似た意味を持つ「ご笑納」(読み方:ごしょうのう)と「ご受納」(読み方:ごじゅのう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ご笑納」と「ご受納」という言葉は、どちらも人に贈り物をする際に使う言葉を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ご笑納」と「ご受納」の違い
「ご笑納」と「ご受納」の意味の違い
「ご笑納」と「ご受納」の違いを分かりやすく言うと、「ご笑納」とは謙遜の気持ちがある、「ご受納」とは謙遜の気持ちがないという違いです。
「ご笑納」と「ご受納」の使い方の違い
一つ目の「ご笑納」を使った分かりやすい例としては、「別便にてお贈りしました品ご笑納ください」「よろしければご笑納ください」「ご笑納いただければ幸いに存じます」などがあります。
二つ目の「ご受納」を使った分かりやすい例としては、「報奨金をご受納ください」「お見舞いの品を贈りしましたのでご受納いただければ幸いです」「粗品ですがご受納ください」などがあります。
「ご笑納」と「ご受納」の使い分け方
「ご笑納」と「ご受納」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「ご笑納」は人に贈り物をする際につまらない物ですが笑ってお納めくださいという謙遜の気持ちが込められているのに対して、「ご受納」はただ単純に受け取って納め入れることを意味しており、謙遜の意味が含まれていないのが違いです。
また、ビジネスシーンなどで「ご笑納」は目上の人に対して使えないのですが、「ご受納」は「ご受納ください」のように他の敬語表現と組み合わせることによって、目上の人にも使えるというのも違いの一つになります。
「ご笑納」も「ご受納」も日本語特有の表現なので、英語表記はないと覚えておきましょう。
「ご笑納」の意味
「ご笑納」とは
「ご笑納」とは、人に贈り物をする際につまらない物ですが笑ってお納めくださいという謙遜の気持ちを込めることを意味しています。
表現方法は「心ばかりですがご笑納ください」「ご笑納いただき」
「心ばかりですがご笑納ください」「ご笑納いただき」「ご笑納いただければ幸いです」などが、「ご笑納」を使った一般的な言い回しになります。
「ご笑納」の使い方
「ご笑納」を使った分かりやすい例としては、「心ばかりの品をお贈りしますのでどうぞご笑納ください」「お中元お贈りいたしましたのでご笑納いただけると幸いです」「良かったらご笑納してくださいませ」などがあります。
「ご笑納」は人に贈り物をする際に、つまらない物ですが笑ってお納めくださいという謙遜の気持ち込めて使う謙譲語です。謙譲語とは自分の行動を相手よりも下の立場として表現することにより相手への敬意を示すことを意味しています。
「ご笑納」は目上の人には失礼に当たる
「ご笑納ください」は謙譲語なのですが、ビジネスシーンなどにおいて目上の人に対しては使えないと覚えておきましょう。なぜ謙譲語なのに使えないのかというと、つまらない物ですが笑ってお納めくださいということを意味しているので、目上の人に対して使うのは失礼に当たるからです。
そのため、「ご笑納ください」は冗談が通じる親しい相手に贈り物をする際に、使う言葉と覚えておきましょう。
その他にも、「ご笑納」を使う上で注意しなければならない点が二つあります。
「ご笑納」はお詫びの場面では使えない
一つ目は、お詫びの場面では使えないという点です。「ご笑納」はつまらないものですがという意味を含んでいるので、お詫びの品を贈る際に使う言葉としては適していません。その場合は「ご受納ください」「お納めください」「お受け取り下さい」などを使うようにしましょう。
「ご笑納」は相手が写っている写真を贈る際には使えない
二つ目は、相手が写っている写真を贈る際には使えないという点です。「ご笑納」はつまらないものですがという意味を含んでいるので、相手に対して失礼に当たる可能性があります。そのため、相手が写っている写真には使わないようにしましょう。
例えば、結婚式の集合写真やゴルフコンペの記念写真などを、後日贈ることがあると思います。その際には「ご笑納ください」ではなく、「お納めください」「お受け取り下さい」を使うのが適しています。
「ご笑納」の類語
「ご笑納」の類語・類義語としては、食べ物を他人に贈るときなどに、粗末な品ですがお笑い草にひとつ召し上がって下さい、という謙遜の気持ちを込めて言うことを意味する「ご笑味」があります。
「ご受納」の意味
「ご受納」とは
「ご受納」とは、贈り物の金品などを受け取って納め入れることを意味しています。
表現方法は「ご受納ください」「ご受納くださいますよう」
「ご受納ください」「ご受納くださいますよう」「ご受納いただければ幸い」などが、「ご受納」を使った一般的な言い回しになります。
「ご受納」の使い方
「ご受納」を使った分かりやすい例としては、「お祝いの品を贈りましたのでよろしくご受納のほどお願い申し上げます」「別便でお歳暮を贈りいたしましたのでご受納くだされば幸いです」「お見舞の品をお贈りいたしましたのでご受納いただければ幸いです」などがあります。
「ご受納」は贈り物の金品などを受け取って納め入れることを意味する「受納」に接頭語の「ご」がついた敬語表現です。そのため、「ご受納ください」のように形にすると、ビジネスシーンにおいて目上の人に対しても使うことができます。
ただし、「ご受納」はとてもかしこまった表現なので、目上の人に対して使っても問題ないですが、目下の人に対して使うのはあまり適していないので気をつけるようにしましょう。
「ご受納」の類語
「ご受納」の類語・類義語としては、受け取ることを意味する「受け取り」、物や金を受け取ることを意味する「受領」、金銭や書類などをよく調べて受け取ることを意味する「ご査収」などがあります。
「ご笑納」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人に贈り物をする際につまらない物ですが笑ってお納めくださいという謙遜の気持ちを込めることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「ご笑納」は人に物を贈る際に使う言葉です。
「ご受納」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、贈り物の金品などを受け取って納め入れることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「ご受納」は人に物を贈る際に使う言葉です。
「ご笑納」と「ご受納」はどちらも人に贈り物をする際に使う言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、謙遜の気持ちがあるのが「ご笑納」、謙遜の気持ちがないのが「ご受納」と覚えておきましょう。