似た意味を持つ「小生」(読み方:しょうせい)と「小職」(読み方:しょうしょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「小生」と「小職」という言葉は、どちらも自分のことを控えめに表現する一人称であるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
小生と小職の違い
小生と小職の意味の違い
小生と小職の違いを分かりやすく言うと、男性が自分のことを控えめに表現する際に使う一人称か、ある程度の役職についている人が自分の立場を控えめに表現する際に使う一人称かの違いです。
小生と小職の使い方の違い
小生というのは、主に手紙などの文面で男性が使う一人称です。自分を控えめに表現する一人称でもあります。女性は「小生」とは使いません。女性が自分のことを控えめに表現する際には「私(わたくし)」を使います。
この小生という言葉は、自分と同等か、または自分よりも目下の人に対して使われる言葉です。目上の人や立場が上の人に対しては使わない表現ですので注意しましょう。
また、小生というのは、現在はあまり使われない古い言葉でもあります。昔は男性の方が女性よりも立場が上であったこともあり、その名残として、小生というのは息子から母親への手紙、兄から姉や妹に宛てた手紙などでも使用される言葉です。
しかし、息子から父親への手紙の際には、小生と使うのは失礼な表現になります。これは父親の方が立場が上であるという考えによるものです。これと同様に、上司などに手紙を書く際には、小生という一人称は使わないようにしましょう。
対する小職というのは、男女ともに使える一人称の表現です。こちらも主に手紙などの文面において使われるものです。小職という言葉は、ある程度の役職についている人が自分の就いている役職について控えめに表現したい場合に使う言葉です。
そのため、特に役職を与えられていない平社員や新入社員は使えない表現です。本来は官職と呼ばれる国家公務員が自らの職を控えめに表現する際に使っていた言葉でした。現在では、国家公務員だけでなく、一般企業においても使われることのある表現です。
小職は、立場がある程度高い人が、自分よりもさらに立場が上の人や客人に対して使う表現です。自分はこういう立場を与えられた人間ですが、あなた様のお仕事に比べれば、そんなに大した仕事をしているわけではないんです、という意味で使います。
とても日本人らしく、奥ゆかしい表現の言葉でもあります。管理職や大手企業で役職に就いている人などが使う表現ですので、自分がそういった立場にない場合には不用意に使用することのないように注意しましょう。
小生の意味
小生とは
小生とは、男性が自分のことを控えめに表現する際に使う一人称のことを意味しています。小生というのは、主に手紙の文面などで使用される男性の一人称です。
小生を女性は使えない
自分のことを謙遜して控えめに表現する際に使われます。小生という表現を女性が使用することは出来ず、女性が自分を謙遜して表現する際には「私(わたくし)」を使います。
小生の語源
小生の「小」という字は、自分や自分に関する様々なことを謙遜して表現する意味を持っています。自分の勤めている会社を「小社」と表現したり、自分の弟のことを「小弟」と表現したりもします。
小生の「生」という字は、男性を控えめに表現する際に使用される自称のことを意味しています。この「生」という字がつくために、小生という言葉は男性のみが使う表現であり、女性が使えないものとなっています。
小生を目上の人には使えない
小生という表現は、自分よりも立場が下であったり、目下であったり、または立場が同等である人に対して使われる表現でもあります。謙遜の意味を含むので勘違いしやすいのですが、目上の人に使える表現ではありません。
あくまで、自分の方が立場が上である状態、または立場が同等である状態において、自分を控えめに表現するために使う言葉です。または、自分の母親や姉妹など、女性に対して使われることもあります。
これは、小生という言葉が古い言葉であり、昔は男性の方が女性よりも立場が上であるという前提があったことによるものです。現代で使用する際には、目上の女性に対しては使わないようにする方が良いでしょう。
小生の類語
小生の類語・類義語としては、男性が自分をへりくだる一人称である「愚生」(読み方:ぐせい)、老人が自分をへりくだる一人称である「拙老」(読み方:せつろう)などがあります。
小生の「生」の字が使用されている単語としては、主に書簡などで男性が自分をへりくだっていう言葉を意味する「愚生」、年をとった男性が自分をへりくだっていう言葉を意味する「老生」などがあります。
小職の意味
小職とは
小職とは、役職についている人が自分のことを控えめに表現する際に使う一人称のことを意味しています。小職というのは、主に手紙の文面などで使用される一人称です。
小職は男性でも女性でも使える
小生とは違い、男性でも女性でも使用することが出来ます。しかし、役職についていない平社員や新入社員などがこの言葉を使うことは出来ません。
小職というのは、自分を謙遜している表現であり、自分よりも立場が上の人や社外の人、お客様などに対して使われるものです。
意味としては、自分はこういった立場を任されていますが、私自身はそんなに大した器ではありません、というようなニュアンスが含まれます。
小職はメールよりも手紙で使われる
この言葉は、普段のメールなどよりも季節の挨拶や、なにかの行事に社外の人を招待する際、逆に招待を受けてそれに返事をする際の手紙などに使われる言葉です。
小職は役職がない平社員は使えない
小職という表現は、役職などを任されていない人が使用すると、かえって失礼な表現になってしまいます。自分自身がそれほどの役職を任されていない場合には使わないように注意しましょう。
小職の由来
小職というのは本来、官職についている人間が自分のことを控えめに表現する際に使っていた一人称でした。官職というのは、国家公務員のことです。
現在では、国家公務員だけでなく一般企業においても、役職についている人が一人称として「小職」と使う場合もあります。
小職の語源
小職の「小」というのは、小生の「小」と同じく自分や自分に関する様々な事柄を謙遜する意味を持ちます。小職の「職」という字は、役目や担当、任務のことを意味しています。
小職の類語
小職の類語・類義語としては、現在の職業を意味する「当職」、自分が属している方を意味する「当方」などがあります。
小職の「職」の字が使用されている単語としては、非常に激しく忙しい職務のことを意味する「激職」、責任の重い重要な職務やその職に就いている人のことを意味する「重職」、重要な地位や職務のことを意味する「要職」などがあります。
小生の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手紙などで自分と同等か自分より目下の人に対して、男性が自分のことを謙遜して表現する時などが挙げられます。男性が使う一人称であり、女性は使えないので注意しましょう。
一般的には、自分と立場が同等か目下の人に対して使われる言葉ですが、例文2や4のように、家族にあてた手紙などでも使われることがあります。主に母親や姉妹などに対して使われるもので、家族間であれば目上の女性などにも使える表現です。
しかし、家長である父親に対して「小生」という人称を使うと、失礼にあたる可能性があるので、家族間であっても男性同士では目上の人には使わないようにしましょう。
小職の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある程度の役職についている人が自分の仕事上の立場を大したものではないと控えめに表現する時などが挙げられます。この言葉は男女ともに使えるものですが、役職についていない人は使わないものです。
一般的には、ある程度の役職についている人が、自分よりも更に立場が上の人や、社外の人、お客様などに対して使う表現です。自分はこういった役職にありますが、私自身の器としては、まだまだ勉強不足です、というような意味を持つ言葉です。
例文2や4のように「お恥ずかしながら」や「僭越ながら」などの謙遜の言葉と一緒に使われることが多いものであると覚えておくようにしましょう。