似た意味を持つ「継続」(読み方:けいぞく)と「持続」(読み方:じぞく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「継続」と「持続」という言葉は、どちらも「続けること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
継続と持続の違い
継続と持続の意味の違い
継続と持続の違いを分かりやすく言うと、継続とは同じことを続けて行うこと、持続とは同じ状態を保ち続けることという違いです。
継続と持続の使い方の違い
一つ目の継続を使った分かりやすい例としては、「会議でプロジェクトの継続が承認されました」「父は継続雇用制度を利用して働いています」「エクセルを使って継続率を計算する」「地震保険を継続すべきか悩んでいます」などがあります。
二つ目の持続を使った分かりやすい例としては、「持続可能な開発目標を掲げる」「効果の持続時間を正確に計る」「持続可能性の4原則を言えますか」「息子は勉強の集中を持続できないようだ」などがあります。
継続と持続の使い分け方
継続と持続という言葉は、どちらも特定の活動や状態を維持することを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
継続とは、以前から行なわれていたことを引き続き行うことを意味します。「継続雇用制度」とは、企業が雇用している高年齢者を、希望に応じて定年後も引き続いて雇用する制度のことであり、「勤務延長制度」と「再雇用制度」の二種類があります。
持続とは、ある状態を中断せずに保ち続けることを意味します。「持続可能性」とは、人間活動や社会活動などが、将来にわたって維持できるかどうかを表す概念であり、「サステイナビリティー」とも呼ばれるものです。
つまり、継続とは物事を切れ目なく続けて行うことを表し、持続とは状態を長く保ち続けることを表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
継続と持続の英語表記の違い
継続を英語にすると「continuation」「persistence」となり、例えば上記の「プロジェクトの継続」を英語にすると「continuation of the project」となります。
一方、持続を英語にすると「duration」「maintenance」「sustaining」となり、例えば上記の「持続可能な開発」を英語にすると「sustainable development」となります。
継続の意味
継続とは
継続とは、前から行っていることをそのまま続けること、そのまま続くことを意味しています。
その他にも、「以前からのことを受け継ぐこと、継承」の意味も持っています。
継続の読み方
継続の読み方は「けいぞく」です。誤って「けいしょく」「つぐぞく」などと読まないようにしましょう。
継続の使い方
「卒業後も英語の勉強を継続するつもりです」「継続雇用者給与等支給額の計算方法を調べる」就活の自己PRで継続力をアピールする」などの文中で使われている継続は、「前から行っていることを続けること」の意味で使われています。
一方、「親の権利を継続する」「事業の継続には届け出が必要です」「継続する工場の名称を記入してください」などの文中で使われている継続は、「以前からのことを受け継ぐこと」の意味で使われています。
継続とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「以前からのことをそのまま受け継ぐこと」の意味で使用されています。継続の「継」は訓読みで「つぐ」と読み、あとを受けつぐこと、「続」は途切れないで引きつづくことを表す漢字です。
ことわざ「継続は力なり」の意味
継続を用いたことわざには「継続は力なり」があります。「継続は力なり」とは、わずかなことでも続けて行えば成果となってあらわれること、小さな努力も続けてやれば成功することを意味します。座右の銘としても用いられる言葉です。
継続の対義語
継続の対義語・反対語としては、一続きのものが中途でとぎれることを意味する「中断」、中途でやめることを意味する「中止」などがあります。
継続の類語
継続の類語・類義語としては、切れ目なく続くことを意味する「連続」、ながく続くことを意味する「永続」、引き続いて行うことを意味する「続行」、物事の状態をそのまま保ち続けることを意味する「維持」、物事が途切れることなく続くことを意味する「引き続き」などがあります。
持続の意味
持続とは
持続とは、ある状態がそのまま続くこと、保ち続けること、継続を意味しています。
持続の読み方
持続の読み方は「じぞく」です。誤って「じしょく」「ちぞく」などと読まないようにしましょう。
持続の使い方
持続を使った分かりやすい例としては、「薬の効果が持続する」「彼は持続性が高い人です」「持続可能な開発目標が採択されました」「持続可能な社会保障制度を考える」「持続化補助金のスケジュールを教えてください」などがあります。
その他にも、「子どものやる気を持続させる」「持続可能性に配慮した運営計画を立てる」「持続可能な英語学習のコツを教えます」「できるだけ若さを持続させる」「モチベーションを持続する方法があります」などがあります。
持続の「持」は訓読みで「もつ」と読み、状態や働きなどが長い間変わらないで保たれることを表します。切れないようにつなぐことを表す「続」と結び付き、継続とは、前から行われていたことが引き続き行われること、前の活動をうけついで続けることを意味します。
「持続可能な開発目標」の意味
持続を用いた日本語には「持続可能な開発目標」があります。持続可能な開発目標とは、2015年9月に国連で採択された「SDGs」と呼ばれるものです。人類が地球で暮らし続けられる「持続可能な世界」を実現するために17の目標を掲げています。
持続の対義語
持続の類語持続の類語・類義語としては、引き続き存在することを意味する「存続」、一つの物事が途中でとぎれずに長く続くことを意味する「長続き」、保ち続けることや持ち続けることを意味する「保持」、保持することを意味する「キープ」などがあります。
継続の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、以前から行なわれていた事が引き続いて行なわれること、以前からの事を受け継ぐことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、継続の慣用的な言い回しには「継続していく」「継続する」「継続させる」などがあります。
持続の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、保ち続けること、ある状態が中断しないで続くことを表現したい時などが挙げられます。
例文3や例文4にある「持続化補助金」とは、小規模事業者等が経営計画を策定し、商工会等の支援を受けながら取り組む販路開拓を支援する補助金のことです。
継続と持続という言葉は、どちらも「続くこと、続けること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事を続けて行うことを表現したい時は「継続」を、状態を保ち続けることを表現したい時は「持続」を使うようにしましょう。