似た意味を持つ「いらっしゃらない」と「おられない」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「いらっしゃらない」と「おられない」という言葉は、どちらもそこに居ないことや来ないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「いらっしゃらない」と「おられない」の違い
「いらっしゃらない」と「おられない」の意味の違い
「いらっしゃらない」と「おられない」の違いを分かりやすく言うと、「いらっしゃらない」の方が「おられない」よりも一般的に使われているという違いです。
「いらっしゃらない」と「おられない」の使い方の違い
一つ目の「いらっしゃらない」を使った分かりやすい例としては、「副社長は現在外出中のためいらっしゃらないそうです」「娘さんはまだ帰宅していらっしゃらないんですね」「先輩は出張から戻っていらっしゃらないそうです」などがあります。
二つ目の「おられない」を使った分かりやすい例としては、「社長は社長室におられないそうです」「先生はまだおられないのでもう少し待ちましょう」「まだこちらにおられないと聞いています」などがあります。
「いらっしゃらない」と「おられない」の使い分け方
「いらっしゃらない」と「おられない」はどちらもそこに居ないことや来ないことを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「いらっしゃらない」の方が「おられない」よりも一般的に使われているという点です。
ただし、どちらも正しい日本語なので使っても問題ないと覚えておきましょう。ではなぜ「おられる」が一般的ではないのかといと、「おられる」という表現に違和感を持っている人が一定数いるというのが理由になります。
「いらっしゃらない」と「おられない」の英語表記の違い
「いらっしゃらない」も「おられない」も英語にすると「not be in」「not live」となります。
「いらっしゃらない」の意味
「いらっしゃらない」とは
「いらっしゃらない」とは、そこに居ないことや来ないことを意味しています。
「いらっしゃらない」の使い方
「いらっしゃらない」を使った分かりやすい例としては、「部長は終日オフィスにいらっしゃらないそうです」「ご契約者様がまだこちらにいらっしゃらないそうです」「本日はいらっしゃらないとのことなので伝言をお願いしました」などがあります。
「いらっしゃらない」は行く、来る、居るの尊敬語である「いらっしゃる」に、打消しの助動詞「ない」が合わさり、そこに居ないことや来ないことの意味で使われている言葉です。
「いらっしゃらない」は目上の人に使える
「いらっしゃらない」は尊敬語表現なので、ビジネスシーンおいて上司や取引先などの目上の人に対して使うことができます。尊敬語とは話し手が聞き手や話題の主のその動作や状態などを高めて待遇することを意味しています。
また、「いらっしゃらない」は広く一般的に使われているので、居ないことや来ないことを表現したい場合に迷ったのであれば、使用して問題ないと覚えておきましょう。
「いらっしゃらない」の対義語
「いらっしゃらない」の対義語・反対語としては、そこに居ることを意味する「いらっしゃる」があります。
「いらっしゃらない」の類語
「いらっしゃらない」の類語・類義語としては、本来いるべき場所にいないことを意味する「ご不在であられる」、そこに居ないことや来ないことを意味する「いらっしゃいません」などがあります。
「おられない」の意味
「おられない」とは
「おられない」とは、そこに居ないことや来ないことを意味しています。
「おられない」の使い方
「おられない」を使った分かりやすい例としては、「ずっと待っていたものの今日はおられないとのことでした」「担当者様がまだこちらにおられないそうです」「社長が午前中におられないとのことなので午後の訪問が望ましいです」などがあります。
「おられない」は「居る」の丁寧な表現である「おる」に、打消しの助動詞「ない」が合わさり、そこに居ないことや来ないことの意味で使われている言葉です。
「おられない」は広く一般的に使われていない
「おられない」は正しい日本語ではあるものの広く一般的に使われていないので、使う際には十分に注意する必要があります。
ではなぜ「おられない」が広く一般的に使われていないかというと、この言葉自体に違和感を感じてる人が一定数いるのが原因です。
文化庁が発表した平成16年度に行われた国語に関する世論調査では、「総務の武田さんはどちらにおられますか」という一文に対して、正しいと答えた人が58.3%、正しくないと答えた人が30.3%という結果になりました。
つまり、この結果から約3割もの人が「おられない」という言葉に対して違和感を感じているのです。また、「おられる」は地域によって解釈が異なる場合もあるので、これが広く一般的に使われていない理由の一つでもあります。
「おられない」の対義語
「おられない」の対義語・反対語としては、そこに居ることを意味する「おられる」があります。
「おられない」の類語
「おられない」の類語・類義語としては、来ていないことを意味する「まだ来ておりません」、出席すべき会合などに出ないことを意味する「ご欠席です」、来ないことを意味する「おいでにならない」などがあります。
「いらっしゃらない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そこに居ないことや来ないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「いらっしゃらない」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「おられない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そこに居ないことや来ないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「おられない」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「いらっしゃらない」と「おられない」はどちらもそこに居ないことや来ないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「いらっしゃらない」の方が「おられない」よりも一般的に使われていると覚えておきましょう。