似た意味を持つ「曲解」(読み方:きょっかい)と「歪曲」(読み方:わいきょく)と「誤解」(読み方:ごかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「曲解」と「歪曲」と「誤解」という言葉は、まちがった解釈という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
曲解と歪曲と誤解の違い
曲解と歪曲と誤解の意味の違い
曲解と歪曲と誤解の違いを分かりやすく言うと、曲解は話を捻じ曲げて解釈することを表現する時に使い、歪曲は話を歪めて伝えることを表現する時に使い、誤解はまちがった解釈をすることを表現する時に使うという違いです。
曲解と歪曲と誤解の使い方の違い
曲解という言葉は、「発言を曲解されるのは困る」「考え方の曲解によって意見が分かれるのはもったいない」などの使い方で、対象の言動を曲げて解釈することを意味します。
歪曲という言葉は、「話を聞いていると事実が歪曲されているよう感じた」「歴史が歪曲される問題は多い」などの使い方で、事実をわざと歪めて伝えることを意味します。
誤解という言葉は、「彼女の言動は誤解を招く」「誤解を生む表現だと感じる」などの使い方で、まちがった理解や解釈をすることを意味します。
曲解と歪曲と誤解の使い分け方
曲解と歪曲はどちらも事実が最終的に変えられている状態になりますが、曲解は話を聞いた受け手が、歪曲は話し手がそれぞれ話を歪めています。
また、曲解や歪曲とは違って、誤解は故意的に物事の内容を間違って解釈しているわけではありません。これらが、三つの言葉の明確な違いです。
曲解の意味
曲解とは
曲解とは、物事や相手の言動などを素直に受け取らずに捻じ曲げて解釈することを意味しています。
曲解の読み方
曲解は「きょっかい」という読み方をしますが、「きょくかい」などの他の読み方はしません。
表現方法は「曲解してしまう」「曲解される」「曲解する人」
曲解を使った表現として、「曲解してしまう」「曲解される」「曲解する人」などがあります。基本的には、「勘違い」や「誤解」といった言葉を使うことの方が多いため、曲解が日常生活で使われる頻度はそこまで多くありません。
曲解の使い方
曲解を使った分かりやすい例としては、「全てを曲解してしまうひねくれ者の社員に手を焼いている」「視聴者に曲解されたようで苦情の電話が相次いでいる」「話をすぐに曲解してしまう人とはトラブルになりやすい」などがあります。
曲解という言葉は、わざと事実を歪めることからマイナスイメージを持つ言葉です。そのため、「してしまう」のようにあまり好ましくない時に使う言葉と一緒に使われることが多くあります。
曲解の対義語
曲解の対義語・反対語としては、正しく解釈することを意味する「正解」があります。
曲解の類語
曲解の類語・類義語としては、誤って読むことを意味する「誤読」、見間違えることを意味する「誤認」があります。
歪曲の意味
歪曲とは
歪曲とは、事実をわざと歪めて伝えることを意味しています。その他にも、物を歪めて曲げることも意味します。
歪曲の読み方
歪曲は「わいきょく」という読み方をしますが、「わんきょく」や「えんきょく」と勘違いして「湾曲」「婉曲」などと表現する人が多くいます。湾曲は弓なりに曲がることを意味し、婉曲は遠回しに言う様子を意味する言葉であるため意味は大きく異なります。
表現方法は「歪曲する」「歪曲される」「事実を歪曲」
「歪曲する」「歪曲される」「事実を歪曲」などが、歪曲を使った一般的な言い回しです。
歪曲の使い方
歪曲を使った分かりやすい例としては、「自国の国民に大して事実を歪曲して教育する傾向が見られる」「事実を歪曲されたニュースは昔から多い」などがあります。
歪曲を使った言葉として、「歪曲収差」「歪曲遠近法」があります。
「歪曲収差」の意味
一つ目の「歪曲収差」とは、カメラで写真を撮った時に、実際に見ているものと全く一緒になるのではなく、直線が歪んでしまう現象を指す言葉です。外側に曲がる場合はたる型歪曲といい、内側に曲がる場合は糸巻き型歪曲と言います。
「歪曲遠近法」の意味
二つ目の「歪曲遠近法」とは、複数の方向から見た部分図を複合したものを描く技法のことです。今日では三次元かのように絵を描く表現方法が美術の授業でも扱われていますが、そういった技法はルネサンス期に発見されたものです。
例えば、エジプトの壁画の顔や足は横を向いていますが、目や身体の一部は正面を向いています。その方向から描くことで、目や足などをきちんと認識してもらうことが出来ていました。この部分的に複数の方向を向いている描き方を歪曲遠近法と言います。
歪曲の対義語
歪曲の対義語・反対語としては、正しく嘘や偽りのないことを意味する「正直」、正しい状態にすることを意味する「匡正」(読み方:きょうせい)があります。
歪曲の類語
歪曲の類語・類義語としては、事実を曲げて説明することを意味する「曲説」、文書などの字句を悪用するために直すことを意味する「改竄」(読み方:かいざん)、偽物をつくることを意味する「偽造」などがあります。
誤解の意味
誤解とは
誤解とは、ある事実について間違った理解や解釈をすることを意味しています。
表現方法は「誤解を招く」「誤解を生む」「誤解されやすい」
誤解を使った表現として、「誤解を招く」「誤解を生む」「誤解されやすい」「誤解を解く」「誤解ないように」などがあります。どれも誤解する側の表現としては使いません。「招く」と「生む」を伴う表現はどちらも誤解されることを意味します。
誤解の使い方
誤解を使った分かりやすい例としては、「好きでもない人に優しくしすぎると誤解を招く可能性がある」「良かれと思いやったことが誤解を生む結果となってしまった」「彼は口下手で誤解されやすい性格だ」などがあります。
誤解はわざとしている行為ではないため、誤解する側は間違って理解していることを認識していません。そのため、誤解されている側に焦点を当てた表現方法の方が多く使われています。
誤解の対義語
誤解の対義語・反対語としては、物事の道理や筋道が正しくわかることを意味する「理解」があります。
誤解の類語
誤解の類語・類義語としては、思い違いをすることを意味する「誤想」、間違って思い込むことを意味する「勘違い」、思い違いを意味する「心得違い」(読み方:こころえちがい)などがあります。
曲解の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を曲げて解釈することを意味する時などが挙げられます。
どの例文の曲解も誤解という言葉に置き換えて使うことができますが、わざと事実を曲げるという意味はなくなります。
また、歪曲は話し手側が内容を歪めることを意味するため、置き換えて使うことができません。
歪曲の例文
この言葉がよく使われる場面としては、事実を歪めて伝えることを意味する時などが挙げられます。
例文3の歪曲は、例文1や例文2とは違って、歪めて変化することを意味します。そのため、わざと歪めて伝えるというほどマイナスのイメージは付与されません。
また、どの例文の歪曲も、話の内容を変えてしまう側の人間が曲解や誤解といった言葉とは異なるため、置き換えて使うことはできません。
誤解の例文
この言葉がよく使われる場面としては、間違った理解や解釈をすることを意味する時などが挙げられます。
例文内で使われている誤解は、わざと事実を歪めて内容を変えてしまうことを意味する曲解や歪曲に置き換えて使うことはできません。
曲解と歪曲と誤解どれを使うか迷った場合は、内容を曲げて解釈することを表す場合は「曲解」を、内容を歪めて伝えることを表す場合は「歪曲」を、まちがって理解することを表す場合は「誤解」を使うと覚えておけば間違いありません。