【しじま】と【静寂】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「しじま」と「静寂」(読み方:せいじゃく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「しじま」と「静寂」という言葉は、どちらも静かでひっそりしていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「しじま」と「静寂」の違い

「しじま」と「静寂」の意味の違い

「しじま」と「静寂」の違いを分かりやすく言うと、「しじま」とはその場所に人がいて口を閉ざして静かにしている様子のこと、「静寂」とは物音が一切せず静まり返っている様子のことという違いです。

「しじま」と「静寂」の使い方の違い

一つ目の「しじま」を使った分かりやすい例としては、「夜のしじまを貫いて外から物音が聞こえてきました」「列車の汽笛がこの辺りのしじまを破る」「この街全体がしじまに包まれている」などがあります。

二つ目の「静寂」を使った分かりやすい例としては、「夜の静寂を破る轟音がした」「この辺りは静寂です」「新緑に心洗われしばし静寂に身を委ねる」「この辺りはとても静寂ですなので気に入っています」「爆音が夜の静寂を破った」などがあります。

「しじま」と「静寂」の使い分け方

「しじま」と「静寂」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「しじま」は黙り込んで話をしないというニュアンスで、その場所に人がいて口を閉ざして静かにしている様子を指すことが多いの対して、「静寂」は黙り込んで話をしないというニュアンスがなく、物音が一切せず静まり返っている様子のことを表しているというのが違いです。

したがって、人が集まっていて誰も話をしなくて静かな状況を表したいのであれば、「静寂」ではなく、「しじま」が適しているでしょう。

また、「しじま」は日常生活などではほとんど使われず、小説や歌詞などで使うのが一般的というのも違うの一つです。

「しじま」と「静寂」の英語表記の違い

「しじま」も「静寂」も英語にすると「silence」となり、例えば上記の「爆音が夜の静寂を破った」を英語にすると「An explosion broke the silence of the night」となります。

「しじま」の意味

「しじま」とは

「しじま」とは、静まりかえって物音一つしないことを意味しています。その他にも、口を閉じて黙りこくっていることの意味も持っています。

表現方法は「夜のしじま」「しじまに響く」

「夜のしじま」「しじまに響く」などが、「しじま」を使った一般的な言い回しになります。

「しじま」の使い方

「しじま」を使った分かりやすい例としては、「夜のしじまを破る物凄い音がしました」「悲しみのしじまの中に誰かの泣き声が聞こえました」「みんな自宅へ帰っていったしまい夜のしじまを一人で過ごす」などがあります。

「しじま」は、静まりかえって物音一つしないことや口を閉じて黙りこくっていることの意味を持つ大和言葉です。大和言葉とは漢語でも外来語でもない、古来から使われている日本で生まれ日本で育った言葉のことを指しています。

「しじま」の特徴は日常生活においてはほとんど使われていないという点です。大和言葉なので非常に文学的な響きを持っており、それが相まって歌詞や小説などの文学的な場面において使うのが一般的になっています。そのため、馴染みがない方も多いでしょう。

「しじま」の漢字表記

「しじま」を漢字で表記すると「静寂」や「沈黙」とすることができますが、当て字になります。

「しじま」の漢字表記

「しじま」の類語・類義語としては、物音もなく静かなことを意味する「沈黙」、黙っていてものを言わないことを意味する「黙り」(読み方:だんまり)、音がしないことを意味する「無音」などがあります。

「静寂」の意味

「静寂」とは

「静寂」とは、静かでひっそりしていることを意味しています。

表現方法は「静寂な空気」「静寂に包まれる」「静寂を破る」

「静寂な空気」「静寂に包まれる」「静寂を破る」などが、「静寂」を使った一般的な言い回しになります。

「静寂」の使い方

「静寂」を使った分かりやすい例としては、「深い森の中に腰を下ろして静寂の音に耳をすます」「誰もいない住宅街は静寂に包まれていた」「図書館の静寂さが好きです」「将来は静寂に包まれた田舎で過ごすのが夢ですなどがあります。

「静寂」は静かでひっそりしていることを意味する言葉です。「静寂」が当てはまるのは主に空間の概念になりますが、「一つの街」「森の中」「自分の部屋」などの空間の大きさについては大小問わずに使うことができます。

「静寂」は自然の中で物音が一切せず静まり返っている様子の場合に使う言葉なので、人がいるのにみんな黙って静かな場合は「静寂」を使うのは適していません。

もし、「静寂」を使いたいのであれば、「この辺りはとても静寂です」「静寂な森の中に腰を下ろす」などのように、空間を指して使うようにしましょう。

「静寂」の対義語

「静寂」の対義語・反対語としては、物音や人声のうるさく騒がしいことを意味する「喧噪」(読み方:けんそう)があります。

「静寂」の類語

「静寂」の類語・類義語としては、耳ざわりな物音や声がしないことを意味する「静か」、ひっそりとしていることを意味する「物静か」、もの静かで落ち着いたことを意味する「閑静」、静かにして慎んでいることを意味する「静粛」などがあります。

「しじま」の例文

1.彼が家を出て行ってしまいました。悲しみのしじまが私の心を打ち付けます。
2.成人した息子や親戚達も家へ帰って行ったので、夜のしじまを奥さんと二人で過ごしました。
3.夜のしじまを引き裂くように消防車のサイレンが聞こえてきました。どこか近くで火事があったらしい。
4.夜のしじまに突然物音がしたので外を見ていると、近くのビルで爆発が起きていました。
5.いくそたび君がしじまに負けぬらむ物な言ひそといはぬたのみに。
6.さっきまで眠気や空腹で仕事がはかどらなかったが、深夜のしじまの中で気分がハイになりアイデアがわいてきた。
7.ここ数日、なぜか心がざわざわとしていたのですが、急に訪れたしじまに異を感じ、タクシーを彼のもとに走らせたのですが、一歩遅かったようです。
8.昨日は夜のしじまを破るほどのものすごい怒鳴り声が聞こえてきたが、何か事件じゃなければいいがね。
9.わたしはペットを失い、悲しみのしじまを一人で過ごすことがつらかったので友人の家に泊めてもらった。
10.夕方のしじまをカラスの鳴き声が引き裂いたことでなんだか一人でいるのが怖くなってしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、静まりかえって物音一つしないことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、口を閉じて黙りこくっていることを表現したい時にも使います。

例文5の「しじま」は源氏物語で使われてた一文になります。

「静寂」の例文

1.夜になると人々のの姿は無くなり、静寂の瞬間が訪れます。
2.彼の思わぬ発言により、にぎやかなパーティー会場が、一転して静寂に包まれた。
3.静寂を破るように、パトカーがサイレンを鳴らして走っていきました。
4.静寂に包まれた部屋に帰るのはとても寂しいので、ずっとここで飲んでいたいです。
5.プラモデルを作っている時は、私の心は静寂に包まれ没頭できます。
6.最近見つけたお気に入りの公園は、都心なのに静寂に包まれていてリラックスしたいときにぴったりの場所だ。
7.生徒たちが帰ったあとの静寂しかない学校は、とても心もとなく落ち着かないので、いっさいの事務作業はうちに帰ってからやるようにしているんです。
8.日本の伝統である和室は静寂が似合うので、あまりガチャガチャ音を立ててほしくないのだ。
9.昼間は観光客やビジネスマンが行きかうこの街も夜になれば静寂が訪れるのだ。
10.家は落ち着かず静寂を求めていつも図書館に行っており、いつもそこで予習復習をしていた。

この言葉がよく使われる場面としては、静かでひっそりしていることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「静寂」は主に日常生活において使う言葉になります。

「しじま」と「静寂」はどちらも静かでひっそりしていることを表します。どちらを使うか迷った場合、その場所に人がいて口を閉ざして静かにしている様子のことを「しじま」、物音が一切せず静まり返っている様子のことを「静寂」と覚えておきましょう。

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