【逃避】と【逃避行】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「逃避」(読み方:とうひ)と「逃避行」(読み方:とうひこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「逃避」と「逃避行」という言葉は、どちらも「逃げること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




逃避と逃避行の違い

逃避と逃避行の意味の違い

逃避と逃避行の違いを分かりやすく言うと、逃避とは取り組むべきことから逃げようとする心理、逃避行とは事情により世間から逃れようとする行為という違いです。

逃避と逃避行の使い方の違い

一つ目の逃避を使った分かりやすい例としては、「いつまでも現実逃避していても何も解決しませんよ」「ネットの世界は現実から逃避させてくれる」「ブラック企業からの逃避による転職が増えています」などがあります。

二つ目の逃避行を使った分かりやすい例としては、「何もかも捨ててどこかへ逃避行したい」「戦火を逃れるため逃避行を決意する」「入念な準備によって逃避行を成功させた」「親に連れ戻されて逃避行は終焉を迎えた」などがあります。

逃避と逃避行の使い分け方

逃避と逃避行という言葉は、どちらも自分にとって具合の悪い場所から抜け出ることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

逃避とは、文字通り「逃げて避けること」を意味し、特に、取り組むべき事から逃げて避けることを表します。「現実逃避」「逃避行動」のような使い方で、基本的には困難な状況から逃げ出したいという心理を指す言葉です。

逃避行とは、世間の目をはばかることがあって、あちこち移り歩いたり、隠れ住んだりすることを意味します。逃避行は具体的な行動を伴う言葉であり、世間から身を隠しながら移動する場面で使用されます。

つまり、逃避とは取り組むべきことから逃げようとする心理を表し、逃避行とは何らかの事情があって世間から逃れようとする行為を表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

逃避と逃避行の英語表記の違い

逃避を英語にすると「avoiding」「escape」「flight」となり、例えば上記の「現実逃避」を英語にすると「escape from reality」となります。

一方、逃避行を英語にすると「escape journey」「hegira」「disappear」となり、例えば上記の「どこかへ逃避行したい」を英語にすると「want to disappear somewhere」となります。

逃避の意味

逃避とは

逃避とは、困難などに直面したとき逃げたり、意識しないようにしたりして、それを避けることを意味しています。

逃避の使い方

逃避を使った分かりやすい例としては、「ストレスフルな毎日から逃避したいです」「生まれたばかりの赤ちゃんにも逃避反射がみられます」「睡眠時間が長いのはストレスによる逃避行動なのかもしれない」などがあります。

その他にも、「来週から現実逃避の旅に出ます」「金融市場で金への逃避が加速しています」「資本逃避が引き起こされ暗号資産に金が向かっている」「心理的な防衛機制のひとつとして逃避があります」などがあります。

逃避の読み方

逃避の読み方は「とうひ」です。同じ読み方をする熟語に「頭皮」や「当否」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。

逃避の「逃」は訓読みで「にげる」と読み、その場から離れ去ること、「避」は訓読みで「さける」と読み、災いや難儀をこうむらないようによけることを表します。逃避とは、取り組まなければならないことや、行なわなければならない活動や事柄などから逃げることを意味します。

表現方法は「逃避行動」

逃避を用いた日本語には「逃避行動」があります。逃避行動とは、やるべきことに向き合わずに、他のことに意識を向けてしまう行動です。ストレスや課題を無意識に回避する心理的防衛機制であり、不快な感情を和らげる効果があります。

逃避の対義語

逃避の対義語・反対語としては、直接に物事に対することを意味する「直面」、互いに体の正面を向け合うことを意味する「向き合う」などがあります。

逃避の類語

逃避の類語・類義語としては、災難を避けて他の場所に逃げることを意味する「避難」、物事を避けてぶつからないようにすることを意味する「回避」、その場所を退いて危険を避けることを意味する「退避」などがあります。

逃避行の意味

逃避行とは

逃避行とは、世間をはばかることがあって、あちこち移り歩いたり隠れ住んだりすることを意味しています。

逃避行の使い方

逃避行を使った分かりやすい例としては、「行く当てのない逃避行に出る」「終戦まで命がけの逃避行を続けました」「大企業の一人娘との逃避行を計画している」「英語のテストの点数が酷くて逃避行したい気分です」などがあります。

その他にも、「二人は愛の逃避行に出ることにした」「仕事を放り出して逃避行してしまいたい」「逃避行に必要な資金を用意する」「ひそかに逃避行の手配をしています」「警察に見つからないように逃避行を続ける」などがあります。

逃避行の読み方

逃避行の読み方は「とうひこう」です。誤って「とうひぎょう」などと読まないようにしましょう。

逃避行とは、世間をはばかることがあって、あちこち移り歩いたり隠れ住んだりすることを意味します。単に逃げるのではなく、何か事情があって、身を隠す必要があったり移り歩いたりする様子を表現する言葉です。

表現方法は「愛の逃避行」

上記の例文にある「愛の逃避行」とは、恋愛関係の二人が、何らかの理由で社会や世間から身を隠して一緒に逃げ出す行為を指します。家族に反対されたり、身分の差などの理由があり、それらを避けて一緒に暮らすために逃げ出すことであり、「駆け落ち」とほぼ同義で使用されています。

逃避行の対義語

逃避行の対義語・反対語としては、遠方から帰ってくることを意味する「帰還」などがあります。

逃避行の類語

逃避行の類語・類義語としては、逃げて身を隠すことを意味する「逃亡」、逃げ去ることを意味する「逃走」、迫害を避けるために自国から外国へ逃れることを意味する「亡命」、逃げだすことや高飛びすることを意味する「ずらかる」などがあります。

逃避の例文

1.クラスに馴染めなかった私は、英語の勉強に没頭することで現実逃避していました。
2.私が現実逃避したい時に行く場所を、信頼するあなたにだけ教えてあげます。
3.現実逃避をするためにオンラインの世界に行く若者が増えています。
4.週明けのマーケットでは、安全資産への資本逃避が強まるとみられています。
5.心理学の観点から言えば、逃避行動は決して悪いことばかりではないようです。

この言葉がよく使われる場面としては、逃げ隠れること、逃れ避けることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「資本逃避」とは、資産の減価などの危険が予想される場合に、不利益を避ける目的で自国貨資金を安全な他国の通貨に乗り換えることを意味します。

逃避行の例文

1.彼と逃避行するために、周囲に知られないように準備を進めています。
2.戦時中に経験した子供だけの逃避行は過酷なもので、当時のことは思い出したくもありません。
3.英語は一通り話せるので、逃避行先はアメリカかイギリスにしようと思う。
4.愛の逃避行を題材にしたドラマに合う歌詞を、新進気鋭のシンガーソングライターに依頼しました。
5.何もかも忘れて逃避行したい気分なのですが、無責任に家を出られる状況ではありません。

この言葉がよく使われる場面としては、何かはばかることがあって、住みなれた所を離れて移り歩いたり、人目につかない所にひそんだりすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、逃避行の慣用的な言い回しには「逃避行する」「愛の逃避行」「逃避行したい」などがあります。

逃避と逃避行という言葉は、どちらも「逃げること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、やるべきことから逃げる心理を表現したい時は「逃避」を、事情があって世間から逃れる行動を表現したい時は「逃避行」を使うようにしましょう。

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