同じ「ぎょうしゃ」という読み方、似た意味を持つ「業者」と「業社」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「業者」と「業社」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
業者と業社の違い
業者と業社の意味の違い
業者と業社の違いを分かりやすく言うと、業務を行っているのが人か、会社かの違いです。
業社は誤字
しかし、注意しておかなくてはいけないのは、本来「業社」という言葉は存在しないということです。
この間違いは、近年、専門的な業務を行っているのが「人」ではなく「会社」という集団であることが多いからであると考えられます。一昔前は、専門的な業務を行うのは、技術を習得している一部の「人」であったので「業者」と書きます。
業者の「業」という漢字は「なすべきこと」「わざ」という意味があります。なすべきことをするのは「人」であり、わざを駆使するのは「人」です。会社ではありません。
専門的な業務を行う集団である会社のことを指す場合は「業社」ではなく、「業者の所属する法人、または企業」というように表現します。
業者の人だけでなく、その人の所属する全体のことを言い表したい場合は、法人や企業という言葉を一緒に使うようにしましょう。
業者の英語表記
正しい方の言葉である業者を英語にすると「trader」「merchant」となり、例えば「業者に依頼する」を英語にすると「Ask a trader」となります。
業者の意味
業者とは
業者とは、商工業を含めて、専門的な事業を営んでいる人を意味しています。
また、業者が属している会社を法人や企業と呼びます。漢字表記にする際、「業社」という風に間違えられがちですが、「業社」という言葉は存在しません。
その他にも、同じ種類の専門的な事業をしている人のことを「同業者」と呼んだりもします。
表現方法は「業者さん」「業者名」「仲介業者」
「業者さん」「業者名」「仲介業者」などが、業者を使った一般的な言い回しです。
業者の使い方
業者を使った分かりやすい例としては、「家をリフォームしてもらう業者選びをしている」「仲介業者を挟まなければならない」「大手宅配業者は3つある」「ここの運営業者が夜逃げしたらしい」「青森県には優良産廃処理業者認定制度がある」「業者の方はお断りです」などがあります。
業者の類語
業者の類語・類義語としては、特定の分野に精通している人を意味する「専門家」、プロフェッショナルの略語を意味する「プロ」、販売業者を意味する「ディーラー」、貿易業者や取引業者を意味する「トレーダー」などがあります。
業者の「業」が用いられた言葉には、事業や学術研究の上でなしとげた仕事という意味の「業績」、偉大な事業や立派な仕事を意味する「偉業」、功績のすぐれた事業を意味する「功業」、学問を修めることを意味する「学業」などがあります。
業社の意味
業社とは、業務を行っている会社を指す言葉と考えられがちですが、業社という言葉はありません。
また、同業他社という言葉はありますが、「同業社」という言葉はありません。
同じ種類の事業をしている人については「同業者」という漢字を使用します。
業社の「社」という漢字は、組合や団体などの機関を指す言葉です。「社」という字が用いられている言葉には、同じ目的を持つ人々で構成される組織を意味する「社中」、詩歌を作るために結成された集団を意味する「吟社」などがあります。
業者の例文
業者の使い方としては、専門的な業務を行っている人に対して使います。仲卸業者や運送業者、出版業者などの言葉が良く使われます。また、事業を行う人という意味では事業者という言葉もよく使われます。
業社の例文
前述した通り、業社という言葉は存在しません。「ぎょうしゃ」という言葉は「会社」などの集団ではなく、業務を行っている「人・者」を指すからです。
会社という意味を持つのは、法人や企業という言葉です。
間違えられやすい言葉としては「配送業社」や「派遣業社」などがあります。日本語としては間違っているので、使わないように注意しましょう。