似た意味を持つ「とても」と「かなり」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「とても」と「かなり」という言葉は、どちらも程度が甚だしいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「とても」と「かなり」の違い
「とても」と「かなり」の違いを分かりやすく言うと、「とても」の方が「かなり」よりもより甚だしい表現という違いです。
一つ目の「とても」を使った分かりやすい例としては、「今日はとても暑い日でした」「この進行度ではとても治る見込みはありません」「彼女はとても親切にしてくれました」「とてもじゃないが彼と仲良くすることはできません」「この本はとても面白いです」などがあります。
二つ目の「かなり」を使った分かりやすい例としては、「このアップルパイはかなり美味しいです」「試験でかなり悪い点を取ってしまいました」「彼女のことをかなり長い時間待っていました」「彼女は英語をかなりよく話す」などがあります。
「とても」と「かなり」はどちらも程度が甚だしいことを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「とても」の方が「かなり」よりもより甚だしい表現という点です。
また、「とても」はどのようにしても実現しない気持ちを表すことの意味も持っているというのも違いの一つになります。
「とても」を英語にすると「very」「extremely」「really」となり、例えば上記の「この本はとても面白いです」を英語にすると「This book is extremely entertaining」となります。
一方、「かなり」を英語にすると「pretty」「fairly」「rather」「considerably」となり、例えば上記の「彼女は英語をかなりよく話す」を英語にすると「She speaks English fairly well」となります。
「とても」の意味
「とても」とは、程度の甚だしいことを意味しています。その他にも、どのようにしても実現しない気持ちを表すことの意味も持っています。
「とても」を漢字にすると、「迚も」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「とても」を使うようにしましょう。
「今日は空がとても綺麗です」「彼はとても優しく接してくれたので好きになりそうです」などの文中で使われている「とても」は、「程度の甚だしいこと」の意味で使われています。
一方、「とても食べられない量なのでお隣さんにお裾分けすることにしました」「それはとても無理な相談ですよ」などの文中で使われている「とても」は、「どのようにしても実現しない気持ちを表すこと」の意味で使われています。
「とても」は程度が甚だしいことと、どのようにしても実現しない気持ちを表すことの二つの意味を持つ言葉です。
「とても」は元々どっちみやいずれにせよを意味する「とてもかくても」を省略した言葉として使われていました。したがって、「とても○○ない」の形で、どのようにしても実現しない気持ちを表すことの意味で使われていた言葉だったのです。
それが時代が経つにつれて変化していき、程度が甚だしいことの意味で使われるようになり、現代の二つの意味を持つ「とても」になったと言われています。
「とても」はプラスのイメージだけではなく、マイナスなイメージでも使うことができるというのが特徴です。また、どちからというと公の場や文章などで使われることが多い言葉になります
「とても」の類語・類義語としては、どうやってみてものことを意味する「到底」、並の程度はないことを意味する「非常に」、 程度や分量が甚だしいことを意味する「大層」、 程度が際立っていることを意味する「殊の外」などがあります。
「かなり」の意味
「かなり」とは、極端ではないが並の程度を超えていることを意味しています。その他にも、相当の程度まで行っていることの意味も持っています。
「かなり」を漢字にすると、「可成り」や「可也」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「かなり」を使うようにしましょう。
「今日はかなりお客さんが来ています」「彼はかなり酔っているようです」などの文中で使われている「かなり」は、「極端ではないが並の程度を超えていること」の意味で使われています。
一方、「私にはかなりな収入があります」「亡くなった人はかなりな数にのぼる」などの文中で使われている「かなり」は、「相当の程度まで行っていること」の意味で使われています。
「かなり」は極端ではないが並の程度を超えていることと、相当の程度まで行っていることの二つの意味を持つ言葉です。
極端ではないが並の程度を超えていることの意味は副詞で使うのが一般的で、相当の程度まで行っていることの意味は形容動詞として使うのが一般的です。
副詞とは品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。また、形容動詞とは活用のある自立語で、文中において単独で述語になることができます。
「かなり」の語感はとても柔らかいので、日常生活においてもよく使われていると覚えておきましょう。
「かなり」の類語・類義語としては、思ったよりものことを意味する「割に」、かなりの程度であることを意味する「相当」などがあります。
「とても」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、程度の甚だしいことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、どのようにしても実現しない気持ちを表すことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「とても」は程度が甚だしいこと、例文4と例文5の「とても」はどのようにしても実現しない気持ちを表すことの意味で使っています。
「かなり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、極端ではないが並の程度を超えていること程度が甚だしいことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、相当の程度まで行っていることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「かなり」は極端ではないが並の程度を超えていること、例文4と例文5の「かなり」は相当の程度まで行っていることの意味で使っています。
「とても」と「かなり」はどちらも程度が甚だしいことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「とても」の方が「かなり」よりもより甚だしい表現と覚えておきましょう。