【期す】と【期する】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「期す」(読み方:きす)と「期する」(読み方:きする)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「期す」と「期する」という言葉は、どちらも期待することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「期す」と「期する」の違い

「期す」と「期する」の意味の違い

「期す」と「期する」の違いを分かりやすく言うと、「期す」は文語として使う、「期する」は口語として使うという違いです。

「期す」と「期する」の使い方の違い

一つ目の「期す」を使った分かりやすい例としては、「重要な発表に向けて万全を期す」「公正を期すために判定は第三者に行ってもらうつもりです」「正確を期すために構成を作り直す必要がある」「完璧を期すためにもう一度説明しますね」などがあります。

二つ目の「期する」を使った分かりやすい例としては、「私たちは再会を期する」「この実験は安全を期する必要があります」「彼の生還を期するのは難しいです」「彼女は心中ひそかに期するところがあります」などがあります。

「期す」と「期する」の使い分け方

「期す」と「期する」はどちらも期待することを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

結論から言ってしまうと、文語として使うのが「期す」、口語として使うのが「期する」になります。ではなぜ「期す」を文語で使うのかと言うと、サ行変格活用だからです。

サ行変格活用とは、動詞の活用形式の一つになります。

語形が、文語では「せ・し・す・する・すれ・せよ」、口語では「し(せ・さ)・し・する・する・すれ・しろ(せよ)」のように、文語では五十音サ行のシ・ス・セ三段の音で、口語ではサ・シ・ス・セ四段の音で語形変化する類例のない活用のことです。

そのため、「期す」は文語、「期する」は口語として使うと覚えておきましょう。

「期す」と「期する」の英語表記の違い

「期す」も「期する」も英語にすると「fix」「expect」「hope for」「be sure」「determined」となり、例えば上記の「彼女は心中ひそかに期するところがあります」を英語にすると「She has some secret aim she is determined to carry out」となります。

「期す」の意味

「期す」とは

「期す」とは、期待することを意味しています。その他にも、前もって期限や時刻を定めること、心に誓うことの意味も持っています。

「期す」の使い方

「大人になったら再会することを期す」「彼女の生還を期す」などの文中で使われている「期す」は、「期待すること」の意味で使われています。

一方、「将来の成功を期す」「彼の必勝を期す」などの文中で使われている「期す」は、「前もって期限や時刻を定めることや心に誓うこと」の意味で使われています。

「期す」は期待すること、前もって期限や時刻を定めること、心に誓うことの3つの意味を持つ動詞で、どの意味でも使われています。ただし、意味は微妙に異なっているので、前後の文章でどの意味を使用しているか判断するようにしましょう。

期待することの意味は最も使われており、「万全を期す」「正確を期す」「安全を期す」などのような言い回しでよく使用されています。

もって期限や時刻を定めることの意味は主にビジネスシーンにおいて使用されており、期限や予定などをしっかりと決める場合に使います。

心に誓うことの意味は決意や約束というニュアンスで使うことが多い言葉です。

「期す」の注意点

「期す」を使う上で注意しなければならないのは、文語としてしか使わないという点になります。なぜなら、「期す」は「期する」のサ行変格活用だからです。

「期す」の類語

「期す」の類語・類義語としては、あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けることを意味する「期待」、必要または当然なこととして相手に強く求めることを意味する「要求」などがあります。

「期する」の意味

「期する」とは

「期する」とは、期待することを意味しています。その他にも、前もって期限や時刻を定めること、心に誓うことの意味も持っています。

「期する」の使い方

「弟の生還を期するのは難しいです」「彼の大会での活躍を期する」などの文中で使われている「期する」は、「期待すること」の意味で使われています。

一方、「正午を期して決起する」「彼女との再会を期する」などの文中で使われている「期する」は、「前もって期限や時刻を定めることや心に誓うこと」の意味で使われています。

「期する」は期待すること、前もって期限や時刻を定めること、心に誓うことの3つの意味を持つ動詞で、どの意味でも使われています。ただし、意味は微妙に異なっているので、前後の文章でどの意味を使用しているか判断するようにしましょう。

期待することの意味は最も使われており、「万全を期する」「正確を期する」「安全を期する」などのような言い回しでよく使用されています。

もって期限や時刻を定めることの意味は主にビジネスシーンにおいて使用されており、期限や予定などをしっかりと決める場合に使います。

心に誓うことの意味は決意や約束というニュアンスで使うことが多い言葉です。

「期する」の特徴

「期する」は主に口語として使う言葉であると覚えておきましょう。

「期する」の類語

「期する」の類語・類義語としては、望みをかけることを意味する「見込む」、前もって期待することを意味する「予期」、将来のことを推しはかることを意味する「見越す」、物事の実現を強く求めることを意味する要望などがあります。

「期す」の例文

1.地域の発展を万を期す、新規プロジェクトが始まりました。
2.万全を期すために、彼らは部分的に差し控えることにしました。
3.7月30日を期す工事を担当したが、期間内に終わることができるのだろうか。
4.大人になったら再会を期すことを約束して、彼と別れました。
5.ホーム戦で必勝を期す私たちは、気合を入れてこの一戦に臨みます。

この言葉がよく使われる場面としては、期待することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、前もって期限や時刻を定めること、心に誓うことを表現したい時にも使います。

例文1と例文2は期待すること、例文3は前もって期限や時刻を定めること、例文4と例文5は心に誓うことの意味で使っています。

「期する」の例文

1.安全を期するために、危ない橋は渡らずに一つずつ丁寧にこなしていくつもりです。
2.セキュリティ対策を万全に期することで、お客様の情報を守り抜きます。
3.今年中の完成を期して、新製品の開発に取り掛かりました。
4.彼は心にひそかに期することがあるらしいが、それが何かは分かりません。
5.逆転でのクライマックスシリーズを期するこのチームは、最終戦の先発をエースに託すことにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、期待することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、前もって期限や時刻を定めること、心に誓うことを表現したい時にも使います。

例文1と例文2は期待すること、例文3は前もって期限や時刻を定めること、例文4と例文5は心に誓うことの意味で使っています。

「期す」と「期する」はどちらも期待することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、文語として使うのが「期す」、口語として使うのが「期する」と覚えておきましょう。

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