似た意味を持つ「理知的」(読み方:りちてき)と「知的」(読み方:ちてき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「理知的」と「知的」という言葉は、どちらも知恵があるさまを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
理知的と知的の違い
理知的と知的の意味の違い
理知的と知的の違いを分かりやすく言うと、知的よりも理知的の方が感情に左右されないことが強調されるという違いです。
理知的と知的の使い方の違い
一つ目の理知的を使った分かりやすい例としては、「理知的な人に対する憧れがある」「理知的な女性に憧れる」「理知的な言動を心掛けている」「理知的分別が足りない」「理知的な顔立ちをしている人だ」などがあります。
二つ目の知的を使った分かりやすい例としては、「知的で気の利いた発言をするタレント」「知育玩具のひとつにパズルがある」「これは知的障害者福祉法に関わる問題だ」「知的にみせるために眼鏡をかける」などがあります。
理知的と知的という言葉は、どちらも知恵があるさまを表しますが、二つの言葉を比べると知的という言葉の方が馴染みのある言葉でしょう。理知的は知的に「理」が加わった言葉ですが、この「理」には、は感情に左右されず道理に基づいて考え、判断する能力の意味があります。
「理知的な人」と「知的な人」の違い
上記の例の「理知的な人」とは、物事を知っていて冷静に論理的に物を考える人を意味します。これが「知的な人」になると、物事を知っていて筋道を立てて判断する能力がある人を意味します。理知的と知的は同じ意味を持ちますが、理知的は、感情に左右されないことを強調した表現になります。
理知的と知的の英語表記の違い
理知的も知的も英語にすると「intellectual」「cerebral」「healthy」となり、例えば上記の「理知的な人」を英語にすると「intellectual person」となります。
理知的の意味
理知的とは
理知的とは、理知によって冷静に物を考え行動するさまを意味しています。
その他にも、理知に富んでいるようにみえるさまの意味も持っています。
表現方法は「理知的な女性」「理知的な話し方」「理知的な顔立ち」
「理知的な女性」「理知的な話し方」「理知的な顔立ち」などが、理知的を使った一般的な言い回しです。
理知的の使い方
「理知的な男性に惹かれる」「社長は思想的信念を理知的に貫いている」「理知的な行動に努める」などの文中で使われている理知的は、「理知によって冷静に物を考え行動するさま」の意味で使われています。
一方、「教授は理知的な顔立ちをしている」「理知的な文章を書く人だ」「古今和歌集は繊細で理知的な作風の歌が多い」などの文中で使われている理知的は、「理知に富んでいるようにみえるさま」の意味で使われています。
理知的という言葉には二つの意味があり、理知によって冷静に物を考え行動するさまという性質を表す一方、理知に富んでいるようにみえるさまという目に見える様子を表します。上記の例にあるように、理知的と表す対象は人だけでなく、文章などの物事も表します。
理知的の語源
「理知」とは、理性と知恵であり、本能や感情に支配されず物事を論理的に考え判断する能力を意味します。理知という言葉は、「理知がある」など単体で使われることは少なく、「理知的」の形で用いられることが多い言葉です。
理知的の類語
理知的の類語・類義語としては、感情よりも知性や理性の働きに優位を認める性質を意味する「主知的」、道理や論理にかなっているさまを意味する「合理的」、考え方や行動が偏らず調和がとれていることを意味する「健全」などがあります。
理知的の理の字を使った別の言葉としては、道理によって物事を判断する心の働きを意味する「理性」、筋道を立てて組み立てられた知識の体系を意味する「理論」、事物や事象が依拠する根本法則を意味する「原理」などがあります。
知的の意味
知的とは
知的とは、知識・知性の豊かなさま、知性の感じられるさまを意味しています。
その他にも、知識・知性に関するさまの意味も持っています。
表現方法は「知的なイメージ」「知的なユーモア」「知的なしゃべり方」
「知的なイメージ」「知的なユーモア」「知的なしゃべり方」「知的な遊び」などが、知的を使った一般的な言い回しです。
知的の使い方
「彼は読書好きの知的な人だ」「クールで知的な印象の黒の服を好む」「知的美人にみせるメイク」などの文中で使われている知的は、「知識・知性の豊かなさま、知性の感じられれるさま」の意味で使われています。
一方、「知的好奇心が強い子供だ」「知的障害者の雇用を推進する」「知的財産権の侵害となる行為だ」などの文中で使われている知的は、「知識・知性に関するさま」の意味で使われています。
知的を用いた日本語には、「知的財産」「知的障害」などがあります。知的財産とは、精神活動の成果として、特許・著作・商標などの財産的価値のあるものを意味します。知的障害とは、知的発達障害の略であり、知能を中心とする精神の発達が遅れていて、社会生活への適応が困難なことを意味します。
知的の語源
知的という言葉は、ある事柄などについて理解し、考えて判断する能力がある様子を表します。「知」とは、物事の本質を知ることや、物事を見抜き理解する能力を意味する言葉で、「智」の書きかえ字ですが、一般的に「智的」と書き表すことはありません。
知的の類語
知的の類語・類義語としては、物事の理解が早く賢いことを意味する「聡明」、かしこくて物事の判断が適切であることを意味する「賢明」、聡明で物事の道理に通じていることを意味する「明哲」などがあります。
知的の知の字を使った別の言葉としては、認識することや考える働きを意味する「知識」、物事を知り考え判断する能力を意味する「知性」、物事の道理を判断し処理していく心の働きを意味する「知恵」などがあります。
理知的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、理知によって冷静に物を考え行動するさま、理知に富んでいるようにみえるさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある理知的は、理知によって冷静に物を考え行動する人を表しています。例文3から例文5にある理知的は、理知に富んでいるようにみえるさまを表しています。例文5では、冷静さを意味する理知的に対して、感情が高ぶる様子を表す情熱的という言葉が対比して使われています。
知的の例文
この言葉がよく使われる場面としては、知識・知性の豊かなさま、知識・知性に関するさまを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「知的好奇心」とは、物事に対して知ることへの欲求や、知りたいと思う気持ちを意味する言葉です。好奇心とは物事を探求しようとする根源的な心であり、特に知識と理解を深めたいという欲求に対して「知的好奇心」という言葉が使われています。
理知的と知的という言葉は、どちらも物事を知っていて筋道を立てて判断する能力を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、特に感情に左右されずに冷静な判断をすることを強調したい時は「理知的」を使うと良いでしょう。