似た意味を持つ「反感」(読み方:はんかん)と「顰蹙」(読み方:ひんしゅく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「反感」と「顰蹙」という言葉は、どちらも「強い不快感」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
反感と顰蹙の違い
反感と顰蹙の意味の違い
反感と顰蹙の違いを分かりやすく言うと、反感とは不快に思って逆らう感情を表し、顰蹙とは不快に思って顔をしかめる表情を表すいう違いです。
反感と顰蹙の使い方の違い
一つ目の反感を使った分かりやすい例としては、「偉そうな言い方は人の反感を買うだろう」「女性の活躍に反感を持つ男性もいます」「体制に反感を抱く市民を弾圧する」「強い反感を持たれる可能性がある」などがあります。
二つ目の顰蹙を使った分かりやすい例としては、「映画館で子どもが騒いでしまって顰蹙を買う」「政治家のセクハラ発言は世間の大顰蹙を買った」「ピアノの音が漏れて近所から顰蹙を買っているようだ」などがあります。
反感と顰蹙の使い分け方
反感と顰蹙という言葉は、どちらも強く不快に思う気持ちを表し、「反感を買う」「顰蹙を買う」などと似たような表現をしますが、意味や使い方には違いがあります。
反感とは、相手の言動が不快だったり、相手の意見に同意できなかったりして、反発や反抗したくなる感情を意味します。「反感を買う」とは、自分の存在や言動が原因となって、相手や周囲に逆らう感情を持たせてしまうことです。
顰蹙とは、不快に感じて顔をしかめることや、不快の念を表して眉をひそめることを意味します。「顰蹙を買う」とは、見る人に眉をひそめさせるような行為をして、他人から嫌がられたり、軽蔑や非難をされることです。
つまり、反感とは強い不快感から逆らう気持ちを表し、顰蹙とは強い不快感から表情をしかめることを意味します。二つの言葉はとても似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
反感と顰蹙の英語表記の違い
反感を英語にすると「antipathy」「revulsion」「ill feeling」となり、例えば上記の「反感を買う」を英語にすると「provoke somebody’s antipathy」となります。
一方、顰蹙を英語にすると「frowning on」「showing disapproval」「looking on with scorn」となり、例えば上記の「顰蹙を買う」を英語にすると「be frowned on by somebody」となります。
反感の意味
反感とは
反感とは、相手の存在や言動に対して反抗する気持ち、反発の感情を意味しています。
表現方法は「反感を買う」「反感を持つ」「反感を抱く」
「反感を買う」「反感を持つ」「反感を抱く」などが、反感を使った一般的な言い回しです。
反感の使い方
反感を使った分かりやすい例としては、「高すぎる売上目標は社員から反感を買う」「苦労を知らない御曹司に反感を抱く」「正論なのに反感を買ってしまった」「正直に話せば反感を食らう」「反感を買うような物言いはやめよう」などがあります。
その他にも、「行き過ぎた英語教育に反感を持つ」「時には誰かに反感を抱くこともあるでしょう」「反感を持つ人々は次第に怒りを覚えるようになった」「メディアが他国への反感をあおるべきではない」などがあります。
反感とは、相手の存在または考えや言動に対して反発する気持ちを意味し、相手に同意できず不快に思っていることを表す言葉です。反感は、反抗や反発などの好ましくない感情であり、マイナスイメージを伴います。
「反感を食らう」の意味
上記の例文にある「反感を食らう」とは、自らの主張に対して他人に反対されることを意味します。この「食らう」は、食べたり飲んだりする意味ではなく、他人からの行為などを身に受けることです。
反感の対義語
反感の対義語・反対語としては、よい感じや好ましい印象を意味する「好感」などがあります。
反感の類語
反感の類語・類義語としては、敵に対して抱く憤りや争おうとする意気込みを意味する「敵愾心」(読み方:てきがいしん)、敵対しようとする心や相手を敵として憎む気持ちを意味する「敵意」、戦おうとする意気込みや闘志を意味する「戦意」などがあります。
顰蹙の意味
顰蹙とは
顰蹙とは、不快に感じて顔をしかめること、眉をひそめることを意味しています。
顰蹙の読み方
顰蹙の読み方は「ひんしゅく」です。字面が似ている「楚蟹」(読み方:ずわいがに)と混同して「ズワイガニ」と読まれることがありますが、誤読になるので注意しましょう。
表現方法は「顰蹙を買う」「大顰蹙」
「顰蹙を買う」「大顰蹙」などが、顰蹙を使った一般的な言い回しです。
顰蹙の使い方
顰蹙を使った分かりやすい例としては、「不用意な失言で顰蹙を買う」「名前の漢字を間違えて顰蹙を買う」「あの人は大顰蹙ものの暴言が多い」「高いズワイガニを注文して妻から顰蹙を買った」などがあります。
その他にも、「非常識な言動によって人の顰蹙を買う」「漢検一級のマウントを取って顰蹙を買う」「あまりにも酷い英語で顰蹙を買ってしまった」「そんな礼儀を欠くようなことをしたら顰蹙ものだ」などがあります。
顰蹙の「顰」は訓読みで「ひそめる」と読み、顔をしかめることや眉をひそめることを表し、「蹙」は「しかめる」と読み、顔や額の皮を縮めてしわを寄せることを表す漢字です。顰蹙とは、不快の念を表して顔をしかめることを意味します。
顰蹙の由来
顰蹙の語源は、道家であった荘子の著書「荘子」の逸話に由来します。この中に、絶世の美女が顔をしかめる姿が美しいので醜女が同じように顔をしかめると、男たちは逃げ出してしまうエピソードがあります。このことから、周囲の不快感を招くことを「顰蹙」と表現するようになりました。
顰蹙の対義語
顰蹙の対義語・反対語としては、にこにこと笑った顔を意味する「笑顔」、喜んでいる様子を意味する「喜色」などがあります。
顰蹙の類語
顰蹙の類語・類義語としては、不承知らしいさまや非難するような顔つきを意味する「難色」、不思議で納得がいかない様子を意味する「怪訝」、不満そうな顔つきや苦りきった顔を意味する「渋面」などがあります。
反感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、反発する気持ち、不愉快に思って逆らう感情を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、反感の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「反感を買う」「反感を持つ」「反感を食らう」「反感を抱く」などがあります。
顰蹙の例文
この言葉がよく使われる場面としては、顔をしかめて不快の情を表わすこと、眉をひそめることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、顰蹙の慣用的な言い回しには「顰蹙を買う」「大顰蹙」などがあります。「大顰蹙」とは、程度の甚だしい顰蹙のことであり、大いに嫌がられることを意味します。
反感と顰蹙という言葉は、どちらも「強い不快感」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、不快に思って逆らう気持ちを表現したい時は「反感」を、不快なあまり顔をしかめることを表現したい時は「顰蹙」を使うようにしましょう。