似た意味を持つ「限定」(読み方:げんてい)と「制限」(読み方:せいげん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「限定」と「制限」という言葉は、どちらも「物事の範囲を定めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
限定と制限の違い
限定と制限の意味の違い
限定と制限の違いを分かりやすく言うと、限定とは範囲や数量を定めること、制限とは許容できる範囲を定めることという違いです。
限定と制限の使い方の違い
一つ目の限定を使った分かりやすい例としては、「初回限定版にプレミアがつくこともあります」「一部の医薬品は限定出荷となっています」「限定提供データとして保護を受ける」「YouTubeの限定公開で動画を共有する」などがあります。
二つ目の制限を使った分かりやすい例としては、「アクセス制限を一時的に解除する」「YouTubeの制限付きモードをオンにする」「制限値幅が拡大されました」「未成年者の制限行為能力者制度について調べています」などがあります。
限定と制限の使い分け方
限定と制限という言葉は、どちらも物事の範囲を決めて一定の状態にすることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
限定とは、一定の条件内に限ることを意味します。「限定生産」のように数量を限ることや、「地域限定」のように範囲を定めることなどに使用される言葉です。また、「限定公開」のように権限を限ることにも用いられています。
制限とは、許容できる範囲や限度を決めて、そこから出ないようにすることを意味します。「YouTubeの制限付きモード」とは、子どもが視聴できるYouTube動画を保護者がコントロールできる機能で、 この機能をオンにすると、成人向けのコンテンツが表示されなくなります。
つまり、限定とは範囲や数量あるいは権限などを定めることであり、制限とは許容できる範囲や限度を決めて制御することです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
限定と制限の英語表記の違い
限定も制限も英語にすると「limitation」「restriction」となり、例えば上記の「限定版」を英語にすると「limited edition」となります。
限定の意味
限定とは
限定とは、物事の範囲や数量を限ることを意味しています。
その他にも、「思考の対象の性質・範囲などを狭めて明確に定めること」の意味も持っています。
限定の使い方
「限定承認の手続き方法を教えてください」「限定ジャンケンのルールを知ってますか」「運転免許の限定解除にかかる費用を調べる」などの文中で使われている限定は、「物事の範囲や数量を限ること」の意味で使われています。
一方、「10進数の世界に限定する」「変数を自然数に限定しない」「理性的な活動を人間特有の活動と限定する」などの文中で使われている限定は、「思考の範囲などを狭めて明確に定めること」の意味で使われています。
限定とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「物事の範囲や数量を限ること」の意味で用いられている言葉です。限定の「限」は訓読みで「かぎる」と読み、範囲を定めること、「定」は訓読みで「さだめる」と読み、物事を決めて変えないことを表します。
表現方法は「限定承認」
限定を用いた日本語には「限定承認」があります。限定承認とは、宅建士の用語であり、相続人が被相続人の債務や遺贈について、相続によって得た財産の限度で弁済するという相続形態を意味します。「限定相続」とも呼ばれています。
限定の対義語
限定の対義語・反対語としては、数量や程度に限度がないことを意味する「無限」などがあります。
限定の類語
限定の類語・類義語としては、事物などを特にそれとさして決めることを意味する「指定」、特にそれと定まっていることを意味する「特定」、特定の人やものを指定することを意味する「指名」、名前をあげてそれと指定することを意味する「名指し」などがあります。
制限の意味
制限とは
制限とは、物事にある限界を設けること、また、その限界を意味しています。
制限の使い方
制限を使った分かりやすい例としては、「標識の制限速度を確認しましょう」「制限酵素の原理を解説します」「アプリを使って制限解除を行う」「英語の文法で制限用法と非制限用法の違いが分かりません」などがあります。
その他にも、「制限付き一般競争入札を執行します」「制限値幅の上限に達しストップ高になる」「制限外積載許可申請書を提出しました」「YouTubeで著作権に関する制限が発生した」「制限付きモード無効にする方法はありますか」などがあります。
制限の「制」は訓読みで「おさえる」と読み、しっかり押さえて自由に動けないようにすることを表します。範囲を定めることを表す「限」と結びつき、制限とは、許容できる限度や範囲を決め、それを超えることを許さないことを意味します。
表現方法は「制限行為能力者」
制限を用いた日本語には「制限行為能力者」があります。制限行為能力者とは、民法上、単独では完全な法律行為を行うことのできない者を意味します。制限行為能力者には、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つのケースがあります。
制限の対義語
制限の対義語・反対語としては、制限がないことや制限しないことを意味する「無制限」などがあります。
制限の類語
制限の類語・類義語としては、条件をつけたり枠を設けたりして自由を制限することを意味する「制約」、他からの要因が人の考えや行動などを規定し束縛することを意味する「支配」、規則に従って物事を制限することを意味する「規制」などがあります。
限定の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数量や権限などを一定の範囲に限り定めることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「限定化」とは、特定の条件や範囲に制限を設けることを意味します。「化」は、前と違った状態になることを表す漢字です。
制限の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある限度や範囲から出ないようにおさえることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「年齢制限」とは、ある事を行う際に、実行者の年齢によって実行をさせないものとなる決まりを意味します。例えば、日本では飲酒や喫煙は20歳以上という年齢制限があります。
限定と制限という言葉は、どちらも「物事の範囲を定めること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、範囲や数量を定めることを表現したい時は「限定」を、許容できる範囲を定めることを表現したい時は「制限」を使うようにしましょう。