葉を濁してばかりでは他人からの信用は得られないだろう」「彼はいつも言葉を濁している」「夫の言葉を濁す態度に腹が立ってきました」などがあります。

「言葉を濁す」は、はっきり言わないで曖昧に言うことを意味する慣用句です。そのため、基本的にマイナスなイメージでのみ使われている言葉になります。

「言葉を濁す」は「彼はいつも言葉を濁しているのでみんなから信用されていない」のように、言動に対してのみ使える言葉です。他人の態度や立ち振る舞いにに対しては使うことができないと覚えておきましょう。

「言葉を濁す」の似た言葉として「口を濁す」という言葉があります。いくつか記載されている辞書はあるものの、文化庁では認められていない言葉です。

文化庁が発表した平成28年度に行われた国語に関する世論調査では、正しい日本語である「言葉を濁す」を使う人が73.4%、正しい日本語ではない「口を濁す」で使う人が17.5%という結果がでています。

「口を濁す」は17.5%という少数派ではあるが無視できない数であるため、そのうち認められる可能性があるかもしれません。

「言葉を濁す」の類語

「言葉を濁す」の類語・類義語としては、物事がどうなのかはっきりしないことを意味する「うやむやにする」、事の成り行きなどを明瞭に言わないことを意味する「はっきり言わない」、物事がはっきりしないことを意味する「曖昧」などがあります。

「お茶を濁す」の例文

1.お茶を濁すのではなくきちんと説明していれば、彼と分かり合えたのだろう。
2.彼は仕事の話をするとお茶を濁すで、きっと就職していないのだろう。
3.社員がお金を出すっていうのに、社長の私が一万や二万でお茶を濁すわけにはいきません。
4.彼女は飲み会の話になるとお茶を濁すので、きっと参加したくないのだろう。
5.問題を起こした議員はお茶を濁して、本題に答えずに質疑応答は終わりました。
6.甥の進学先は決まった?と姉に聞いたら、薄笑いを浮かべてお茶を濁したので受験がうまくいかなかったのかなと感じた。
7.彼は会議で商談の失敗について質問されると、うまくお茶を濁して別の話題に移していた。
8.友人は外資系企業の社員だったが、社長の重要な質問に対して、具体的な答えを避けてお茶を濁したので、クビになったそうだ。
9.彼女はデートをすっぽかした理由を問われ、急に体調不良だったとお茶を濁していた。
10.彼は自分の未熟さを隠すため、仕事の進行状況については常にお茶を濁してばかりいたので、信用を失った。

この言葉がよく使われる場面としては、いい加減に言ったりしてその場をごまかすことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「お茶を濁す」はマイナスなイメージで使われている言葉です。

「言葉を濁す」の例文

1.彼は記者会見で言葉を濁して、マスコミからの追及を逃れようとしています。
2.彼女に本当のことを言うわけにはいかないので、言葉を濁してその場を逃れようとしました。
3.人事部に異動を願い出たものの、言葉を濁されたので異動できる可能性はあまり高くないだろう。
4.彼女を傷つけないために言葉を濁したが、これが本当に正しいことなのだろうか。
5.事件の真相を突き止めるために、とある人物を訪ねたが、彼は言葉を濁して真実を言おうとはしませんでした。
6.契約が切れる私たちが会社に残れるように掛け合うと上司が言ってくれたが、最近言葉を濁すようになったので不調に終わったのだろう。
7.その政治家は証人喚問で言葉を濁して回答し、真実を明らかにしないようにしています。
8.記者たちは彼の言葉を濁す態度に不満を抱き、一部の記者が言葉を荒らげました。
9.プレゼンテーションでの質疑応答では、明確な回答が求められて言葉を濁すことは許されませんから、何度も想定問答をしました。
10.その声明文は言葉を濁しており、具体的な立場や意図が明確にされていませんから、玉虫色の決着に終わったということでしょう。

この言葉がよく使われる場面としては、はっきり言わないで曖昧に言うことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「言葉を濁す」はマイナスなイメージで使われている言葉です。

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」はどちらもその場をごまかすを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、言動だけではなく態度や振る舞いに対しても使えるのが「お茶を濁す」、言動だけにしか使えないのが「言葉を濁す」と覚えておきましょう。

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