似た意味を持つ「仲買」(読み方:なかがい)と「仲卸」(読み方:なかおろし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「仲買」と「仲卸」という言葉は、どちらも「品物の売買で儲ける商行為」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
仲買と仲卸の違い
仲買と仲卸の意味の違い
仲買と仲卸の違いを分かりやすく言うと、仲買とは品物を売買して儲ける一般的な商行為、仲卸とは品物を売買して儲ける卸売市場内での商行為という違いです。
仲買と仲卸の使い方の違い
一つ目の仲買を使った分かりやすい例としては、「株式仲買人になるには免許が必要です」「私は仕入れた魚を全国に出荷する仲買人です」「鮮魚仲買は卸売市場で仕入れた魚を小売店に販売する」「問屋は仲買に商品を卸売りする」などがあります。
二つ目の仲卸を使った分かりやすい例としては、「生産者と仲卸の良好な関係を築く」「仲卸業者として魚を大手スーパーに卸しています」「仲卸業者の経営状況を調査する」「青果仲卸業向け販売管理システムをご提案いたします」などがあります。
仲買と仲卸の使い分け方
仲買と仲卸という言葉は、どちらも品物の売買を仲立ちすることによって営利をはかる商業形態を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
仲買とは、物品や権利の売買の媒介をして利益を得る商行為や、それを仕事にしている人を指す言葉です。広く使われる言葉であり、米の生産者と米問屋を仲介する業務を「米仲買」、株式取引所で株式の売買を行う者を「株式仲買人」と言います。
一方、仲卸とは、青果物・水産物・食肉などを扱う卸売市場内で、卸売業者と小売業者を仲介する業者のことです。卸売市場に店舗を構え、卸売業者から買い受けた商品を仕分けて小売業者に販売します。
つまり、仲卸は卸売市場内での仲買行為であり、扱う品物も限られています。仲買と仲卸という言葉を比べると、仲買の方が広い意味を持ち汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
仲買と仲卸の英語表記の違い
仲買を英語にすると「brokerage」「broker」となり、例えば上記の「株式仲買人」を英語にすると「a stock-broker」となります。
一方、仲卸を英語にすると「intermediate wholesaler」「middle trader」となり、例えば上記の「生産者と仲卸」を英語にすると「a producer and wholesaler」となります。
仲買の意味
仲買とは
仲買とは、物品や権利の売買の媒介をして営利をはかること、それを業とする人を意味しています。
仲買の読み方
仲買の読み方は「なかがい」、仲買人の読み方は「なかがいにん」です。誤って「ちゅうかい」「ちゅうかいにん」などと読まないようにしましょう。
仲買の使い方
仲買を使った分かりやすい例としては、「産地仲買人は朝一番で水揚げ状況を確認します」「100年以上の歴史ある魚介類の仲買業者です」「焼津漁港には多くの仲買業者が店を構えています」「仲買は小売商に商品を卸売りする」などがあります。
その他にも、「私の先祖は江戸時代に牛馬の仲買商人をしていたそうです」「江戸時代になって問屋商人と仲買商人に分化しました」「英語が話せる仲買人はいますか」「株仲間は問屋や仲買などの大商人の同業者組織です」などがあります。
仲買とは、商行為の一つです。問屋と小売商、または生産者と問屋との間に立って、物品や権利の売買の仲立ちをして営利をはかることを意味します。仲買は、商品流通の過程いおいて売買取引を円滑にする役割を果たしています。
「仲買人」の意味
仲買を用いた日本語には「仲買人」があります。仲買人とは、卸商から商品を仕入れ、それを小分けして小売商に販売する商業者のことです。仲買人の代表例には、中央卸売市場の仲卸業者があります。「仲買商」とも言います。
「仲買手数料」は誤字
仲買の誤った使い方には「仲買手数料」があります。正しくは仲介手数料であり、不動産業界で使われている言葉です。仲介手数料とは、不動産会社が売主と買主の間に入って売買契約を成立させたときにもらう報酬のことです。
仲買の類語
仲買の類語・類義語としては、売買の仲介をする人を意味する「ブローカー」、生産者から大量の商品を仕入れ小売商に売り渡すことを意味する「卸売り」、製造元から卸してきた品を転売することを意味する「受売り」、消費者に対して直接商品を販売することを意味する「小売り」などがあります。
仲卸の意味
仲卸とは
仲卸とは、卸売市場の中に店舗を構え、卸売業者から買い受けた商品を仕分けて小売業者などの買出人に販売する業者を意味しています。
仲卸の使い方
仲卸を使った分かりやすい例としては、「英語で取引できる青果の仲卸を探しています」「塩釜水産物仲卸市場の見学ツアーに申し込む」「仲卸業者の最大手から内定をもらいました」「仲卸業者の平均的な年収を調べる」などがあります。
その他にも、「仲卸の利益率はどのぐらいですか」「仲卸業とは卸売業者と小売業者を仲介する業者です」「仲卸と卸売の違いを教えてください」「個人的見解ですが仲卸業者はいらないと思います」などがあります。
仲卸とは、「仲卸業者」のことです。卸売市場において、卸売業者からセリで買い入れた商品を仕分けて店舗に並べ、小売商や買出人向けに販売する業者です。扱う商品には、青果物、食肉、水産物、食肉、花きなどがあります。卸売市場で仲卸業を営むには、市場開設者の許可が必要になります。
「仲卸人」の意味
仲卸を用いた日本語には「仲卸人」があります。中央卸売市場で商品を卸売り人から買い、市場内の売り場で小売り人などに対して、その商品を売る人のことです。
仲卸の類語
仲卸の類語・類義語としては、生産者などから商品を仕入れ消費者以外に対して販売を行う流通業者を意味する「問屋」、問屋が商品を小売店に売り渡すことを意味する「卸」、他者から購入した商品を変えずに他の事業者に販売する事業を意味する「卸売業」などがあります。
仲買の例文
この言葉がよく使われる場面としては、権利や物品を、売主と買主の間で売買して儲けることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「仲買人と仲介人の違い」は、仲買人は仲買の業務を行う商業者のことであり、仲介人は二者の間を取り持って話を取りまとめる役割の人のことです。仲買人の目的は商品の売買ですが、仲介人の目的は間を取り持つことという違いがあります。
仲卸の例文
この言葉がよく使われる場面としては、卸売市場内で、卸売業者と小売業者を仲介する業者を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「仲卸と問屋の違い」は、仲卸は卸売市場内での売買参加権をもつ業者のことであり、問屋(読み方:とんや)は、法律での決まりはなく広義の卸業を指す一般的な表現です。
仲買と仲卸という言葉は、どちらも「品物の売買で儲ける商行為」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、売主と買主の間で売買して儲けることを表現したい時は「仲買」を、卸売市場内で商品を売買して儲けることを表現したい時は「仲卸」を使うようにしましょう。