同じ「ちょうど」という読み方の「丁度」と「調度」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「丁度」と「調度」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
丁度と調度の違い
丁度と調度の意味の違い
丁度と調度の違いを分かりやすく言うと、丁度とは過不足なく一致することを表し、調度とは日常使う道具や家具という違いです。
丁度と調度の使い方の違い
一つ目の丁度を使った分かりやすい例としては、「丁度いい大きさの箱を探しています」「初めてのデートに丁度良いレストラン」「丁度あなたの話をしていたところよ」「丁度祭りのような賑わいでした」などがあります。
二つ目の調度を使った分かりやすい例としては、「チーク材で作られた調度品を集めています」「調度品の配置に頭を悩ませている」「部屋をモダンな家具調度で統一する」「娘の嫁入りに婚礼調度を用意するつもりです」などがあります。
丁度と調度の使い分け方
丁度と調度という言葉は、どちらも「ちょうど」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
丁度とは、「丁度いい」「丁度良い」などの言い回しで、ある基準に対して余分や不足がなく、ぴったりと一致している様子を意味する言葉です。また、「丁度祭りのような賑わい」のような使い方で、ある物事が他の物事にたとえられるさまも意味します。
調度とは、日常的に使う身のまわりの道具類や小型の家具を意味します。調度という言葉は、日常生活において用いられる道具や日用品などを広く指し、鎌倉時代の武家社会においては弓矢のことを「調度」と言いました。
つまり、丁度とは着目するものについて過不足ないさまを表現しますが、調度は日常使う身のまわりの道具類を意味します。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。
丁度と調度の英語表記の違い
丁度を英語にすると「just」「exactly」「scarcely」となり、例えば上記の「丁度いい大きさ」を英語にすると「just the right size」となります。
一方、調度を英語にすると「furniture」「furnishings」「supplies」となり、例えば上記の「チーク材で作られた調度品」を英語にすると「furniture made of teak」となります。
丁度の意味
丁度とは
丁度とは、ある基準に過不足なく一致するさま、きっかり、ぴったり、きっちりを意味しています。
その他にも「ある物事が期待や目的にうまく合うさま、折よく、都合よく」「ある物事が、その時まさに行われているさま」「そっくりそのままある物事にたとえられるさま」の意味も持っています。
丁度の使い方
「丁度の時間に着くようにする」「丁度可知差異という考え方を知っていますか」の文中で使われている丁度は「過不足なく一致するさま」の意味で、「牧場は家族のレジャーに丁度良い場所です」などの文中で使われている丁度は「期待や目的にうまく合うさま」の意味で使われています。
一方、「丁度待っていたところです」「丁度その頃にビジネスを始めました」の文中で使われている丁度は「その時まさに行われているさま」の意味で、「丁度無人島にいるような静けさでした」などの文中で使われている丁度は「ある物事にたとえられるさま」の意味で使われています。
丁度とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。丁度は、「丁と」からできた語彙とされ、整然としているさまを表します。
「丁度可知差異」の意味
丁度を用いた心理学用語には「丁度可知差異」(読み方:ちょうどかちさい)があります。丁度可知差異とは、標準となる刺激のある属性を変えた時、変化したことがわかる最小の変化量のことで、「弁別閾」(読み方:ちょうどかちさい)とも言います。
丁度の対義語
丁度の対義語・反対語としては、あらましやだいたいのところを意味する「おおよそ」、数量などを大づかみにとらえるさまを意味する「だいたい」などがあります。
丁度の類語
丁度の類語・類義語としては、少しの違いもなく的中することを意味する「どんぴしゃり」、分量や時間などにゆとりがないさまを意味する「きちきち」、物事が始まろうとする丁度その時を意味する「矢先」、あるものが他によく似ていることを意味する「あたかも」などがあります。
調度の意味
調度とは
調度とは、日常使う手回りの道具や器具類、また小型の家具を意味しています。
その他にも、「弓矢を武具の第一としたところから、弓矢のこと」の意味も持っています。
調度の読み方
調度の読み方は「ちょうど」です。古くは「ぢょうど」とも読みましたが、現在では「ちょうど」と読まれています。
表現方法は「調度品」「調度係」
「調度品」「調度係」などが、調度を使った一般的な言い回しです。
調度の使い方
「家具調度を買い揃える」「新生活で使う調度品セットを探しています」「博物館で大名婚礼調度が展示されている」などの文中で使われている調度は、「日常使う道具や小型の家具」の意味で使われています。
一方、「キリスト教で調度は権威の象徴です」「男性が調度で人々を襲う事件が発生した」「調度を使った狩り体験を楽しむ」などの文中で使われている調度は、「弓矢のこと」の意味で使われています。
調度とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「日常使う道具や小型の家具」の意味で使用されています。「弓矢のこと」の意味で使用されることは、ほとんどありません。
「婚礼調度」の意味
調度を用いた日本語には「婚礼調度」があります。婚礼調度とは、嫁入り道具のことであり、特に名家の娘が嫁ぎ先に持っていく道具を言います。有名な婚礼調度には、徳川家光の娘千代姫が嫁入りする際に持参した調度があり、「初音の調度」と呼ばれています。
「調度いい」は誤用
調度を用いた誤った言い回しには「調度いい」があります。正しくは「丁度いい」であり、程度が過不足なくぴったりしているさまを意味します。
調度の類語
調度の類語・類義語としては、ある事をするために使う道具を意味する「用具」、家庭や居住する場所で使う道具類を意味する「家財」、日常使用する器具や家具類を意味する「什器」、照明器具や家具類など室内を装飾するものを意味する「インテリア」などがあります。
丁度の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、ある基準に過不足なく一致するさま、期待や目的に合致すること、その時まさに行われていること、なぞらえの気持ちを表現したい時などが挙げられます。
例文1の丁度は「ある基準に一致するさま」の意味で、例文2や例文3の丁度は「期待や目的に合致していること」の意味で用いられています。例文4の丁度は「その時まさに行われていること」の意味で、例文5の丁度は「なぞらえの気持ち」の意味で用いられています。
調度の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、手まわりの道具、日常的に身のまわりに置いて使う道具や器具類を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある「調度品」とは、身のまわりの道具や家具の類を意味し、筆記用具や化粧道具、タンスや食器類などを指します。
丁度と調度という言葉は、どちらも「ちょうど」読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、過不足なく一致するさまを表現したい時は「丁度」を、身のまわりに置いて使う道具や家具を表現したい時は「調度」を使うようにしましょう。