【焦燥】と【焦慮】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「焦燥」(読み方:しょうそう)と「焦慮」(読み方:しょうりょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「焦燥」と「焦慮」という言葉は、どちらも「苛立って気を揉むさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




焦燥と焦慮の違い

焦燥と焦慮の違いを分かりやすく言うと、焦燥とは苛立って落ち着かないさま、焦慮と苛立ち悩んでいるさまという違いです。

一つ目の焦燥を使った分かりやすい例としては、「やるべきことが多すぎて焦燥感に駆られる」「受験生なら少なからず焦燥を抱いているはずです」「選挙戦を前に与党内の焦燥感が強まっています」などがあります。

二つ目の焦慮を使った分かりやすい例としては、「新規事業の不振に焦慮する」「思うように事が運ばず焦慮していた」「白血病と診断されて懊悩焦慮する」「研究成果が得られず焦慮の念に駆られた」などがあります。

焦燥と焦慮という言葉は、どちらも思うように事が進まずイライラして気を揉む様子を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

焦燥とは、苛立ちあせること、あせってイライラするさまを意味します。物事が思い通りに進まず、激しい苛立ちや落ち着きのない状態を表す言葉です。「焦燥感に駆られる」といった形で、一般的に使われています。

焦慮とは、イライラと気を揉むこと、思い悩みあせる気持ちを意味します。焦る気持ちそのものにフォーカスした表現であり、漠然とした将来への不安に対して使われることが多くあります。また、文語的な言葉であり、日常会話で使用されることはあまりありません。

つまり、焦燥とは苛立って落ち着かない状態を表し、焦慮とは苛立って悩んでいる様子を表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

焦燥を英語にすると「irritation」「fretfulness」となり、例えば上記の「焦燥感に駆られる」を英語にすると「get irritated」となります。一方、焦慮を英語にすると「impatience」「worry」となり、例えば上記の「焦慮する」を英語にすると「be impatient 」となります。

焦燥の意味

焦燥とは、イライラすること、あせることを意味しています。

焦燥を使った分かりやすい例としては、「物事が遅々として進まず焦燥感に駆られる」「焦燥感への対処法を教えましょう」「うつ病の症状の一つに焦燥感があります」「焦燥感を和らげる薬を処方してもらう」などがあります。

その他にも、「この焦燥感の原因は山積みになっている仕事だろう」「クマハンターの焦燥を描いた映画です」「なすすべがない焦燥感を必至に抑える」「葛藤と焦燥を内に秘めながら前に進むことを決意しました」などがあります。

焦燥は「焦躁」とも書きますが、一般的には常用漢字を用いた「焦燥」と表記されています。

焦燥の読み方は「しょうそう」です。同じ読み方をする熟語に「尚早」や「少壮」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

焦燥の「焦」は訓読みで「あせる」と読み、早くしなければならないと思って苛立つことや気忙しいことを表します。落ち着かないことを表す「燥」と結び付き、焦燥とは、イライラして落ち着きを失うことを意味します。

焦燥を用いた言い回しには「焦燥感に駆られる」があります。「焦燥感に駆られる」とは、思うようにならず苛立ちが激しいような状態を表します。「駆られる」と、ある激しい感情に動かされることを意味します。

焦燥の対義語・反対語としては、心の落ち着くことや安心することを意味する「安堵」などがあります。

焦燥の類語・類義語としては、思うようにならず気持ちが高ぶることを意味する「苛立ち」、あれこれと気を揉んでいらいらするさまを意味する「やきもき」、早くしようと気持ちがはやることを意味する「気きが急く」などがあります。

焦慮の意味

焦慮とは、あせって苛立つこと、イライラと気を揉むことを意味しています。

焦慮を使った分かりやすい例としては、「日本の未来について焦慮する」「解決の糸口が見えず焦慮に駆られる」「彼の焦慮感は何に起因するものだろう」「自分の決断が正しかったのか長らく焦慮していた」などがあります。

その他にも、「懊悩焦慮の末に辞職することにしました」「子どもの将来を焦慮しても仕方ないだろう」「妻は焦慮のあまり体調を崩してしまった」「もしかしたら焦慮症なのかもしれない」「理想と現実のギャップに焦慮する日々を送る」などがあります。

焦慮の「慮」は訓読みで「おもんぱかる」と読み、あれこれと思いめぐらすことを表す漢字です。気が苛立つことを表す「焦」と組み合わさり、焦慮とは、あせって心を悩ますこと、イライラと気を揉むことを意味します。

焦慮を用いた四字熟語には「懊悩焦慮」(読み方:おうのうしょうりょ)があります。懊悩焦慮とは、心の奥で悩み悶え苦しみ、あせって苛立つことを意味します。精神的に追い詰められて、我慢の限界に近い状態を表現します。

焦慮の対義語・反対語としては、態度や気持ちが落ち着いていることを意味する「平静」などがあります。

焦慮の類語・類義語としては、心を苛立たせることや思い悩みあせることを意味する「焦心」、あせってむきになることを意味する「躍起」、俗に余裕がなくせっぱ詰まっていることを意味する「テンパる」などがあります。

焦燥の例文

1.今の働き方や将来への不安は尽きず、仕事以外の収入を求めて焦燥する30代が増えています。
2.時間に追われる中での作業は、イライラや焦燥感を引き起こしやすくなります。
3.漠然と将来のことを考えていると、焦燥に駆られることがあります。
4.映画の撮影が思うように進まず、監督やスタッフは焦燥感に駆られていました。
5.英語教育のレベルが高くなり、英語の勉強に焦燥する生徒は少なくありません。

この言葉がよく使われる場面としては、苛立ちあせること、あせっていらいらすることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、焦燥の慣用的な言い回しには「焦燥する」「焦燥に駆られる」「焦燥感に駆られる」などがあります。「焦燥に駆られる」と「焦燥感に駆られる」は、ほぼ同義ですが、「焦燥感に駆られる」の方が焦りの程度が強調される表現です。

焦慮の例文

1.老後の生活費として公的年金だけで十分なのか、ふと焦慮に駆られることがあります。
2.思春期は、友人関係や進路など色々なことに焦慮する時期です。
3.年を重ねて、どれほど焦慮しても解決できないことがあると悟りました。
4.夫は仕事のプレッシャーに耐えきれず、一人で焦慮していたようです。
5.プロジェクトが難航しており、私たちは焦慮の念を禁じ得なかった。

この言葉がよく使われる場面としては、心をいらだたせること、思い悩むことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、焦慮の慣用的な言い回しには「焦慮に駆られる」「焦慮する」「焦慮の念」などがあります。「焦慮の念」とは、イライラして焦っている気持ちを表しています。

焦燥と焦慮という言葉は、どちらも「あせって気を揉むさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、あせって落ち着きがないさまを表現したい時は「焦燥」を、苛立って悩んでいるさまを表現したい時は「焦慮」を使うようにしましょう。

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