似た意味を持つ「たぶらかす」と「そそのかす」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「たぶらかす」と「そそのかす」という言葉は、どちらも他人の行動に影響を与えることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「たぶらかす」と「そそのかす」の違い
「たぶらかす」と「そそのかす」の意味の違い
「たぶらかす」と「そそのかす」の違いを分かりやすく言うと、「たぶらかす」は相手をだまして思い通りにしようとすること、「そそのかす」は人をけしかけて行動させることという違いです。
「たぶらかす」と「そそのかす」の使い方の違い
一つ目の「たぶらかす」を使った分かりやすい例としては、「巧妙な言葉で相手をたぶらかして金を巻き上げた」「新商品の評判を偽って顧客をたぶらかす業者がいる」「甘い言葉で彼女をたぶらかそうとする男に注意したほうがいい」などがあります。
二つ目の「そそのかす」を使った分かりやすい例としては、「友人に万引きをそそのかされたと供述している」「会社の書類を改ざんするよう彼をそそのかした人物がいる」「子ども同士で悪ふざけをそそのかし合って事が大きくなった」などがあります。
「たぶらかす」と「そそのかす」の使い分け方
「たぶらかす」と「そそのかす」はどちらも他人の行動に影響を与えることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「たぶらかす」は「相手をだまして言うことを聞かせる」「甘い言葉やうまい話で相手の判断を誤らせる」という意味で使われます。たとえば「巧妙な話術で人をたぶらかす」のように、だます・惑わせるといったニュアンスが強く含まれています。
一方、「そそのかす」は「他人に働きかけて、ある行動を取らせるように仕向ける」という意味で使われます。「悪いと分かっていながら、周囲の人間が彼をそそのかした」のように、誰かに行動を起こさせる点が特徴です。
つまり、相手をだまして思い通りにしようとするのが「たぶらかす」、人をけしかけて行動させるのが「そそのかす」と覚えておきましょう。
「たぶらかす」と「そそのかす」の英語表記の違い
「たぶらかす」を英語にすると「deceive」「trick」「seduce」「lead someone astray」となり、例えば「巧妙な言葉で相手をたぶらかした」を英語にすると「He deceived the person with clever words」となります。
一方、「そそのかす」を英語にすると「instigate」「incite」「egg on」となり、例えば「友人をそそのかして悪事に加担させた」を英語にすると「He instigated his friend to take part in a crime」となります。
「たぶらかす」の意味
「たぶらかす」とは
「たぶらかす」とは、だまして惑わすことを意味しています。
「たぶらかす」の漢字表記
「たぶらかす」を漢字にすると、「誑かす」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「たぶらかす」を使うようにしましょう。
「たぶらかす」の使い方
「たぶらかす」を使った分かりやすい例としては、「甘い言葉で相手をたぶらかす」「うまい話で人をたぶらかす」「詐欺師が高齢者をたぶらかす」「都合のいい話で彼をたぶらかそうとする」などがあります。
「たぶらかす」は、相手の判断力を鈍らせたり、冷静さを失わせたりするような言葉や態度で、うまく言いくるめたり誘惑したりすることを意味する言葉になります。
そのため、基本的にはマイナスのイメージで使われる表現です。特に、相手をだまして自分に有利な行動を取らせるような場面で用いられることが多いと覚えておきましょう。
「たぶらかす」の注意点
「たぶらかす」を使う上で注意しなければいけないことは、この言葉自体に「人をだます」「惑わす」という強い否定的な意味が含まれていることです。
そのため、冗談や軽い意味で用いると、相手に不快感を与える可能性があります。会話や文章で使用する際は、文脈や相手との関係性に配慮する必要があります。
「たぶらかす」の特徴
また、「たぶらかす」は性的な文脈や恋愛関係において用いられることもあり、「異性をうまく言いくるめて関係を持つよう仕向ける」といった、やや生々しいニュアンスを含む場合もあります。
そのため、正式な場面では使用を避け、より婉曲的な表現に言い換えることが望ましいケースもあります。
「たぶらかす」の類語
「たぶらかす」の類語・類義語としては、甘い言葉や巧みな話術で相手をだますことを意味する「言いくるめる」、相手を惑わせて判断を誤らせることを意味する「惑わす」、だまして金品などを取ることを意味する「欺く」などがあります。
「そそのかす」の意味
「そそのかす」とは
「そそのかす」とは、その気になるようにしむけることを意味しています。
「そそのかす」の漢字表記
「そそのかす」を漢字にすると、「唆す」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「そそのかす」を使うようにしましょう。
「そそのかす」の使い方
「そそのかす」を使った分かりやすい例としては、「友人を喫煙するようそそのかす」「悪い仲間が未成年を飲酒にそそのかす」「彼は周囲に反抗するようそそのかされた」「軽い気持ちで危険な行為へそそのかす」などがあります。
「そそのかす」は、相手に悪い行動や望ましくない行いをするよう仕向けること、または背中を押すように働きかけて、ある行動へと誘導することを意味する言葉になります。
そのため、マイナスのイメージで使われる表現です。特に、犯罪行為や規則違反、不道徳な行動などに誘い込む場面で用いられることが多いです。
「そそのかす」の注意点
「そそのかす」を使う上で注意しなければいけないことは、意図的に相手を悪い方向へ導くという意味合いが強く含まれている点です。そのため、誰かの行動の原因として使うときには、責任の所在を問う強いニュアンスが生まれます。
軽い冗談のつもりで使うと、思っている以上にきつい印象を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
「そそのかす」の特徴
また、「そそのかす」は、第三者が裏から働きかけているというニュアンスを含む場合が多く、「自分の意志というより、誰かの影響でそうさせられた」という文脈で使われることもあります。
そのため、被害者意識や加害者意識が絡む場面で用いられることも少なくありません。
「そそのかす」の類語
「そそのかす」の類語・類義語としては、相手を特定の行動へと導くことを意味する「誘導する」、言葉巧みに相手の行動をコントロールする「言いくるめる」、悪い方向へ導く「扇動する」などがあります。
「たぶらかす」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、だまして惑わすことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「たぶらかす」は相手をだまして思い通りにしようとする時に使う言葉です。
「そそのかす」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その気になるようにしむけることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「そそのかす」は人をけしかけて行動させる時に使う言葉です。
「たぶらかす」と「そそのかす」はどちらも他人の行動に影響を与えることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手をだまして思い通りにしようとするのが「たぶらかす」、人をけしかけて行動させるのが「そそのかす」と覚えておきましょう。