似た意味を持つ「おられる」と「いらっしゃる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「おられる」と「いらっしゃる」という言葉は、どちらも居るの敬語を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「おられる」と「いらっしゃる」の違い
「おられる」と「いらっしゃる」の意味の違い
「おられる」と「いらっしゃる」の違いを分かりやすく言うと、かしこまった場面では「おられる」よりも「いらっしゃる」の方を使うという違いです。
「おられる」と「いらっしゃる」の使い方の違い
一つ目の「おられる」を使った分かりやすい例としては、「今日は暑いせいか夏場のような格好してる人がおられる」「本日課長はおられますか」「お客様は現在待合室におられます」「芽衣子さんはおられますか」などがあります。
二つ目の「いらっしゃる」を使った分かりやすい例としては、「社長がこちらにいらっしゃる」「あちらにいらっしゃるのが私たちの先生です」「お客様は待合室にいらっしゃいます」「いつイタリアにいらっしゃるのですか」などがあります。
「おられる」と「いらっしゃる」の使い分け方
「おられる」と「いらっしゃる」はどちらも正しい日本語ですが、使い方に違いがあるので注意が必要です。
「おられる」と「いらっしゃる」はどちらも居るの敬語を意味しており、違いはありません。しかし、「おられる」は正しい日本語ではあるものの、文化庁の国語に関する世論調査では約3割の人が違和感を覚えるという結果が出ているため、「いらっしゃる」の方を使うのが無難です。
そのため、相手に不快感を与える可能性がある「おられる」を、ビジネスシーンなどのかしこまった場面では使わないようにしましょう。
履歴書の志望動機やメールでは「おられる」より「いらっしゃる」
また、履歴書の志望動機やメールなどにおいては、「おられる」を使った「貴社が〇〇しておられる」よりも、「いらっしゃる」を使った「貴社が〇〇していらっしゃる」を使った方が良い印象を与えることができます。
その他にも、「おられる」は自分と身内の行動に対して使い、「いらっしゃる」は相手の行動に対して使うのが違いという説もあります。
「おられる」と「いらっしゃる」の英語表記の違い
「おられる」を英語にすると「be in」「be at home」となり、例えば上記の「芽衣子さんはおられますか」を英語にすると「Is Meiko at home」となります。
一方、「いらっしゃる」を英語にすると「come」「go」「be in」となり、例えば上記の「いつイタリアにいらっしゃるのですか」を英語にすると「When will you leave for Italy」となります。
「おられる」の意味
「おられる」とは
「おられる」とは、居るの敬語を意味しています。その他にも、補助動詞の意味も持っています。
表現方法は「活躍しておられる」「書いておられる」「掲げておられる」
「活躍しておられる」「書いておられる」「掲げておられる」「手掛けておられる」などが、「おられる」を使った一般的な言い回しになります。
「おられる」の使い方
「副社長はどちらにおられますか」「彼女は父親が会長なのでこの会社におられる」などの文中で使われている「おられる」は、「居るの敬語」の意味で使われています。
一方、「健康でおられるのは両親のおかげです」「こんな素敵な環境におられることを感謝しています」「いるの謙譲語」などの文中で使われている「おられる」は、「補助動詞」の意味で使われています。
「おられる」は辞書によっては尊敬語と表記されていることもありますが、文化庁が発表した敬語の指針では丁重語に分類されています。丁重語とは謙譲語の一種で謙譲語Ⅱとも言われており、自分や身内の行動を謙る場合に使う言葉です。
また、「おられる」は「〇〇しておられる」のように補助動詞としても使うことができます。補助動詞とは別の動詞に後続することにより文法的機能を果たす動詞で、それ自体の本来の意味は保っていないものを指しています。
「おられる」の類語
「おられる」の類語・類義語としては、そこに居ることを意味する「お見えになっている」があります。
「いらっしゃる」の意味
「いらっしゃる」とは
「いらっしゃる」とは、行く、来る、居るの尊敬語を意味しています。
表現方法は「いらっしゃるでしょうか」「どちらにいらっしゃいますか」
「いらっしゃるでしょうか」「どちらにいらっしゃいますか」などが、「いらっしゃる」を使った一般的な言い回しになります。
「いらっしゃる」の使い方
「いらっしゃる」を使った分かりやすい例としては、「部長はいらっしゃいますか」「連休はどこにいらっしゃる予定ですか」「会長がこちらにいらっしゃるようです」「部長が一緒にいらっしゃるだけで心強いです」などがあります。
「いらっしゃる」は行く、来る、居るの尊敬語として使うのが一般的ですが、「先生が原稿を書いていらっしゃる」「ご健康でいらっしゃる」などのように、補助動詞として使うこともできます。
尊敬語とは話し手が聞き手や話題の主のその動作や状態などを高めて待遇すること、丁寧語とは丁寧な言い方をすることによって相手への敬意を示すことを意味しています。
「いらっしゃる」を使う上で注意しなければならないのは、尊敬語なので自分の行為に対しては使えないという点です。また、「居る」の尊敬語だからといって「居らっしゃる」としないように気をつけましょう。
「いらっしゃる」の類語
「いらっしゃる」の類語・類義語としては、来ることの尊敬語を意味する「おいでになる」、来ることや行くことの尊敬語を意味する「お越しになる」などがあります。
「おられる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、居るの敬語を表現したい時などが挙げられます。その他にも、補助動詞として表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「おられる」は居るの敬語、例文4と例文5の「おられる」は補助動詞として使っています。
「いらっしゃる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、行く、来る、居るの尊敬語を表現したい時などが挙げられます。
例文1と例文2の「いらっしゃる」は居るの尊敬語のこと、例文3と例文4の「いらっしゃる」は来るの尊敬語のこと、例文5の「いらっしゃる」は行くの尊敬語として使っています。
「おられる」と「いらっしゃる」はどちらも居るの敬語を表しています。どちらを使うか迷った場合、かしこまった場面においては「おられる」よりも「いらっしゃる」の方を使うと覚えておきましょう。