似た意味を持つ「言葉」(読み方:ことば)と「言語」(読み方:げんご)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「言葉」と「言語」という言葉は、どちらも「音声や文字によって伝える表現法」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
言葉と言語の違い
言葉と言語の意味の違い
言葉と言語の違いを分かりやすく言うと、言葉とは音声や文字によって伝える表現、言語とは特定の国や分野で使われる言葉を体系化したものという違いです。
言葉と言語の使い方の違い
一つ目の言葉を使った分かりやすい例としては、「お世話になった恩師には感謝の言葉もありません」「言葉にせずとも分かってもらえるだろう」「言葉足らずで申し訳ございません」「言葉尻をとらえて言い掛かりをつけないでください」などがあります。
二つ目の言語を使った分かりやすい例としては、「言語学の入門書を読んでいます」「言語聴覚士協会の研修に参加します」「言語化がうまい人はコミュニケーション能力が高い」「言語明晰なのに意味不明な演説であった」などがあります。
言葉と言語の使い分け方
言葉と言語という言葉は、どちらも人の考えなどを音声や文字によって伝える表現法を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
言葉とは、人々が感情や考えなどを伝え合うために用いる音声や文字を意味します。「感謝の言葉もありません」とは、感謝の度合いが大きすぎて上手に言い表せる言葉が見つからないことを表します。また、「言葉を吟味する」「汚い言葉」のように、単語や口ぶりなど幅広い意味を持ちます。
言語とは、音声や文字によって人の意志や感情などを表現するルールや体系を意味します。日本語や英語、あるいはプログラミング言語など、その国や分野で使用されている言葉を体系化したものを指します。「言葉」に比べて抽象的な概念です。
つまり、言葉とは音声や文字を用いた表現ですが、言語とは特定の国や分野で使われる言葉を体系的に表現したものです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
言葉と言語の英語表記の違い
言葉も言語も英語にすると「word」「language」「speech」となり、例えば上記の「感謝の言葉」を英語にすると「appreciative words」となります。
言葉の意味
言葉とは
言葉とは、人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする意味のある表現、言うことを意味しています。
その他にも、「音声や文字によって人の感情・思想を伝える表現法、言語」「文の構成要素をなす部分、単語、語句」「言い方、口のきき方、口ぶり、言葉遣い」の意味も持っています。
言葉の別表記
言葉は「詞」「辞」とも書きますが、一般的には「言葉」と表記されています。
言葉の読み方
言葉の読み方は「ことば」の他に「けとば」があります。「けとば」と読むと上代東国方言を指し、奈良時代に東国で話されていた上代日本語を意味します。
言葉の使い方
「とっさに言葉が出てこない」「あなたの言葉を信じます」の文中で使われている言語は「意味のある表現」の意味で、「胸がいっぱいで言葉にできない」「言葉はまるで雪の結晶のようだ」の文中で使われている言語は「感情や思想を伝える表現法」の意味で使われています。
一方、「これは言葉のあやに富んだ小説です」「言葉遊びは奥が深いものです」の文中で使われている言語は「単語や語句」の意味で、「言葉遣いには気を付けてください」の文中で使われている言語は「言い方、口ぶり」の意味で使われています。
言葉の語源
言葉とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。言葉の語源は、奈良時代以降に生まれた「言の葉」(読み方:ことのは)に由来します。
表現方法は「言葉のあや」
言葉を用いた日本語には「言葉のあや」があります。「言葉のあや」は「言葉の綾」とも書き、言葉を飾って巧みに言い表わすこと、転じて、幾通りにも解釈できるような複雑な表現を指します。「言葉のあや」には「不用意な発言」という意味はないことに注意してください。
言葉の類語
言葉の類語・類義語としては、言葉や言辞を意味する「言詞」、ある特定の分野で用いられる言葉を意味する「用語」、本心でないうわべだけの言葉を意味する「口先」、物の言い方や言葉遣いを意味する「物言い」、言葉や単語を意味する「ワード」などがあります。
言語の意味
言語とは
言語とは、音声や文字によって、人の意志・思想・感情などの情報を表現・伝達する、または受け入れ理解するための約束や規則、また、その記号の体系を意味しています。
言語の読み方
言語の読み方は「げんご」の他に「げんぎょ」「ごんご」とも読むことができますが、一般的には「げんご」と読まれています。ただし、「言語道断」の場合は「ごんご」と読むことに注意しましょう。
言語の使い方
言語を使った分かりやすい例としては、「パソコンで使用する言語の設定を英語にしました」「ストレスから言語障害になることはありますか」「ネイティブスピーカーの数が多い言語のランキングを作成しました」などがあります。
その他にも、「言語聴覚士の平均年収はどれぐらいですか」「英語は複数形の語形を持つ言語です」「心のモヤモヤを言語化することでストレスが解消できます」「Windows 10で言語バーを表示する方法を教えてください」などがあります。
言語の「言」は述べることを表し、「語」は話をすることや言葉遣いを表す漢字です。言語とは、人間同士の意思伝達の手段であり、一定のきまりに従って音声や文字を連ねて意味を表すものを指します。
表現方法は「言語聴覚士」
言語を用いた日本語には「言語聴覚士」があります。言語聴覚士とは、音声障害や言語障害あるいは聴覚障害のある人の検査や訓練などを担当する専門職のことです。言語聴覚士になるには、国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。
言語の類語
言語の類語・類義語としては、言葉や文章を意味する「辞」、言葉や言葉遣いを意味する「言辞」、言葉や言語を意味する「言の葉」、一国の主体をなす民族が広く使用している言語を意味する「国語」、言語や言葉を意味する「ランゲージ」などがあります。
言葉の例文
この言葉がよく使われる場面としては、社会ごとにきまっていて、人々が感情や考えなどを伝え合うために用いる音声を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「大和言葉」(読み方:やまとことば)とは、漢語や外来語が入る前からあった日本固有の言葉を意味します。
言語の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人間の思想や感情などを表現したり、互いに伝えあったりするための、音声による伝達体系を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「言語系統」とは、同一祖語から変化して生じたと思われる二つまたはそれ以上の言語の関係を意味します。例えば、英語とフランス語は別個の言語ですが、系統的にはともにインド・ヨーロッパ語族に属します。
言葉と言語という言葉は、どちらも「音声や文字によって伝える表現法」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、音声や文字によって伝えるものを表現したい時は「言葉」を、特定の国や分野で使われる言葉を体系化したものを表現したい時は「言語」を使うようにしましょう。