【事物】と【物事】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「事物」(読み方:じぶつ)と「物事」(読み方:ものごと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「事物」と「物事」という言葉は、どちらも「さまざまな事柄や物」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




事物と物事の違い

事物と物事の意味の違い

事物と物事の違いを分かりやすく言うと、事物とは「物」に重点を置いた表現、物事とは「事」に重点を置いた表現という違いです。

事物と物事の使い方の違い

一つ目の事物を使った分かりやすい例としては、「多くのさまざまな事物に触れて成長する」「幼児は事物全体バイアスによって言葉を習得する」「魔物はいろいろな事物に姿を変えることができる」などがあります。

二つ目の物事を使った分かりやすい例としては、「計画通りに物事を進める」「父は物事の本質を見抜く力があります」「物事を多角的に捉えることができますか」「新しい物事を受け入れる力はビジネスにおいて重要である」などがあります。

事物と物事の使い分け方

事物と物事という言葉は、どちらも多種多様な事柄や物体などを表し、漢字の前後が入れ替わった言葉ですが、厳密な意味には違いがあります。

事物とは、さまざまな事柄や物を意味しますが、「事」よりも「物」に重点が置かれる言葉です。例えば「事物に触れる」とは、いろいろな出来事を体験するというよりは、具体的に現された物体を見たり聞いたりするニュアンスが強い表現です。

物事とは、もろもろの物や事柄を意味しますが、「物」よりも「事」に重点が置かれる言葉です。例えば「物事に触れる」となると、ある物体に触れるというよりも、他人の考えに触れたり、何かを体験したりするニュアンスが強くなります。

二つの言葉は紛らわしい表現ですが、目に見える物体にウエイトを置くのか、目に見えない事柄にウエイトを置くのかによって使い分ければよいでしょう。

事物と物事の英語表記の違い

事物も物事も英語にすると「thing」「matter」「affair」となり、例えば上記の「多くのさまざまな事物」を英語にすると「all sorts of things」となります。

事物の意味

事物とは

事物とは、さまざまな事柄や物を意味しています。

その他にも、「訴訟にかかわる事件とその目的物」の意味も持っています。

事物の読み方

事物の読み方は「じぶつ」です。誤って「こともの」「じもつ」などと読まないようにしましょう。

事物の使い方

「事物の本性について研究する」「擬態語は事物の状態を表す語です」「事物全体制約を発達心理学の観点から説明します」「日本語と英語では事物の分類が異なるケースがあります」などの文中で使われている事物は、「さまざまな事柄や物」の意味で使われています。

一方、「簡易裁判所における事物管轄の訴額が引き上げられた」「各裁判所には事物管轄権が定められています」「事物管轄と土地管轄では分担の基準が違います」などの文中で使われている事物は、「訴訟にかかわる事件とその目的物」の意味で使われています。

事物の「事」は事柄や出来事を表し、「物」は有形や無形で存在しているすべてのものを表す漢字です。事物とは、さまざまな事柄や物を意味しますが、どちらかと言えば「事」よりも「物」に重点が置かれる言葉です。事物はかたい文語的表現であり、日常会話ではあまり使用されません。

事物は法律用語としても使われている

事物という言葉は、法律用語として「訴訟にかかわる事件とその目的物」の意味も持っています。上記例文にある「事物管轄」とは、第一審の裁判権について、地方裁判所と簡易裁判所のいずれが管轄するかの分担を意味します。基本的には、訴訟の目的の価格によって分けられます。

事物の類語

事物の類語・類義語としては、何かに使用する形のあるものを意味する「品」、不動産以外の形のある物を意味する「物品」、売買する品物や商品を意味する「代物」、ある事情のもとで表面に現れた事柄を意味する「事象」などがあります。

物事の意味

物事とは

物事とは、物と事、もろもろの物や事柄を意味しています。

物事の読み方

物事の読み方は「ものごと」です。誤って「ぶつじ」「もつこと」などと読まないようにしましょう。

物事の使い方

物事を使った分かりやすい例としては、「物事の本質とは何ですか」「物事をはっきり言う人の心理を知りたい」「物事がどっちつかずで徹底していないようだ」「誰しも物事がうまくいかない時期があります」などがあります。

その他にも、「さまざまな視点で物事を捉える」「物事の始まりを大事にしています」「物事を悪い方に考えてしまう病気があります」「物事が早く進むように働きかける」「彼は物事をやり抜こうとする強い精神力を持っている」などがあります。

物事とは、形をもつ物体や商品などの「物」や、形のない出来事や事象などの「事」を意味しますが、特に「事」にウエイトが置かれる言葉です。さまざまな事柄を指す言葉であるため、日常会話でもよく使用される口語的表現です。

「物事の本質」の意味

上記の例文にある「物事の本質」とは、事象や事柄などの根本的な性質、それが存在する意味など意味します。物事を表面的に捉えるのではなく、物事が成り立っているおおもとを捉えようとする時に使用される表現です。

物事の類語

物事の類語・類義語としては、物事の内容や物事そのものを意味する「事柄」、ある事情のもとで表面に現れた事柄を意味する「事象」、自然界や人間界に形をとって現れるものを意味する「現象」、社会や身のまわりに起こる事柄を意味する「出来事」などがあります。

事物の例文

1.化学的な事物や事象に興味関心があるので、大学は理学部に進みたいと思っています。
2.身近な事物に関するボキャブラリーの習得は、小学校における英語の学習目標の一つです。
3.北京留学から帰国した友人は、抽象的な事物も中国語で説明できるようになっていた。
4.インターネットの普及により、新しい概念や事物を表す言葉が急速に増えています。
5.司法書士は、簡易裁判所事物管轄の民事事件の法律相談を行うことができます。
6.この研究の対象事物は、日頃から人々がよく見知っている物にしたほうが、内容を掘り下げやすくていいと思う。
7.幼い子供たちは、身の回りにある様々な事物に強い好奇心を抱き、それらに触れながら成長していきます。
8.科学者たちは、自然界に存在する事物の本質や特性について、絶え間ない研究を重ねています。
9.文学は言葉を使って事物を描写し、物語を紡ぎ出す。読者の想像力を刺激し、新たな世界へと導いてくれる。
10.歴史上の人物を現代の価値観で善悪や好悪を押し付けるのをやめて、あくまで事物や事象を見るべきだ。

この言葉がよく使われる場面としては、さまざまな事や物、法律で事件とその目的物を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文4の事物は、「さまざまな事や物」の意味で用いられています。例文5の事物は、法律用語で「事件とその目的物」の意味で使われています。

物事の例文

1.私は、ビジネスでもプライベートでも真心をもって物事を行うことを大事にしています。
2.変化の激しい今の時代、心の病が原因で他人や物事に興味がない人が増えています。
3.昔から伝わるおばあちゃんの知恵袋は、暮らしのなかの物事を行う際に役立ちます。
4.どんな物事にも意味があると意識するだけで、あなたの人生観が変わるかもしれません。
5.ぜひ時間の使い方を工夫して物事を進めていくことを習慣化してください。
6.何から手を付けていいか混乱している私に父は、いいか物事には順番があるんだと箇条書きにして説明してくれた。
7.ささいな物事にさえいらいらする時は、問題は物事にあるのではなく、だいたいはあなたの心のあり様にある。
8.チームでプロジェクトを進めるためには、計画通りに物事を進め、メンバー間のコミュニケーションを密にすることが重要です。
9.人と接するときは、相手の立場や気持ちに理解を示し、物事を多角的に捉えることが大切です。
10.相手と話しているとわかるが、物事の理解が浅いように感じて、ようするに知ったかぶりをしているのだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、いろいろな物や事柄を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、物事という言葉は、日常生活やビジネスの場など様々なシーンで用いられています。

事物と物事という言葉は、どちらも「物と事」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物に重点を置いて表現したい時は「事物」を、事に重点を置いて表現したい時は「物事」を使うようにしましょう。

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