似た意味を持つ「刑務所」(読み方:けいむしょ)と「拘置所」(読み方:こうちしょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「刑務所」と「拘置所」という言葉は、どちらも「刑事施設の一種」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
刑務所と拘置所の違い
刑務所と拘置所の意味の違い
刑務所と拘置所の違いを分かりやすく言うと、刑務所とは刑罰を執行するための施設、拘置所とは身柄を拘束するための施設という違いです。
刑務所と拘置所の使い方の違い
一つ目の刑務所を使った分かりやすい例としては、「どうやら彼の父親は刑務所に入っているようです」「刑務所作業製品をホームページで確認する」「市民向け府中刑務所見学会に参加しました」などがあります。
二つ目の拘置所を使った分かりやすい例としては、「被疑者は留置所から拘置所に送られました」「拘置所では健康に配慮した食事が出されます」「元刑務官が大阪拘置所の生活実態を語りました」などがあります。
刑務所と拘置所の使い分け方
刑務所と拘置所という言葉は、どちらも法務省矯正局が所管する刑事施設を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
刑務所とは、懲役・禁錮・拘留の刑に処せられた者を収容する施設です。刑罰の執行と更生を目的とし、刑務作業などの更生プログラムが義務付けられています。収容期間は、判決確定から刑期終了までです。
拘置所とは、刑事裁判の判決が確定していない被疑者や被告人、あるいは死刑執行を待つ死刑囚を収容する施設です。被告人が逃亡したり証拠を隠滅したりすることを防ぐために身柄を拘束する施設で、起訴後から判決確定まで収容されます。
つまり、刑務所とは刑罰を執行したり更正させることを目的とし、拘置所とは被疑者や死刑囚などの身柄拘束を目的とする施設です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
刑務所と拘置所の英語表記の違い
刑務所を英語にすると「prison」「jail」となり、例えば上記の「刑務所に入っている」を英語にすると「be in prison」となります。
一方、拘置所を英語にすると「detention house」「detention facility」となり、例えば上記の「拘置所に送られる」を英語にすると「be sent to detention house」となります。
刑務所の意味
刑務所とは
刑務所とは、自由刑に処せられた者を収容する施設を意味しています。
刑務所の使い方
刑務所を使った分かりやすい例としては、「刑務所の中で淡々とした日々を過ごしています」「刑務所の美容室で髪を切ってもらいました」「刑務所にルールブックのようなものはありますか」などがあります。
その他にも、「刑務所の食事は管理栄養士が考えています」「刑務所で辛い生活をしていました」「刑務所で受刑者と面会する方法を教えてください」「刑務所にいる時に英語の勉強を毎日していました」などがあります。
刑務所とは、刑事施設の一種で、自由刑に処せられた受刑者を拘禁する行刑の執行施設を意味します。大正期から「監獄」に代わって用いられるようになった言葉であり、1947年の法務省設置法で刑務所、少年刑務所、拘置所の3種が刑事施設に規定されました。
表現方法は「少年刑務所」
刑務所を用いた日本語には「少年刑務所」があります。少年刑務所とは、14歳以上20歳未満の少年に対して自由刑を執行するため、20歳以上の成人の施設とは区別して設けられた刑務所です。成人受刑者の悪い感化を防止するための刑務所であり、矯正教育を本旨とする行刑を行います。
刑務所の対義語
刑務所の対義語・反対語としては、刑務所などにいる人たちが外の自由な世界をさしていう語を意味する「娑婆」(読み方:しゃば)などがあります。
刑務所の類語
刑務所の類語・類義語としては、受刑者や被疑者・被告人などを拘禁するための施設を意味する「監獄」、罪人などを捕らえて閉じ込めておく所を意味する「牢屋」、警察署の留置施設をいう俗語を意味する「豚箱」などがあります。
拘置所の意味
拘置所とは
拘置所とは、未決拘禁者や死刑確定者を収容する施設を意味しています。
拘置所の使い方
拘置所を使った分かりやすい例としては、「拘置所にいる幼なじみに食べ物を差し入れする」「拘置所に収容されている知人に手紙を書く」「拘置所に死刑執行の命令が届く」「拘置所に収容されていた男性が死亡しました」などがあります。
その他にも、「東京拘置所の面会時間を確認する」「拘置所での生活が想像できません」「留置場から拘置所に移動しました」「拘置所の食事は無料で提供されます」「ときどき拘置所で英語の通訳をしています」などがあります。
拘置所の読み方
拘置所の読み方は「こうちしょ」です。誤って「こうちじょ」などと読まないようにしましょう。
拘置所の「拘置」は人を捕らえて一定の場所に留め置くことを表します。拘置所とは、刑事施設の一つであり、主として被勾留者や死刑確定者等を収容し処遇する場所を意味します。東京、大阪、名古屋、京都、神戸、広島、小倉の七か所にあります。
拘置所の収容される人は、死刑判決を受けて執行を待つ死刑囚と未決拘禁者です。未決拘禁者とは、有罪判決が確定する前に、犯罪の被疑者または被告人として刑事施設に身柄を拘束されている人のことです。
拘置所の類語
拘置所の類語・類義語としては、刑事事件の被疑者や被告人を収容するために使用される施設を意味する「留置施設」、特定の目的で人や動物を収容しておく所を意味する「収容所」、刑務所や拘置所で収容者を一人だけ入れておく居室を意味する「独房」などがあります。
刑務所の例文
この言葉がよく使われる場面としては、懲役や禁錮または拘留に処せられた者を収容または監禁しておくところを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「女子刑務所」とは、女性専門の刑務所のことです。原則として女性刑務官が担当し、一般の刑務所と違って刑期などによる区分がありません。
拘置所の例文
この言葉がよく使われる場面としては、主に拘置監から成る刑事施設に付けられる名称を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある拘置所と留置所の違いは、拘置所は起訴後の裁判を待つ被告人が収容され、留置所は起訴前の被疑者が収容される点です。
刑務所と拘置所という言葉は、どちらも「刑事施設」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、刑を執行するための施設を表現したい時は「刑務所」を、未決拘禁者や死刑確定者を拘束するための施設を表現したい時は「拘置所」を使うようにしましょう。