似た意味を持つ「難局」(読み方:なんきょく)と「窮地」(読み方:きゅうち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「難局」と「窮地」という言葉は、どちらも「困難な状態」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
難局と窮地の違い
難局と窮地の意味の違い
難局と窮地の違いを分かりやすく言うと、難局とは対応が難しい状況や場面を表し、窮地とは苦しい状態や立場を表すという違いです。
難局と窮地の使い方の違い
一つ目の難局を使った分かりやすい例としては、「なんとか難局を切り抜けることができた」「窮地を脱するために海外に進出する」「全社一丸となって難局に立ち向かう」「底力を発揮して難局を乗り越える」などがあります。
二つ目の窮地を使った分かりやすい例としては、「どうにかして窮地を乗り切るしかない」「消費者は物価高で窮地に陥っている」「深刻な人手不足の窮地をAIが救う」「開始直後から窮地に立つ試合展開となっている」などがあります。
難局と窮地の使い分け方
難局と窮地という言葉は、どちらも非常に困難な状態を表すマイナスイメージの言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
難局とは、困難な局面を意味し、処理の難しい場面や対応が難しい状況などを表します。ビジネスの世界では、競争が激化したり予想外のトラブルが発生したりして、困難な状況に直面することがあります。このような状況を「難局に直面する」「難局に立つ」などと表現します。
窮地とは、追い詰められてどうしようもない苦しい状況や立場を意味し、施すべき手段の尽きた境遇を表します。解決策が見つけにくい状況を使用されることが多い言葉であり、非常に苦しい状態に追い込まれることを「窮地に立たされる」「窮地に陥る」などと表現します。
つまり、難局とは非常に難しい状況や場面であり、窮地とは非常に苦しい状況や立ち場を意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
難局と窮地の英語表記の違い
難局を英語にすると「difficult situation」「difficulty」「crisis」となり、例えば上記の「難局を切り抜ける」を英語にすると「get over a difficulty」となります。
一方、窮地を英語にすると「dilemma」「predicament」「quandary」となり、例えば上記の「窮地を乗り切る」を英語にすると「escape the difficult situation」となります。
難局の意味
難局とは
難局とは、困難な局面、処理の難しい重大な情勢を意味しています。
難局の読み方
難局の読み方は「なんきょく」です。同じ読み方をする熟語に「南極」や「何曲」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「難局を乗り切る」「難局に立ち向かう」「難局を示す」
「難局を乗り切る」「難局に立ち向かう」「難局を示す」などが、難局を使った一般的な言い回しです。
難局の使い方
難局を使った分かりやすい例としては、「政権が難局を迎えるなか選挙戦がスタートした」「自ら進んで難局に当たるべし」「ワンチームとなって難局を乗り切る」「利上げは窮地を脱する手立てになるだろうか」などがあります。
その他にも、「極めて厳しい難局に直面している」「この難局を打開する方法はありますか」「一致団結して難局に当たるべきだ」「難局に立つリーダーをサポートする」「知恵を出し合って難局を乗り超える」などがあります。
難局の「難」は、訓読みで「難しい」と読み、事態がうまくいかないことや辛く苦しいさまを表す漢字です。物事の成り行きを表す「局」と結びつき、難局とは、処理の難しい場面、また、困難な時局を意味します。
「難局を乗り越える」の意味
上記例文にある「難局を乗り越える」とは、直面している困難な状況に上手く切り抜けて進むことを表現する言い回しです。主にビジネスシーンで使用される言葉です。
難局の対義語
難局の対義語・反対語としては、たやすいことを意味する「容易」などがあります。
難局の類語
難局の類語・類義語としては、危険が迫っている情勢や場面を意味する「危局」、国家的あるいは国際的に重大な危機に直面した時を意味する「非常時」、危険な立場や状況を意味する「危地」などがあります。
窮地の意味
窮地とは
窮地とは、追い詰められて逃げ場のない苦しい状態や立ち場を意味しています。
窮地の読み方
窮地の読み方は「きゅうち」です。誤って「きゅうじ」「きょうち」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「窮地に立たされる」「窮地に追い込まれる」「窮地に陥る」
「窮地に立たされる」「窮地に追い込まれる」「窮地に陥る」などが、窮地を使った一般的な言い回しです。
窮地の使い方
窮地を使った分かりやすい例としては、「補助金カットされ窮地に立つ」「絶体絶命の窮地に陥ることになった」「窮地を脱するために転職しました」「窮地に追い込まれる前に相談してください」などがあります。
その他にも、「日本経済は窮地に追い込まれている」「なんとか窮地を脱しようとする」「翻訳アプリが英語力ゼロの私の窮地を救った」「部長はいつもチームの窮地を救う」「畜産農家がエサ代高騰で窮地に立たされる」などがあります。
窮地の「窮」は訓読みで「きわめる」「きわまる」と読み、奥深くまで行きつくすことや、身動きがとれなくなることを表します。身分や立場を表す「地」と結びつき、窮地とは、追いつめられて困りはてた境遇や万策尽きた苦しい状態を意味します。
「窮地に立つ」の意味
上記例文にある「窮地に立つ」とは、とても危ない状況や苦しい状態に追い込まれることを表現する言い回しです。言い換えの表現には、「ピンチに陥る」「追いやられる」「危機に瀕する」などがあります。
「窮地の仲」は誤用
窮地を用いた誤った表現には「窮地の仲」があります。正しくは「旧知の仲」であり、古くからの知人を意味します。
窮地の対義語
窮地の対義語・反対語としては、物事をするのによい機会やチャンスを意味する「好機」などがあります。
窮地の類語
窮地の類語・類義語としては、苦しい境遇や苦しい立場を意味する「苦境」、苦労の多い境遇や不運な境遇を意味する「逆境」、非常に苦しい境遇や立場を意味する「窮境」、貧困などのために困り果てているようすを意味する「窮状」などがあります。
難局の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、対応が困難な局面や場面を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、難局の慣用的な言い回しには「難局に直面する」「難局を乗り越える」「難局を乗り切る」「難局に立ち向かう」などがあります。「難局を乗り切る」とは、困難な状況をうまくやり過ごすことを意味します。
窮地の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、追い詰められ逃れようもない苦しい立ち場を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、窮地の慣用的な表現には「窮地に追い込まれる」「窮地に陥る」「窮地に立たされる」「窮地を乗り越える」などがあります。「窮地を乗り越える」とは、苦しくどうしようもない状況を克服することを意味します。
難局と窮地という言葉は、どちらも「困難な状態」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、非常に難しい状況や場面を表現したい時は「難局」を、非常に苦しい状態や立ち場を表現したい時は「窮地」を使うようにしましょう。