【様相】と【様子】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「様相」(読み方:ようそう)と「様子」(読み方:ようす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「様相」と「様子」という言葉は、どちらも「物事のありさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




様相と様子の違い

様相と様子の意味の違い

様相と様子の違いを分かりやすく言うと、様相とは客観的に判断できる情報に対して使用され、様子とは客観的に判断できる情報だけでなく主観的に判断できる情報にも使用されるという違いです。

様相と様子の使い方の違い

一つ目の様相を使った分かりやすい例としては、「事態はただならぬ様相を呈している」「これまでとは違った様相を呈している」「戦争は泥沼の様相を呈する」「食糧不足が危機的様相を帯びている」などがあります。

二つ目の様子を使った分かりやすい例としては、「日本経済が傾き始めている様子が見て取れる」「悔しさを隠し切れない様子でした」「しばらく様子を見ることにした」「お隣さんの様子をうかがう」などがあります。

様相と様子の使い分け方

様相と様子という言葉は、どちらも物事のありさまや状態などを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

様相とは、「様相を呈する」「様相を帯びる」の言い回しで使用され、物事の様子やありさまを意味します。様相という言葉は、主に客観的に判断できる情報に対して使用され、また、社会や政治などのスケールの大きい事柄に用いられる硬い表現です。

様子とは、「日本経済の様子」や「悔しさを隠し切れない様子」のように、客観的に判断した情報だけでなく主観的に判断した情報に対しても使用される言葉です。また、「お隣さんの様子」のように、日常の事柄にも広く使用されています。

つまり、二つの言葉の違いは、使用する対象にあります。主観的な情報による判断なのか、スケールが大きい事柄に使用するのかによって、様相と様子という言葉を使い分けるようにしましょう。

様相と様子の英語表記の違い

様相も様子も英語にすると「phase」「aspect」「state」となり、例えば上記の「ただならぬ様相」を英語にすると「a serious aspect」となります。

様相の意味

様相とは

様相とは、ありさま、すがたを意味しています。

その他にも、「哲学で、事物の存在の仕方。可能性、現実的、必然的など。また、それらに対応する判断の形態」の意味も持っています。

様相の読み方

様相の読み方は「ようそう」です。誤って「ようしょう」「さまあい」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「地獄の様相」「様相を呈する」「様相が変わる」

「地獄の様相」「様相を呈する」「様相が変わる」などが、様相を使った一般的な言い回しです。

様相の使い方

「英語力は向上の様相を呈している」「景気低迷は長期化の様相を呈する」「世界はますますグローバル化の様相を呈している」「だんだんと雨模様の様相を呈してきた」などの文中で使われている様相は、「ありさま、すがた」の意味で使われています。

一方、「様相論理の研究のいくつかを紹介します」「様相論理は必然性や可能性の概念を扱う学問です」「様相論理学の入門書を購入しました」などの文中で使われている様相は、「哲学で、事物の存在の仕方」の意味で使われています。

様相とは、一般的に「物事のありさま、状態、姿」の意味で使用されている言葉です。多くは「様相を呈する」の言い回しで、物事のありさまを示す意味で用いられています。様相の「様」は形やありさま、「相」は物の姿や様子を表す漢字です。

様相という言葉は、哲学の分野でも用いられ、事物の存在の仕方、とくに「必然的である」「現実的である」などといった判断の確実性の程度から見た分類を指します。基本的な様相概念には、存在様相、真理様相、認識様相、時間様相などがあります。

「様相論理学」の意味

様相を用いた日本語には「様相論理学」があります。様相論理学とは、現代論理学の一分野であり、必然性や可能性などの様相概念を取り扱う論理学のことです。着想はアリストテレスの研究にみられますが、形式的に発展したのは1940年代以降で、分析哲学に大きな影響を与えました。

様相の対義語

様相の対義語・反対語としては、中に入っているものを意味する「内容」などがあります。

様相の類語

様相の類語・類義語としては、物事の動きやありさまを意味する「動静」、物のありかたや行為のありさまを意味する「様態」、大体のようすを意味する「概況」、物事のありさまや状況を意味する「容体」などがあります。

様子の意味

様子とは

様子とは、外から見てわかる物事のありさま、状況、状態を意味しています。

その他にも、「身なり、なりふり」「態度、そぶり」「物事の起きそうな気配、兆候」の意味も持っています。

様子の漢字表記

様子は「容子」とも書きますが、一般的には「様子」と表記されています。

様子の読み方

様子の読み方は「ようす」です。誤って「ようし」「ようこ」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「ご様子」「様子がおかしい」「様子を伺う」

「ご様子」「様子がおかしい」「様子を伺う」などが、様子を使った一般的な言い回しです。

様子の使い方

「当時の様子を教えてください」「英語の授業の様子をご報告します」の文中で使われている様子は「物事のありさま」の意味で、「人に会う前に様子を整える」「質素な様子の子ども」の文中で使われている様子は「身なり、なりふり」の意味で使われています。

一方、「上目遣いで相手の様子を伺う」「様子がおかしい芸能人は大麻所持で逮捕された」の文中で使われている様子は「態度、そぶり」の意味で、「市場は様子見ムードです」「薬を飲んで様子を見ることにした」の文中で使われている様子は「物事の起きそうな気配」の意味で使われています

様子とは、複数の意味を持つ言葉であり、日常語として広く使用されている言葉です。基本的には、「外から見てわかる状況や物事のありさま」「身なり」や「態度」の意味で用いられていますが、「これから何事かが起こりそうな気配」という意味でも使われています。

「様子見」の意味

上記の例文にある「様子見」(読み方:ようすみ)とは、事の成り行きを見守ること、状況がはっきりするまで静観していることを意味します。相場の世界でも用いられる言葉であり、「模様眺め」とも言い換えられます。

様子の対義語

様子の対義語・反対語としては、中に入れてあるものを意味する「中身」などがあります。

様子の類語

様子の類語・類義語としては、物事の状態やありようを意味する「有り様」、変化していく物事の、その時々のようすを意味する「情勢」、その時その時の状態や勢力の関係を意味する「形勢」、物事のありさまを意味する「模様」などがあります。

様相の例文

1.深刻な様相を帯びる日本の少子化問題に対し、政府は矢継ぎ早に対策案を打ち出している。
2.自己破産が増加の様相を呈するなか、高齢者が占める割合が増えています。
3.軍事技術の進展に伴い、サイバーや電磁波を組み合わせるなど戦闘様相は大きく変化しています。
4.AIの発達により翻訳サービスは向上し、英語学習の様相は随分と変化しつつあります。
5.20世紀前半からの様相論理の目覚ましい発展は、哲学に大きく影響を及ぼしています。
6.息子がただならぬ様相で両手を振り回していて何事かと驚いたが、本人はブルースリーになりきっているらしかった。
7.私達は屋上でお弁当を食べていたが、だんだんと雨模様の様相を呈してきたので、そろそろ戻ることにした。
8.世界はますますグローバル化の様相を呈しているので、我が社として次の一手を打たなければならない時期に差し掛かっていた。
9.環境問題は深刻な様相を呈しており、私たち一人ひとりが持続可能な解決策を模索しなければなりません。
10.中心地でのそれぞれの通りのなかでも、新市街と旧市街とでは、街の様相に大きな差が見られるようだ。

この言葉がよく使われる場面としては、姿やありさま、哲学で事物のあり方を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、様相の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「様相を帯びる」「様相を呈する」「様相は変化している」などがあります。「様相を帯びる」とは、何らかのものを思わせる状態になることを意味します。

様子の例文

1.皆様のご様子はいかがでしょうか、ご案じ申し上げております。
2.志望校のオープンスクールは、学校の様子が見られる貴重なチャンスです。
3.漢字を覚えられないという子どもがいたら、学習する様子をよく観察してサポートしてあげましょう。
4.学校から帰ってきた娘の話しぶりから、英語の授業を楽しんでいる様子が分かり嬉しく思いました。
5.外遊びを楽しみにしていた子どもたちは、雨上がりのグランドの状態にがっかりした様子でした。
6.医師にしばらく様子を見ましょうと言われ放置されたように感じたが、これは経過観察という大事な医療行為なのだそうだ。
7.いつもケチな同僚の羽振りがよく、様子がおかしいので、聞いてみると、宝くじで3000万円が当たったとのこと。
8.子供たちが遊びに行く前の様子を見て、母親は心配そうな表情を浮かべたが、そろそろ子離れするべきだと思う。
9.トンネルの交通事故の現場に駆けつけた救急隊員たちは、負傷者の様子を確認し、迅速に応急処置を開始した。
10.クラスメイトの一人の生徒が欠席している様子を見て、教師は心配そうにその生徒の様子を尋ねた。

この言葉がよく使われる場面としては、様式や形式、物事の状態、なりふりや姿形、事情や子細、気配やそぶりを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、様子という言葉は日常的に使用されています。例文1にある「ご様子」は、尊敬を表す接頭語「ご」を付けた敬語表現であり、相手の様子を丁寧に尋ねる場面で使用される言葉です。

様相と様子という言葉は、どちらも「物事のありさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、客観的に判断できる情報に対して使用したい時は「様相」を、客観的に判断できる情報だけでなく主観的に判断できる情報にも使用したい時は「様子」を使うようにしましょう。

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