【動機】と【理由】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「動機」(読み方:どうき)と「理由」(読み方:りゆう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「動機」と「理由」という言葉は、どちらも「物事の原因」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




動機と理由の違い

動機と理由の意味の違い

動機と理由の違いを分かりやすく言うと、動機とは物事のきっかけ、理由とは物事がそうなる根拠という違いです。

動機と理由の使い方の違い

一つ目の動機を使った分かりやすい例としては、「恋愛感情ではなく不純な動機で付き合っています」「志望動機を教えてください」「動機づけ面接の手法を取り入れる」「音楽における動機の役割を説明します」などがあります。

二つ目の理由を使った分かりやすい例としては、「学校を休んだ本当の理由を教えてよ」「お化け屋敷が嫌いな理由は怖いからです」「志望理由書の書き方を解説します」「二国間の関係が悪化した理由をご存知でしょうか」などがあります。

動機と理由の使い分け方

動機と理由という言葉は、どちらも行動や判断を引き起こす原因を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

動機とは、もともと「動きのみなもと」を意味し、人が意志を決めたり、行動を起こしたりするきっかけを表します。就活における「志望動機」とは、その会社に就職したいと思ったきっかけのことで、個人の内面から湧き出る意欲を指すものです。

理由とは、物事がそのようになったわけや道筋を意味し、判断したり行動したりする拠りどころを意味します。就活における「志望理由」とは、その会社に就職したいと思った事情のことで、業界や会社の特徴など客観的な根拠を指します。

つまり、動機とは物事が始まるきっかけを表し、理由とは物事がそうなる根拠を表現する言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

動機と理由の英語表記の違い

動機を英語にすると「motive」「inducement」「motif」となり、例えば上記の「不純な動機」を英語にすると「an ulterior motive」となります。一方、理由を英語にすると「reason」「cause」「excuse」となり、例えば上記の「本当の理由」を英語にすると「the real reason」となります。

動機の意味

動機とは

動機とは、人が意志を決めたり、行動を起こしたりする直接の原因を意味しています。

その他にも、「心理学で、人間や動物に行動を引き起こし、その行動に持続性を与える内的原因」「倫理学で、行為をなすべく意志する際、その意志を規定する根拠」の意味も持っています。

動機の使い方

「転職の志望動機は何ですか」「動機・機会・正当化は不正の三要素です」「動機の錯誤に基づいて意思表示を取り消す」などの文中で使われている動機は、「人が意志を決めたり、行動を起こしたりする直接の原因」の意味で使われています。

一方、「動機づけを高める方法はありますか」の文中で使われている動機は「心理学で、行動を引き起こし、その行動に持続性を与える内的原因」の意味で、「行為の結果にかかわらず内面的動機を問う」の文中で使われている動機は「倫理学で、意志を規定する根拠」の意味で使われています。

動機の読み方

動機の読み方は「どうき」です。同じ読み方をする熟語に「動悸」や「同期」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

動機とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。動機の「動」は自分の目的にかなうよう行動させること、「機」は物事の起こるきっかけを表す漢字です。

表現方法は「動機付け支援」

動機を用いた日本語には「動機付け支援」があります。動機付け支援とは、特定保健指導の一つであり、生活習慣の改善に取り組むきっかけを提供するためのサポートを意味します。主に、メタボリックシンドローム予備群に該当する人を対象に行われます。

動機の対義語

動機の対義語・反対語としては、最終的にある結論や結果に落ち着くことを意味する「帰結」などがあります。

動機の類語

動機の類語・類義語としては、何かをしようとすることを意味する「意図」、物事をなすときの考えやねらいを意味する「趣意」、倫理学で人が必然的になすべきことを意味する「義務」、物事を行うにあたっての意欲を意味する「モチベーション」などがあります。

理由の意味

理由とは

理由とは、物事がそうなった、また物事をそのように判断した根拠や事情を意味しています。

その他にも、「いいわけ、口実」「哲学で、論理的関係においては結論に対する前提、実在的関係においては結果に対する原因」の意味も持っています。

理由の使い方

「映画館が苦手な理由は暗いからです」「思春期の息子は理由なき反抗ばかりです」「志望理由書のテンプレートをダウンロードする」などの文中で使われている理由は、「物事がそうなった、物事をそのように判断した根拠」の意味で使われています。

一方、「理由はいいから早くしてください」「病気を理由に会合を欠席した」の文中で使われている理由は「いいわけ、口実」の意味で、「私達がこの世に存在する実在的理由を問う」の文中で使われている理由は「哲学で、結論に対する前提、結果に対する原因」の意味で使われています。

理由とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「物事がそうなった、また物事をそのように判断した根拠や事情」の意味で用いられています。理由の「理」は訓読みで「ことわり」と読み、物事に備わった筋道を表し、「由」は「よし」と読み、事柄の生じたわけを表します。

理由の対義語

理由の対義語・反対語としては、ある原因や行為から生じた結末を意味する「結果」などがあります。

理由の類語

理由の類語・類義語としては、物事が起こったわけを意味する「いわれ」、ある事柄によっていることを意味する「ゆえん」、事柄の生じた理由や原因を意味する「事由」、ある状態や変化を引き起こすもとになることを意味する「原因」などがあります。

動機の例文

1.英語の塾に行こうと思った動機は、好きな女の子が通っているからです。
2.事件の容疑者は逮捕され、警察は詳しい犯行動機などを追及する方針です。
3.就活を始めるにあたって、履歴書に記入する志望動機の書き方を教えてもらいました。
4.私は、子育てするうえで外的動機づけよりも内発的動機づけを大切にしています。
5.哲学を専攻している友人に、カントの動機説について分かりやすく説明してもらいました。

この言葉がよく使われる場面としては、きっかけ、行動を起こしたりする直接の原因、心理学で行動をひき起こす意識的または無意識的原因、倫理学で目的の観念に導かれた衝動や欲望を表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「外的動機付け」とは、報酬や罰則などによって行動を促す心理的な働きかけを意味します。一方の「内的動機付け」とは、内面に湧き起こった興味や関心によって動機付けられていることを指します。

理由の例文

1.映画鑑賞が好きな理由は、ワクワクしたり涙を流したり感情的な体験が気持ちいいからです。
2.私がテレビドラマを見ない理由は、単純に忙しくて時間がないからです。
3.クマ被害が急増している理由に、気候変動が大きく関わっています。
4.素直に誤って欲しいだけだから、理由なんて聞きたくないよ。
5.形式的な論理的証明においては、結論に従うためには理由を受け入れる必要があります。

この言葉がよく使われる場面としては、物事がそのようになったわけ、子細、言い訳、口実、哲学で論理的関係において正しく結論を導きだす論拠を表現したい時などが挙げられます。

例文1から3にある理由は、「物事がそのようになったわけ」を表しています。例文4の理由は「言い訳や口実」の意味で、例文5の理由は「哲学で、正しく結論を導きだす論拠」の意味で用いられています。

動機と理由という言葉は、どちらも「判断したり行動したりする原因」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事を始めるきっかけを表現したい時は「動機」を、物事がそうなるわけを表現したい時は「理由」を使うようにしましょう。

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