【忍びない】と【偲びない】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「しのびない」という読み方の「忍びない」と「偲びない」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「忍びない」と「偲びない」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




忍びないと偲びないの違い

忍びないと偲びないの意味の違い

忍びないと偲びないの違いを分かりやすく言うと、忍びないとは我慢できないこと、偲びないとは忍びないの間違った使い方です。

偲びないは誤字

一般的には偲びないという言葉は存在しません。読み方が似ていることから、忍びないのことを間違えて諭るとして使っている人がほとんどです。

正しい言葉である忍びないを使った分かりやすい例としては、「被災者の悲惨な状況は見るに忍びない」「大切なおもちゃを捨てるには忍びない」「その話は聞くに忍びない」「座視するのには忍びない」などがあります。

忍びないと偲びないの語源の違い

忍びないと偲びないは同音の言葉なため、間違えて使われているのですが、意味も全く異なっています。忍びないの元になった言葉は、我慢することを意味する「忍ぶ」であり、偲びないの元になった言葉は、過去や遠くにいる人を懐かしむことを意味する「偲ぶ」です。

そのため、忍びないは我慢できないことを意味しており、偲びないは過去や遠くにいる人を懐かしまないという意味になっています。偲びないの過去や遠くにいる人を懐かしまないという意味で使うのは、あまり好ましくない表現なため、偲びないは誤用と言えます。

また、忍びないという我慢できないという意味と、偲ぶの過去や遠くにいる人を懐かしんだり悲しむというニュアンスが少し似ているため、忍びないと偲びないを混同使っている人もいるようです。

忍びないという言葉はあっても、偲びないという言葉は存在しないことを覚えておきましょう。同時に忍びないという単語の意味について「我慢できなかったり、耐えられないこと」と覚えておくようにしてください。

忍びないと偲びないの英語表記の違い

忍びないを英語にすると「can’t bear to」となり、例えば上記の「見るに忍びない」を英語にすると「can’t bear to look at」となります。

一方、偲びないの元の言葉である偲ぶを英語にすると「remember」「recall」となり、例えばの「祖父の面影を偲ぶ」を英語にすると「think of remember one’smy grandfather」となります。

忍びないの意味

忍びないとは

忍びないとは、我慢できなかったり耐えれないことを意味しています。

忍びないの使い方

忍びないを使った分かりやすい例としては、「地震で崩れた建物は見るに忍びない惨状です」「長年使っていた椅子を捨てるに忍びない」「あなたのする怪談話は聞くに忍びない」「このままにしておくのは忍びない」などがあります。

忍びないは、我慢できなかったり、耐えれないという意味を持つ言葉です。よく「申し訳ない」という意味で忍びないを使う人達がいますが、申し訳ないという意味は持っていないので誤用になります。間違って使わないように注意してください。

忍びないは日常生活でもビジネスシーンでも使える言葉ですが、ビジネスシーンにおいて申し訳ないという意味で使ってる人が多いです。上記に書いた通り、申し訳ないという意味で使うのは誤用なため、間違いと覚えておきましょう。

表現方法は「見るに忍びない」「聞くに忍びない」「捨てるに忍びない」

「見るに忍びない」「聞くに忍びない」「捨てるに忍びない」などが、忍びないを使った一般的な表現方法になります。また、これらの意味で使う場合は、我慢できなかったり耐えれないの他に「気の毒に」というニュアンスも含んでいます。

忍びないの忍の字を使った別の言葉としては、我慢したり耐え忍んだりすることができないことを意味する「忍び難い」、苦しみを耐え忍ぶことを意味する「忍苦」、耐え忍んで受け入れることを意味する「忍苦」、苦難などを堪えることを意味する「忍耐」などがあります。

偲びないの意味

偲びないとは

偲びないとは、忍びないの間違った使われ方です。

偲びないという言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が似ているため、忍びないと混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けてください。

偲びないという言葉は辞書にないのですが、似た言葉の偲ぶは辞書に載っています。偲ぶとは、過去や遠くにいる人を懐かしむことを意味しています。

偲ぶの正しい使い方

偲ぶを使った分かりやすい例としては、「故人を偲ぶ会を開催した」「法事は亡き人を偲ぶ大切な場所です」「故郷を偲ぶ」「先代社長を偲ぶ」「故人を偲ぶ気持ちが一番大切です」などがあります。

正しい表現方法は「故人を偲ぶ」「故人を偲びたい」

偲ぶは過去や遠くにいる人を懐かしむことを意味しているのですが、故人に対して使うことが非常に多い言葉です。「故人を偲ぶ」「故人を偲びたい」などと使うのが一般的な表現方法になります。

偲ぶの類語

偲ぶの類語・類語・類義語としては、以前あったことなどを思い出すことを意味する「想起」、過去のことを振り返って思い出すことを意味する「回想」、過去を偲ぶことを意味する「追憶」、過去を振り返ってみることを意味する「回視」などがあります。

忍びないの例文

1.長年飼っていたペットが病気で衰弱していく姿をみて見るに忍びない。
2.長年このチームでプレーしている大ベテランが、戦力外通告を受けた姿は、気の毒で見るに忍びない。
3.忍びないを申し訳ないという意味で使うのは間違いです。
4.そのぬいぐるみは何十年も枕元にあったので捨てるに忍びない。
5.ダイエット中であるが、間食をするのが忍びない。

この言葉がよく使われる場面としては、我慢できなかったり耐えれないことを表現したい時などが挙げられます。

忍びないは、我慢できなかったり耐えられないという意味で使う言葉なので、申し訳ないという意味で使うのは誤用になります。

上記の例文のように、「見るに忍びない」「捨てるに忍びない」「食べるのが忍びない」などは、よく使われている忍びないの表現方法になります。

偲びないの例文

1.偲びないという言葉は存在しないので、おそらく忍びないの言い間違いだろう。
2.忍びないという言葉は、我慢できない、偲びないという言葉はない。
3.偲びないという言葉は、今のところ間違いだとされているが、多くの人が使うようになれば馴染んでくるのかもしれない。
4.見るに偲びないという言葉を使う人はいるが、正しくは見るに忍びないです。
5.捨てるに忍びないという言葉はあるが、捨てるに偲びないという言葉はない。

この言葉がよく使われる場面としては、忍びないという言葉を間違えて偲びないと表現している時が挙げられます。

忍びないと偲びないは同音かつ、我慢する辛さという意味の「忍ぶ」と、故人を懐かしむ辛さという意味の「偲ぶ」のニュアンスが似ているため、間違って使っている可能性が高いでしょう。

偲びないという言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、偲びないではなく、忍びないと表現するのが正しい使い方です。

忍びないと偲ばないどちらを使うか迷った場合は、偲びないは辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の忍ばないを使うようにしてください。

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