似た意味を持つ「氷河」(読み方:ひょうが)と「雪渓」(読み方:せっけい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「氷河」と「雪渓」という言葉は、どちらも「雪からできた氷の塊」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
氷河と雪渓の違い
氷河と雪渓の違いを分かりやすく言うと、氷河とは雪からできた氷の塊のうち動くもの、雪渓とは雪からできた氷の塊のうち動かないものという違いです。
一つ目の氷河を使った分かりやすい例としては、「いつからいつまでが氷河時代だと正確に言えますか」「次々と氷河が崩落しています」「氷河の大規模崩壊によって村が壊滅した」「就職氷河期世代は損ばかりしている」などがあります。
二つ目の雪渓を使った分かりやすい例としては、「日本で最も有名な雪渓はどこにありますか」「白馬大雪渓は夏でも雪の上を歩いて登山ができます」「外国人観光客に雪渓の危険性を英語で説明しました」などがあります。
氷河と雪渓という言葉は、どちらも降り積もった雪からできた氷の塊を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
氷河とは、積雪がしだいに厚くなって氷となり、重力によって流動するようになったものを意味します。自重でゆっくりと流動する巨大な雪と氷の塊であり、大陸氷河と山岳氷河に分けられます。かつて日本に氷河はないとされていましたが、一部の万年雪の流動性が確認され、氷河と認定されました。
雪渓とは、高山の谷間などで、積雪が夏に溶けきらずに残ったもので動かないものを意味します。氷体を持つこともありますが、流動がなければ氷河とは呼ばずに雪渓と言います。北アルプスに位置する白馬大雪渓、針ノ木大雪渓、剱沢大雪渓の3つが、日本三大雪渓として有名です。
つまり、氷河と雪渓の違いは、流動するかしないかにあります。氷河は雪からできた氷の塊のうち動くものであり、雪渓は雪からできた氷の塊のうち動かないものを指します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
氷河を英語にすると「glacier」となり、例えば上記の「氷河時代」を英語にすると「the glacial epoch」となります。一方、雪渓を英語にすると「snowy gorge」「snowy valley」「snow patch」となり、例えば上記の「有名な雪渓」を英語にすると「a famous snowy valley」となります。
氷河の意味
氷河とは、地上に降り積もった雪がしだいに厚い氷の塊となり、重力によって流動するようになったものを意味しています。
その他にも、「凍った川、氷が張りつめている川」の意味も持っています。
「国立科学博物館で氷河期展を開催しています」「何歳ぐらいの人が就職氷河期世代にあたりますか」などの文中で使われている氷河は、「地上に降り積もった雪がしだいに厚い氷の塊となり、重力によって流動するようになったもの」の意味で使われています。
一方、「氷河の氷の厚さを棒で確かめる」「昔は氷河でスケートをして楽しみました」「夜になると氷河から冷気が立ち込めます」などの文中で使われている氷河は、「凍った川、氷が張りつめている川」の意味で使われています。
氷河とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。氷河の「氷」は固体状態にある水を表し、「河」は自然の水が集まり陸地のくぼんだ所を流れる水路を表す漢字です。
氷河を用いた日本語には「就職氷河期世代」があります。就職氷河期世代とは、バブル経済が崩壊し、多くの企業が新卒採用を大幅に減らした1990年代前半から2000年代半ばごろに高校や大学などを卒業した人々を意味します。「ロストジェネレーション」「ロスジェネ」とも呼ばれています。
氷河の類語・類義語としては、氷のかたまりを意味する「氷塊」、氷河の下端や棚氷が海に達し大氷塊が海上に浮かんでいるものを意味する「氷山」、水のしずくが凍って棒状に垂れ下がったものを意味する「氷柱」(読み方:つらら)などがあります。
雪渓の意味
雪渓とは、雪や氷が夏でも残っている高山の谷を意味しています。
雪渓を使った分かりやすい例としては、「雪渓での滑落事故が増えています」「雪渓寺は法大師が開祖されました」「立山の雪渓にあやかったお菓子をいただきました」「チェーンスパイクはは夏山の雪渓でも使えます」などがあります。
その他にも、「雪渓のある場所で滑らずに歩行する」「雪渓は夏の季語として扱われます」「風景画家の第一人者が雪渓を描いた」「雪渓の雪は昨年より多くなっています」「支流の雪渓で崩落が発生しました」などがあります。
雪渓の読み方は「せっけい」です。同じ読み方をする熟語に「設計」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
雪渓の「雪」は水蒸気が雲のなかで昇華凝結してできた氷粒子を表し、「渓」は谷間を流れる川を表します。雪渓とは、残雪が溶けることなく、夏の遅い時期まで山地の谷間を埋めて残っているものを意味します。
雪渓を用いた日本語には「多年性雪渓」(読み方:たねんせいせっけい)があります。多年性雪渓とは、山岳地帯で冬季に積もった雪が夏になっても解けきらず、そのまま年を越して残存する雪渓のことです。
雪渓の類語・類義語としては、雪が降り積もっている冬の山を意味する「雪山」、山にはさまれた川のある所を意味する「渓谷」、山の迫った谷間を意味する「山峡」、氷河や雪渓にできる深い割れ目を意味する「クレバス」などがあります。
氷河の例文
この言葉がよく使われる場面としては、高山や高緯度地方など雪線以上の地域にある万年雪がその重量によって圧縮されて生じた氷塊、氷のはりつめている河を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「大陸氷河」とは、「氷床」とも言い、大陸の全体を広く覆って発達する氷河を意味します。
雪渓の例文
この言葉がよく使われる場面としては、夏でも雪や氷が溶けきらないで残っている谷を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「越年性雪渓」とは、高山の谷や斜面に夏になっても溶けずに残り、冬の積雪が夏場の融雪量を上回って雪が年を越す「万年雪」や「多年性雪渓」のことです。
氷河と雪渓という言葉は、どちらも「雪からできた氷の塊」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、ゆっくりと動く氷の塊を表現したい時は「氷河」を、動きが認められない氷の塊を表現したい時は「雪渓」を使うようにしましょう。