【足を運ぶ】と【足を延ばす】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「足を運ぶ」(読み方:あしをはこぶ)と「足を延ばす」(読み方:あしをのばす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「足を運ぶ」と「足を延ばす」という言葉は、どちらも「足」を使った慣用句という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「足を運ぶ」と「足を延ばす」の違い

「足を運ぶ」と「足を延ばす」の意味の違い

「足を運ぶ」と「足を延ばす」の違いを分かりやすく言うと、「足を運ぶ」とはあることのためにわざわざ出向くこと、「足を延ばす」とは今来ている所よりさらに遠くまで行くことという違いです。

「足を運ぶ」と「足を延ばす」の使い方の違い

一つ目の「足を運ぶ」を使った分かりやすい例としては、「休みの日は音楽ライブへ足を運ぶ」「是非足をお運びになってください」「本日は足を運んでいただきありがとうございます」「何度も足を運んでいただき申し訳ありません」「お店に毎週足を運ぶ」などがあります。

二つ目の「足を延ばす」を使った分かりやすい例としては、「旅行のついでに祖父の家へ足を延ばすことにした」「せっかく近くへ来たので実家まで足を延ばすことにした」「ちょっと足を延ばして沖縄へ」などがあります。

「足を運ぶ」と「足を延ばす」の使い分け方

「足を運ぶ」と「足を延ばす」はどちらも「足」を使った慣用句ですが、それぞれ意味が異なっています。「足を運ぶ」はあることのためにわざわざ出向くことを意味しており、「足を延ばす」は今来ている所よりさらに遠くまで行くことと覚えておきましょう。

足を使った慣用句は上記以外にもたくさんあります。「足が重い」「足が遠のく」「足を洗う」「足が付く」「足が早い」「足が棒になる」「足を引っ張る」「足を踏み入れる」「足を向けて寝られない」などです。

「足を運ぶ」と「足を延ばす」の英語表記の違い

「足を運ぶ」を英語にすると「go」「visit」「come」となり、例えば上記の「お店に毎週足を運ぶ」を英語にすると「I go to the store every week」となります。

一方、「足を延ばす」を英語にすると「go on to」「take a side trip to」となり、例えば上記の「ちょっと足を延ばして沖縄へ」を英語にすると「Going to relax a little bit in Okinawa」となります。

「足を運ぶ」の意味

「足を運ぶ」とは

「足を運ぶ」とは、あることのためにわざわざ出向くことを意味しています。

「足を運ぶ」の使い方

「足を運ぶ」を使った分かりやすい例としては、「弊社まで足をお運びいただき大変恐縮です」「当店までようこそ足をお運びくださいました」「休日はスタジムアムまで足を運びサッカー観戦しています」「多くの取引先に足を運ぶことを目標としています」などがあります。

「足を運ぶ」は目上の人には失礼

「足を運ぶ」という言葉は、ビジネスシーンと日常生活の両方で使えるのですが、単に行くだけではなく「わざわざ出向く」という意味なので、ビジネシーンで使う場合は注意が必要になります。

なぜ注意が必要かと言うと、自分が主語になる場合、目上の人に対して使うと失礼な言い方になってしまうからです。もし、目上の人に対して向かうことを伝えたい場合は、「伺がいます」を使うようにしましょう。

「脚を運ぶ」は間違い

「足」という漢字は「脚」と表わすことができますが、「足を運ぶ」を「脚を運ぶ」とすることはできません。

表現方法は「足をお運びください」「足をお運びいただき」「無駄足を運ぶ」

「足をお運びください」「足をお運びいただき」「無駄足を運ぶ」「ライブに足を運ぶ」などが、「足を運ぶ」を使った一般的な言い回しになります。

「足を運ぶ」の類語

「足を運ぶ」の類語・類義語としては、人を訪ねることを意味する「訪問する」、人が訪ねてくることを意味する「来訪する」、人の家などを訪問することを謙った言い方を意味する「御邪魔する」、自分の方から目的の場所へ行くことを意味する「出向く」などがあります。

「足を運ぶ」の運の字を使った別の言葉としては、人や物を目的の場所に運ぶことを意味する「運送する」、大きな機械を作動させることを意味する「運転する」、物が動くことを意味する「運動する」、物品を運び移すことを意味する「運搬する」などがあります。

「足を延ばす」の意味

「足を延ばす」とは

「足を延ばす」とは、今来ている所よりさらに遠くまで行くことを意味しています。

「足を延ばす」の使い方

「足を延ばす」を使った分かりやすい例としては、「出張のついでに実家まで足を延ばす」「大阪へ遊びいったが京都まで足を延ばすことにした」「近くに有名な和菓子屋があることを思い出し足を延ばすことにした」「あのお店は足を延ばして行く価値がある」などがあります。

「足を延ばす」は、今来ている所よりさらに遠くまで行くことを意味しているので、旅行や出張で遠出した際に、予定の場所よりもさらに遠くへ行く場合によく使われます。

また、同音の「足を伸ばす」は、足を伸ばして楽な姿勢を取るという全く違う意味なので、間違って使わないようにしましょう。

「足を延ばす」の類語

「足を延ばす」の類語・類義語としては、遠くへ出かけることを意味する「遠出する」、試合や探検などで遠くへ行くことを意味する「遠征する」、あることを行うときに一緒に他のことにも利用できる機会のことを意味する「序で」(読み方:ついで)などがあります。

「足を延ばす」の延の字を使った別の言葉としては、時間や距離などを延ばすことを意味する「延伸」、予定の時刻や期日より遅れて着くことを意味する「延着」、長さや期間を延ばすことを意味する「延長」、本来の予定を延ばしてさらに何泊かすることを意味する「延泊」などがあります。

「足を運ぶ」の例文

1.今年の大型連休は、コンサートやライブへ足を運ぶと決めています。
2.足を運んだ甲斐がないないことを無駄足を踏むというが、無駄足を運ぶと言い換えることもできる。
3.営業の基本はお客様のもとに足を運ぶことだ、という上司の言葉を大切にしています。
4.この度は弊社まで足をお運びいただき、誠にありがとうございます。
5.お忙しいのに何度も足を運んでいただき、大変感謝しております。
6.タイフェスティバルというから本場の味が楽しめると思い来たのだが、日本人が作るタイ風料理の屋台が並ぶだけで、わざわざ足を運ぶまでもなかった。
7.電車で片道2時間の桜の名所を見に行ったのだが、平日で人も少なく、珍しく快晴の富士山をバックに写真も撮れたので、足を運んだ甲斐があった。
8.友人は東京で暮らしていたのに研究に忙しくて、原宿などの繁華街に一度も足を運んだことがない。
9.せっかく鎌倉に来たのだから有名な文豪がよく足を運んだという定食屋さんにいってみることにした。
10.人気のスイーツがなかなか買えず頻繁に足を運んで、やっと購入することが出来て嬉しかった。

この言葉がよく使われる場面としては、あることのためにわざわざ出向くことを表現したい時などが挙げられます。

例文の1のように日常生活で使うだけでなく、例文4や例文5のように、ビジネスシーンで使うことができる言葉です。

「足を延ばす」の例文

1.足を延ばすは、身体の足を伸ばすことの意味ではないので注意しよう。
2.今日の買い物は終わったが、お寿司が食べたくなっため、お寿司屋さんまで足を延ばすことにした。
3.出張先の近くに有名な恋愛成就の神社があることを思い出したので、帰りに足を延ばそうと思う。
4.旅行で祖母の家の近くまできたので、顔を見せに足を延ばすことにした。
5.神奈川県まで旅行へ行ったが、せっかくなので東京まで足を延ばすことにした。
6.事前の旅行の予定ではなかったのだが、名物の猫の駅長がいるとのことで駅舎まで足を延ばした。
7.出張が一段落したので、隣町の親戚のおばさんの家まで足を延ばしたが、あいにく不在で会うことが出来なかった。
8.鎌倉まで来るのでしたら、ぜひ足を延ばして、江ノ島の灯台もご覧ください。
9.数量限定の本を購入するために隣町の本屋さんまで足を延ばしてやっと手に入れることが出来た。
10.ここまできたのだからこの近くの秘境と言われている温泉にも足を延ばしてみようよ。

この言葉がよく使われる場面としては、今来ている所よりさらに遠くまで行くことを表現したい時などが挙げられます。

例文3から例文5のように、出張先や旅行先で時間がある場合に、さらに遠くまで行く場合によく使われます。

「足を運ぶ」と「足を延ばす」はどちらも「足」を使った慣用句ですが、使い方は違います。あることのためにわざわざ出向くことを表現したい場合は「足を運ぶ」を、今来ている所よりさらに遠くまで行くことを表現したい場合は「足を延ばす」を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
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