【乱用】と【濫用】と【悪用】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「乱用」(読み方:らんよう)と「濫用」(読み方:らんよう)と「悪用」(読み方:あくよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「乱用」と「濫用」と「悪用」という言葉は、正しくない使い方をすることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




乱用と濫用と悪用の違い

乱用と濫用と悪用の意味の違い

乱用と濫用と悪用の違いを分かりやすく言うと、乱用は新聞の中でやたら用いることを表現する時に使い、濫用は公用文の中でやたら用いることを表現する時に使い、悪用は用途に反したことを表現する時に使うという違いです。

乱用と濫用と悪用の使い方の違い

乱用という言葉は、「薬の乱用は身を滅ぼす行為だ」「言葉の誤用乱用は周囲の子どもたちに変な言葉を覚えさせてしまう」などの使い方で、むやみやたらに使うことを意味します。

濫用という言葉は、「職権濫用によって作り上げられた時からはマシになった」「株主の権利を濫用すると経営に影響を及ぼす」などの使い方で、一定の基準や限度を超えて使うことを意味します。

悪用という言葉は、「悪用による詐欺被害は絶えない」「機能の悪用によってアカウントが凍結された人があるようだ」などの使い方で、間違った使い方をすることを意味します。

乱用と濫用と悪用の使い分け方

乱用と濫用という言葉は、どちらも一定の基準を越えて使うことを意味し、二つの言葉に違いはありません。

「濫」という漢字が、過去に当用漢字から削除される対象となったことから、似たような意味を持ち、同じ音である「乱」を日本新聞協会で代用することとなりました。

当用漢字表から結局削除されることはなかったものの、新聞では「乱」という漢字がそのまま使用されることとなりました。

一方の悪用という言葉は、乱用や濫用とは違って、本来とは異なる使い方かつ悪い目的で利用することを意味します。乱用や濫用は度を越えた使い方ではあるものの、悪い目的のためだけに使うわけではありません。

これらが、乱用、濫用、悪用の明確な違いです。

乱用の意味

乱用とは

乱用とは、むやみやたらに使うことを意味しています。

「薬物乱用」の意味

乱用を使った言葉として、「薬物乱用」があります。これは、規律や法律から外れた目的や方法で薬物を使用することを表す言葉です。

人間の身体に使ってはいけないと決められている薬物を使うことはもちろん、睡眠薬や鎮痛剤などの医薬品を定められた量を超えて摂取することも薬物乱用という扱いとなります。

表現方法は「薬物乱用」「職権乱用」「乱用禁止」

上記以外では「薬物乱用」「職権乱用」「乱用禁止」などが、乱用を使った一般的な言い回しです。

乱用の対義語

乱用の対義語・反対語としては、費用や労力などを節約することを意味する「節用」があります。

乱用の類語

乱用の類語・類義語としては、みだりに用いることを意味する「妄用」(読み方:ぼうよう)、多く使用することを意味する「多用」があります。

濫用の意味

濫用とは

濫用とは、一定の基準や限度を越えて使うことを意味しています。

濫用の読み方

濫用は「らんよう」という読み方をします。1954年に当用漢字表から削除される予定となりましたが、最終的に正式に採用されることはなかったため削除されることはありませんでした。

また、現行の常用漢字表にも「濫」という漢字は含まれています。そのため、現在「濫」という漢字を使った熟語もわざわざ他の漢字に置き換えて使うことはありません。

「職権濫用」の意味

濫用を使った言葉として、「職権濫用」があります。これは、自分の職務上認められている権限を越えた行いをしたり、不正に使用したりすることを表す言葉です。

公務員が職権乱用した場合は「公務員職権濫用罪」に該当します。過去に、警察官の捜査の手段としての盗聴行為がこの罪に該当し、実際の裁判で取り上げられました。

表現方法は「権利の濫用」「地位の濫用」「薬物の濫用」

上記以外では「権利の濫用」「地位の濫用」「薬物の濫用」などが、濫用を使った一般的な言い回しです。

濫用の類語

濫用の類語・類義語としては、むやみに発行や発布することを意味する「乱発」、事件や事故などがたびたび発生することを意味する「頻発」があります。

悪用の意味

悪用とは

悪用とは、本来の用途とは異なり、悪い目的のために利用することを意味しています。

表現方法は「悪用する」「悪用される」「悪用されそうで怖い」

「悪用する」「悪用される」「悪用されそうで怖い」などが、悪用を使った一般的な言い回しです。

「悪用可能性指標」の意味

悪用を使った言葉として、「悪用可能性指標」とは、Windowsのセキュリティ更新プログラムの重要性や適用の優先度を示すために使っている指標のことです。

「悪用厳禁」「悪用禁止」の意味

また、悪用を使った表現として、「悪用厳禁」「悪用禁止」があります。悪用という言葉が悪い目的のために使われる言葉であるため、その行為を行ってはいけないことを意味する「厳禁」や「禁止」などと使われることが多いです。

悪用の対義語

悪用の対義語・反対語としては、よい目的に用いることや上手く使うことを意味する「善用」があります。

悪用の類語

悪用の類語・類義語としては、使い方を間違えることを意味する「誤用」、そのもの本来の目的とは逆のことに利用することを意味する「逆用」、本来のものと正反対の形をとって現れることを意味する「倒錯」などがあります。

乱用の例文

1.眠りにつけないからと睡眠薬を乱用したことで友人が病院へと運ばれたが、なんとか一命を取り留めた。
2.どんな料理でも一つの調味料を乱用してしまいがちであるため、いつもと違うものを使おうと心掛けた。
3.職権乱用によってこの企業の一部の機能が正常に動いていないのは下っ端の自分でもわかる。

この言葉がよく使われる場面としては、むやみやたらに使うことを意味する時などが挙げられます。

どの例文の乱用も、濫用という言葉に置き換えて使うことができます。

濫用の例文

1.地位を濫用してくる上司に、私は何も言い返せずにいるが、先輩だけは正論を叩きつけていて尊敬する。
2.サービスの濫用が原因で使用を制限される文言が後日追加されていた。
3.権力の濫用を防止するために、憲法や法律などのルールが存在する。

この言葉がよく使われる場面としては、一定の基準や限度を越えて使うことを意味する時などが挙げられます。

どの例文の濫用も、乱用という言葉に置き換えて使うことができます。

悪用の例文

1.他者の作ったプログラムを悪用して、個人情報を流出させた疑いで犯人が逮捕されたというニュースがやっていた。
2.近年電子マネーを悪用して詐欺を行う手口が多く、被害を受ける企業も増えてきた。
3.テレビにふと顔を向けると、悪用禁止と大きく見出しが映し出されているのを見た。

この言葉がよく使われる場面としては、悪い目的のために利用することを意味する時などが挙げられます。

例文1と例文2の悪用という言葉は、乱用や濫用に置き換えて使うことはできません。

乱用と濫用と悪用どれを使うか迷った場合は、新聞の中でやたら用いることを表す場合は「乱用」を、公用文の中でやたら用いることを表す場合は「濫用」を、用途に反したことを表す場合は「悪用」を使うと覚えておけば間違いありません。

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