【互角】と【伯仲】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「互角」(読み方:ごかく)と「伯仲」(読み方:はくちゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「互角」と「伯仲」という言葉は、どちらも優劣がつけがたいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




互角と伯仲の違い

互角と伯仲の意味の違い

互角と伯仲の違いを分かりやすく言うと、互角は優劣の差がないことを意味し、伯仲は優劣の差がないこと以外に兄弟の意味もあるという違いです。

互角と伯仲の使い方の違い

一つ目の互角を使った分かりやすい例としては、「目標にしていた先輩と互角の戦いができた」「決勝戦は互角の攻防が見ものだった」「大企業と互角に渡り合う中小メーカー」などがあります。

二つ目の伯仲を使った分かりやすい例としては、「決勝戦は勢力伯仲の戦いになった」「実力伯仲の良きライバル」「彼とは伯仲の間にあり油断できない」「伯仲で助け合う」などがあります。

伯仲よりも互角の方が一般的

互角と伯仲という言葉は、どちらも優劣がつけがたいことを意味する言葉なのですが、伯仲はさらに兄弟の意味もあります。これが互角と伯仲の大きな違いになります。また、互角は日常生活やビジネスシーンで馴染みのある言葉ですが、伯仲は互角ほど使われない傾向があります。

互角と伯仲の英語表記の違い

互角も伯仲も英語にすると「equal」「even」となり、例えば上記の「互角の戦い」を英語にすると「even fight」となります。

互角の意味

互角とは

互角とは、双方の力量が同じ程度で、優劣の差がないことを意味しています。

表現方法は「互角の勝負」「互角の戦い」

「互角の勝負」「互角の戦い」などが、互角を使った一般的な表現方法です。

互角の使い方

互角を使った分かりやすい例としては、「ほぼ互角の戦いで延長戦に持ち込んだ」「上位チームと互角以上の戦いを繰り広げた」「剣道の互角稽古で注意すること」「世界のトップアスリートと互角の勝負を演じた」などがあります。

他にも、「隣国とは互角の関係であった」「彼は語学が堪能でネイティブと互角に渡り合える」「競合他社と互角に戦う営業力がある」などがあります。

互角の語源

互角という言葉は、牛の角を語源としています。牛の左右の角は長短や大小の差がないことから、二つのものが同等であること、優劣の差がないことを意味するようになりました。

「互角稽古」の意味

上記の例の「互角稽古」とは、剣道の練習法のひとつで、技術に差が無い者同士で一定時間に技を出し合う稽古を意味します。このように、互角という言葉は双方の力量が同じ程度のことを表します。

互角の対義語

互角の対義語・反対語としては、物事の程度の差がはなはだしいことを意味する「格段」などがあります。

互角の類語

互角の類語・類義語としては、互いに張り合って優劣のないことを意味する「拮抗」(読み方:きっこう)、双方の間に優劣や高下などの差のないことを意味する「対等」などがあります。

互角の互の字を使った別の言葉としては、代わる代わるすることを意味する「交互」、一つの物事に関係する両方の立場を意味する「相互」などがあります。

伯仲の意味

伯仲とは

伯仲とは、力がつりあっていて優劣のつけがたいことを意味しています。

その他にも、兄と弟の意味も持っています。

表現方法は「伯仲の間」「伯仲の仲」「伯仲の出来」

「伯仲の間」「伯仲の仲」「伯仲の出来」などが、伯仲を使った一般的な表現方法です。

伯仲の使い方

「互いに実力伯仲なので勝負が読めない」「意見の伯仲する議論であった」「対戦成績が伯仲する方が面白い」「勢力伯仲のチーム同士の対決」などの文中で使われている伯仲は、「優劣のつけがたいこと」の意味で使われています。

「我が家の伯仲は仲が良い」「あの伯仲は顔も体形も似ていない」「家督は伯仲叔季に関係なく継承する」などの文中で使われる伯仲は、「兄と弟」の意味で使われています。

伯仲の由来

伯仲とは、古代中国で兄弟の呼び方を表す言葉です。 長男は「伯」、次男は「仲」、三男は「叔」、四男は「季」と呼びました。伯仲は長男と次男のことですが、長男と次男は歳が近く実力も同じ程度であることから、優劣をつけるのが難しいことを意味するようになりました。

「実力伯仲」と「勢力伯仲」の意味

上記の例の「実力伯仲」とは、優劣をつけることができないほどに実力の差がないことを表します。「勢力伯仲」とは、双方とも力が同じくらいでどちらが勝ると言えないさまを表します。

伯仲の対義語

伯仲の対義語・反対語としては、 能力や品質などに非常な違いがあることを意味する「段違い」などがあります。

伯仲の類語

伯仲の類語・類義語としては、双方とも優劣がないことを意味する「五分五分」、能力や価値などが同程度であることを意味する「匹敵」(読み方:ひってき)などがあります。

伯仲の伯の字を使った別の言葉としては、父母の兄や弟を意味する「伯父」(読み方:おじ)、いちばん上の兄を意味する「伯兄」(読み方:はっけい)などがあります。

互角の例文

1.日本のスプリンターが世界のトップ選手と互角の勝負を演じ、日本中が沸いた。
2.日本人のテニスプレーヤーが世界で互角に渡り合うためには、スピード感と攻守の切り替えがポイントだ。
3.現在の囲碁界は、若年層で互角な人達が並べる状況であり今後の活躍が楽しみである。
4.新入社員の彼は天才的に饒舌で、指導係の社員と比べても営業マンとしての実力はほぼ互角である。
5.小さな工場でも日本のものづくり技術で、世界の製造業と互角に戦うことができる。
6.大喜利番組でお笑い芸人と互角の勝負を繰り広げたアイドルが翌日のネットニュースの主役に躍り出た。
7.交渉において百戦錬磨の主任と互角に渡り合う取引先の部長は、なんと若干30歳というから驚きだ。
8.ウチのチームと実力はほぼ互角なのに、あのチームにいつも勝てないのはなぜだろう。
9.両チームはほぼ互角の戦いで延長戦に持ち込んだが、最後は常連校が一枚上手でした。
10.彼が秘密兵器を持っていたのは、敵と互角に戦えるはずがないことは充分に承知していたからである。

この言葉がよく使われる場面としては、双方の力量が同じ程度で優劣の差がないことを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3のように、互角という言葉はスポーツなどの勝負の世界で使われることが多い言葉です。例文4や例文5のように、ビジネスシーンにおいても使われることがあり、力量や技量が同等であることを表します。

伯仲の例文

1.去年の運動会は赤組と白組が伯仲の間で、ほとんど差がなかった。
2.成績において実力伯仲の友人とは良きライバルであり、なんでも相談できる無二の親友である。
3.彼とは互いに似たテーマで研究をしているので、酒の席でも自ずと議論伯仲となる。
4.無所属の議員が、自民党に対抗するために保革伯仲を呼び掛けている。
5.我が家は伯仲叔季みんな男ばかりなので、毎日賑やかで楽しくも疲れる。
6.彼と僕とは同期で実力も伯仲していると思われているようだが、自分としてはとても彼にはかなわないと思っている。
7.後輩選手の成績が先輩選手のそれに伯仲してきており、次の試合で下剋上なるかと注目されている。
8.決勝戦は強豪校同士だったので、勢力伯仲の戦いになり、とても盛り上がりました。
9.同僚の彼とは、実力伯仲の良きライバルであり、良きアドバイザーでもある。
10.会議は珍しく意見の伯仲する議論であったので、いつもより帰りが遅くなってしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、優劣のつけがたいことや兄弟を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文4で使われている伯仲は、力がつりあっていて優劣のつけがたいことを意味します。例文4にある「保革伯仲」とは、政治で使われる言葉で与党と野党の議席や勢力がほぼ同じことを表します。

例文5で使われている伯仲は、兄と弟を意味します。「伯仲叔季」(読み方:はくちゅうしゅくき)とは、兄弟の順序の呼び名を表す四字熟語です。古代中国での呼び方に由来しています。

互角や伯仲という言葉は、どちらも力量が同程度で優劣がつけがたいことを意味する一方、さらに伯仲は兄弟の意味も持ちます。伯仲は互角ほど使われない言葉ですが、互角と同じ意味と兄弟の意味と、二つの意味を持つことを覚えておくと良いでしょう。

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