似た意味を持つ「二毛作」(読み方:にもうさく)と「二期作」(読み方:にきさく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「二毛作」と「二期作」という言葉は、どちらも「農業の手法」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
二毛作と二期作の違い
二毛作と二期作の違いを分かりやすく言うと、二毛作とは同じ土地で1年に2種類の作物を栽培すること、二期作とは同じ土地で1年に2回同種の作物を栽培することという違いです。
一つ目の二毛作を使った分かりやすい例としては、「大麦の栽培は二毛作の普及と共に広まりました」「麦とタマネギの二毛作に取り組んでいます」「二毛作農業で成功するための戦略をお話します」などがあります。
二つ目の二期作を使った分かりやすい例としては、「二期作は作付け時期が重要です」「ジャガイモの二期作を手掛けています」「今年初めて水稲の再生二期作に挑戦しました」「AI技術を活用して再生二期作に取り組む」などがあります。
二毛作と二期作という言葉は、どちらも1年に2回栽培して収穫する農業手法を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
二毛作とは、同じ田んぼや畑で、一年内の異なった時期に2種類の作物を栽培する方法を意味します。田んぼの二毛作は、稲作のあとに麦作を行うことが普通です。関東以南の暖かい地域に多く見られましたが、田植えの早期化や兼業農家の増加、また麦価の低落などにより水田二毛作は激減ています。
二期作とは、同じ田んぼや畑で、同じ作物を一年のうちに2回栽培する農業方法を意味します。ジャガイモは九州など温かい地域で春作と秋作と二期作され、稲はかつて高知県や鹿児島県で二期作が行われていました。現在は労働量のわりに生産が上がらないため、ほとんど行われなくなっています。
つまり、二毛作と二期作の違いは、栽培する作物の種類です。二毛作は一年間に2回異なる作物を栽培し、二期作は一年間に2回同じ作物を栽培します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
二毛作も二期作も英語にすると「double cropping」「raising two crops a year」となり、例えば上記の「二毛作の普及」を英語にすると「the spread of a two-crop system 」となります。
二毛作の意味
二毛作とは、同じ耕地で、1年に二度、別種の農作物を栽培することを意味しています。
二毛作を使った分かりやすい例としては、「米と小麦の二毛作生産を奨励しています」「作期が競合する品種の二毛作は困難です」「二毛作が始まったのは何時代ですか」「人生二毛作を希望する人が増えています」などがあります。
その他にも、「二毛作はいつから日本で広まったのだろう」「広島県内にも二毛作に取り組む農家があります」「二毛作に向いている野菜の組み合わせを教えてください」「人生二毛作の生き方を実践する」などがあります。
二毛作とは、「両毛作」とも言い、同一の耕地に1年に2回異なる作物を作付することを意味します。一度目を「表作」、二度目を「裏作」と呼び、水稲収穫後に裏作として麦などを栽培します。二毛作の「毛」は、地表に作物が生育するこよを表す漢字です。
上記例文にある「人生二毛作」とは、人生を農業の二毛作になぞらえ、複数の仕事や生きがいを持つことを意味します。例えば、仕事以外の趣味やボランティア活動に没頭したり、定年後は別の分野で働くなどです。
二毛作の対義語・反対語としては、同一の耕地に年に1回作物を作ることを意味する「一毛作」などがあります。
二毛作の類語・類義語としては、同じ耕地で1年間に3種の作物を次々に栽培することを意味する「三毛作」、同じ耕地で年3回以上作物の作付けや収穫をすることを意味する「多毛作」、農作物を田畑に植えつけることを意味する「作付け」などがあります。
二期作の意味
二期作とは、同一耕地で、同じ作物、主に稲を年2回栽培や収穫をすることを意味しています。
二期作を使った分かりやすい例としては、「福建省は伝統的な二期作が行われている地域です」「二期作はどこでもできるわけではありません」「二期作にはメリットだけでなくデメリットもあります」などがあります。
その他にも、「再生二期作に適した米の品種を研究しています」「東南アジアでは二期作が盛んに行われています」「日本にも二期作ができる地域があります」「いつから二期作が可能になったのだろう」などがあります。
二期作の「期」は、区切られた一定の時間を表す漢字です。二期作とは、同じ水田あるいは畑で、同じ作物を一年のうちに2回栽培する作付様式を意味します。熱帯では稲の二期作は多く、日本では大正時代に普及したものの今ではほとんど行われていません。
二期作を用いた日本語には「再生二期作」があります。再生二期作とは、稲の収穫後の切り株から出る二番穂を実らせ、もう一度収穫することを意味します。通常の二期作と異なり、育苗や田植えが不要なため省力化や低コスト化が図れる注目の栽培方法です。
二期作の対義語・反対語としては、一定の耕地にただ一種類の作物を栽培することを意味する「単作」などがあります。
二期作の類語・類義語としては、農作物の栽培時期を意味する「作期」、長い期間を分割した最初のひとくぎりを意味する「一期」、一つの楽曲が二つの楽節からなる形を意味する「二部形式」などがあります。
二毛作の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同一耕地に異なる作物をそれぞれ年に1度ずつ栽培することを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「二毛作ビジネス」とは、異なる複数の業種を、一つの店舗で時間帯を使い分けて運営することを意味します。
二期作の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同一耕地で一年に二回、同じ作物を栽培し収穫することを表現したい時などが挙げられます。
例文1に関して、二期作のデメリットには、2期目の収穫物は1期目よりも品質が劣ること、病害虫の発生リスクが高まることなども挙げられます。
二毛作と二期作という言葉は、どちらも「農業手法」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、1年に2種類の異なる作物を栽培することを表現したい時は「二毛作」を、1年に同じ種類の作物を2回栽培することを表現したい時は「二期作」を使うようにしましょう。