似た意味を持つ「退学」(読み方:たいがく)と「中退」(読み方:ちゅうたい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「退学」と「中退」という言葉は、どちらも「学校を途中でやめること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
退学と中退の違い
退学と中退の違いを分かりやすく言うと、退学とは学校から辞めさせられるニュアンスがあり、中退とは生徒の意思で学校をやめるニュアンスがあるという違いです。
一つ目の退学を使った分かりやすい例としては、「退学届には親の同意が必要です」「退学証明書を発行してもらう」「退学した後の奨学金の扱いについて調べています」「退学した大学に復学したいと考えています」などがあります。
二つ目の中退を使った分かりやすい例としては、「私は大学を中退したので高卒です」「大学中退者のその後はどうなるのだろう」「面接で中退理由を聞かれるかもしれない」「ひきこもりの兄は高校を中退することにしました」などがあります。
退学と中退という言葉は、どちらも学生が在学中に学校をやめることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
退学とは、学校に在学する生徒が、その学校の全課程を修了して卒業する前に、生徒としての身分を失うことを意味します。懲戒処分としての退学や、自己都合による退学などがありますが、学校側の判断でやめさせられ場合に使用されることが多い言葉です。
中退とは、「途中退学」の略であり、退学とほぼ同じ意味を持つ言葉です。ただし、使われ方には違いがあり、自分の意思や都合で学校をやめる場合に使用されることがほとんどです。「大学中退」とは、大学に在籍している学生が、自分の意思で大学をやめることを表します。
つまり、退学とは学校から辞めさせられるニュアンスがあり、中退とは生徒の都合で学校をやめるニュアンスがある表現です。二つの言葉は似ていますが、使い方には違いがあるので注意してください。
退学を英語にすると「leaving school」「expulsion」となり、例えば上記の「退学届」を英語にすると「a notice of leaving school」となります。
一方、中退を英語にすると「dropout」「dropping out」となり、例えば上記の「大学を中退する」を英語にすると「drop out of college」となります。
退学の意味
退学とは、学生や生徒が在学中に特別の理由で自発的に学校をやめること、また、学校側から強制的にやめさせられることを意味しています。
その他にも、「規定の課程を修得して、学校をやめること」の意味も持っています。
「事務局で退学届の書類を受け取りました」「退学代行サービスがあればいいのに」「退学しましたが英語の塾は続けています」などの文中で使われている退学は、「在学中に特別の理由で自発的に学校をやめること、学校側から強制的にやめさせられること」の意味で使われています。
一方、「就職を優先するために満期退学を選択しました」「単位取得退学後に博士論文が認められ博士号を取得しました」などの文中で使われている退学は、「規定の課程を修得して、学校をやめること」の意味で使われています。
退学とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「自発的に学校をやめること、学校から強制的にやめさせられること」の意味で用いられています。退学の「退」は訓読みで「しりぞく」「しりぞける」と読み、身を置いていた場所や地位から去ることを表します。
退学を用いた日本語には「単位取得満期退学」があります。単位取得満期退学とは、主に大学院博士課程において、修了に必要な単位はすべて取得したものの、博士論文の審査合格を経ずに、課程の標準修業年限を満了して退学することを意味します。「満期退学」とも呼ばれています。
退学の対義語・反対語としては、学生等としての身分を取得して学校に入ることを意味する「入学」、学校に籍を置いていることを意味する「在学」などがあります。
退学の類語・類義語としては、学業の中途で生徒が学校をやめることを意味する「退校」、校則に違反した学生・生徒を学校の籍から除くことを意味する「放校」、学籍や名簿などから名前を除くことを意味する「除籍」などがあります。
中退の意味
中退とは、修業年限の中途で退学することを意味しています。
中退を使った分かりやすい例としては、「大学を中退して役者を目指しました」「大学中退した場合の最終学歴は高卒です」「入学式の三週間後に中退しました」「大学を中退しても就職できるので安心してください」などがあります。
その他にも、「履歴書への中退の書き方を教えてください」「中退は略さずに中途退学と記載してください」「中退も除籍も在籍記録は残るはずです」「大学中退後はアメリカに留学して英語を習得しました」などがあります。
中退とは、「中途退学」のことであり、教育機関を卒業する前にやめることを意味します。学生や生徒が、自らの意志または事情で学校をやめるとき使用されることが多い言葉です。「中途」は、今まで継続してきた行動が完了しないで途中にあることを表す熟語です。
中退した場合の学歴は、中退した学校ではなく、それ以前に卒業した学校が最終学歴になります。例えば、大学中退なら最終学歴は高校卒業、高校中退なら最終学歴は中学卒業です。大学中退をした者が就職をする際の履歴書には、「大学 中途退学」と記入しなければいけません。
中退の対義語・反対語としては、学校の全課程を学び終えることを意味する「卒業」などがあります。
中退の類語・類義語としては、今までいた場所からしりぞいて出ることを意味する「退出」、今いる場所から立ち去ることを意味する「退去」、学生や生徒が病気などのため長期間学校を休むことを意味する「休学」などがあります。
退学の例文
この言葉がよく使われる場面としては、生徒や学生が在学する学校で、卒業以前に在学関係を終了させる行為を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「退学処分」とは、生徒側の意思に関わらず、学校側が強制的に退学させる処分のことです。生徒に拒否する権利はなく、退学処分を受ければ学校をやめなければなりません。
中退の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学校を卒業せず中途でやめることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、中退という言葉には、学生自身の意思や都合で学校をやめるニュアンスがあります。
退学と中退という言葉は、どちらも「学校をやめること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、学校から辞めさせられることを表現したい時は「退学」を、学校を自らやめることを表現したい時は「中退」を使うようにしましょう。