似た意味を持つ「構成」(読み方:こうせい)と「構築」(読み方:こうちく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「構成」と「構築」という言葉は、どちらも「組み立てること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
構成と構築の違い
構成と構築の意味の違い
構成と構築の違いを分かりやすく言うと、構成とは既存の要素を一つにまとめることを表し、構築とは各要素を積み重ねて作り上げることを表すという違いです。
構成と構築の使い方の違い
一つ目の構成を使った分かりやすい例としては、「その音楽作品の構成は素晴らしかった」「心理的構成主義と社会構成主義には大きな違いがあります」「システム構成図の書き方が分かりません」「ソフトウェア開発の構成管理を適切に行う」などがあります。
二つ目の構築を使った分かりやすい例としては、「信頼関係を構築することがビジネス成功の秘訣です」「サーバ構築の手順を独学で勉強しています」「竣工前の建築物をメタバースで構築する」「構築物の耐用年数の一覧表を見せてください」などがあります。
構成と構築の使い分け方
構成と構築という言葉は、どちらも個々の要素や部品などを組み合わせて一つのまとまった物を作り上げることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
構成とは、各部分や要素が集まって全体を組み立てることを意味します。組織や形状などを表す際に使用され、「家族構成」とは家族がどんな人で成り立っているかを意味します。また、「文章構成」のような使い方で、芸術分野において素材を組み立てて秩序づけることも意味します。
構築とは、部品などを一つ一つ積み重ねて作り上げることを意味します。ゼロから築き上げるというニュアンスがあり、「人間関係の構築」とは、人と人との繋がりを築くことを意味し、知り合いが一人もいないような状態から人間関係を作っていく場合にも用いられる言葉です。
つまり、構成とは既存の要素を一つにまとめることであり、構築とは要素を積み重ねて作り上げることを意味する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
構成と構築の英語表記の違い
構成を英語にすると「composition」「constitution」「structure」となり、例えば上記の「音楽作品の構成」を英語にすると「musical composition」となります。
一方、構築を英語にすると「construction」「assembly」「organization」となり、例えば上記の「ビジネスモデルを構築する」を英語にすると「construct a business model」となります。
構成の意味
構成とは
構成とは、いくつかの要素を一つのまとまりのあるものに組み立てること、組み立てたものを意味しています。
その他にも、「文芸・音楽・造形芸術などで、表現上の諸要素を独自の手法で組み立てて作品にすること」の意味も持っています。
構成の読み方
構成の読み方は「こうせい」です。同じ読み方をする熟語に「校正」や「佼成」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「構成する」「構成を考える」
「構成する」「構成を考える」などが、構成を使った一般的な言い回しです。
構成の使い方
「売上構成比をエクセルで計算する」「彼は暴力団構成員であると噂されている」「構成的グループエンカウンターの実践例をご紹介します」などの文中で使われている構成は、「いくつかの要素を一つに組み立てることや組み立てたもの」の意味で使われています。
一方、「英語スピーチの構成を考える」「文章構成図の手法を学ぶ」「この脚本は三幕構成になっています」「テレビ番組の構成作家になりたい」などの文中で使われている構成は、「表現上の諸要素を独組み立てて作品にすること」の意味で使われています。
構成とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を捉える必要があります。構成の「構」は訓読みで「かまえる」と読み、作り上げることや組み立てることを表し、「成」は訓読みで「なす」と読み、物事ができ上がることを表す漢字です。
「構成主義」の意味
構成を用いた日本語には「構成主義」があります。構成主義とは、1910年代にソ連で始まった芸術運動のことで、特に絵画や彫刻において幾何学的な線や面によって作品を構成することに造形の本質を求めたものです。
構成の対義語
構成の対義語・反対語としては、一つに結合しているものを要素や部分に分けることを意味する「分解」、性質や系統などに従って分けることを意味する「分類」などがあります。
構成の類語
構成の類語・類義語としては、部分部分の材料の組み合わせ方を意味する「構造」、いくつかの要素や成分によって組み立てることを意味する「組成」、個々のものを集めて組織的なまとまりとすることを意味する「編成」などがあります。
構築の意味
構築とは
構築とは、組み立てて築くことを意味しています。
構築の読み方
構築の読み方は「こうちく」です。誤って「こうつく」「こうきず」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「構築する」「人間関係の構築」
「構築する」「人間関係の構築」などが、構築を使った一般的な言い回しです。
構築の使い方
構築を使った分かりやすい例としては、「一貫した英語教育を構築する」「社内ネットワークの設計と構築を任されました」「構築物とは勘定科目の一つです」「構築物の償却方法の選定手続きについて教えてください」などがあります。
その他にも、「構築主義からジェンダー問題にアプローチします」「ポケモンの構築記事を読む」「ビジネスにおいて人間関係構築力は不可欠です」「早急に経営基盤を構築し確立させるべきです」などがあります。
構築の「構」は整った形に作り上げることや組み立てて作ることを表し、「築」は土台を造ることや建物などを造ることを表します。構築とは、作り築くこと、組み立て築くこと、その組み立てを意味する言葉です。
「構築主義」の意味
構築を用いた日本語には「構築主義」があります。構築主義とは、現実に存在する対象や現象は、客観的もしくは物理的に存在しているのではなく、人々の認識によって社会的に構築されていると考える立場のことです。「社会構築主義」「社会構成主義」とも言います。
構築の対義語
構築の対義語・反対語としては、組み立ててあるものを分解することを意味する「解体」、取り去ることや取り払うことを意味する「撤去」などがあります。
構築の類語
構築の類語・類義語としては、組織や制度などを新しくつくることを意味する「設立」、計画や思想などをしっかりと打ち立てることを意味する「確立」、家屋などの建物を土台からつくり上げることを意味する「建築」などがあります。
構成の例文
この言葉がよく使われる場面としては、組織や理論などを組み立てることや組みたてたもの、表現上の素材を独自の手法で組み立て秩序づけることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、構成の慣用的な言い回しには「構成員」「構成する」「構成を考える」などがあります。「構成員」とは、ある目的に従って構成された組織のメンバーを意味します。
構築の例文
この言葉がよく使われる場面としては、基礎の構えから始めて全体を作り上げることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、構築の慣用的な表現には「構築する」「人間関係の構築」「構築物」などがあります。「構築物」とは、人間が継続的に居住あるいは滞在する目的以外のために設計された構造物を意味し、橋・桟橋・軌道・貯水池などがあります。
構成と構築という言葉は、どちらも「組み立てること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、すでにある要素を一つに組み立てることを表現したい時は「構成」を、組み立てて全体を作り上げることを表現したい時は「構築」を使うようにしましょう。