似た意味を持つ「嫌悪」(読み方:けんお)と「険悪」(読み方:けんあく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「嫌悪」と「険悪」という言葉は、どちらも「不快なこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
嫌悪と険悪の違い
嫌悪と険悪の違いを分かりやすく言うと、嫌悪とは不快に思う感情、険悪とは不快である状況という違いです。
一つ目の嫌悪を使った分かりやすい例としては、「浅ましい言動に強い嫌悪感をあらわにする」「ルールに違反する行為を嫌悪する」「自己嫌悪に陥る心理について解説します」「嫌悪感情は否定的な態度として現れます」などがあります。
二つ目の険悪を使った分かりやすい例としては、「彼は周囲を威嚇するかのように険悪な目つきをしている」「新婚旅行で険悪なムードになってしまいました」「注意すると険悪になるので止めておきました」などがあります。
嫌悪と険悪という言葉は、どちらも不快なことや互いの関係がよくないさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
嫌悪とは、強い不快感を持つことを意味し、感情的にひどく嫌うことを表します。心の中の感情にフォーカスした表現であり、「自己嫌悪」とは自分で自分自身のことを嫌いになるネガティブな感情のことです。
険悪とは、険しく恐ろしいこと、危なく油断できない状況や雰囲気を意味します。主に状況や関係にフォーカスした表現であり、「険悪なムード」とは争いが今にも起きそうなほど悪い状態を表すマイナスイメージの言葉です。
つまり、嫌悪とは相手を不快に思う感情を表し、険悪とは不快である関係や状況を表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
嫌悪を英語にすると「aversion」「disgust」「revulsion」となり、例えば上記の「強い嫌悪感」を英語にすると「intense aversion」となります。
一方、険悪を英語にすると「stormy」「inclement」「nasty」となり、例えば上記の「険悪な目つき」を英語にすると「a nasty look」となります。
嫌悪の意味
嫌悪とは、憎み嫌うこと、強い不快感を持つことを意味しています。
嫌悪を使った分かりやすい例としては、「モラルのない人に嫌悪感を覚える」「相手にわからせるように嫌悪感を示す」「つい同族嫌悪を起こしてしまいます」「プロンプトを打って嫌悪感をあらわにしたイラストを生成する」などがあります。
その他にも、「うまくできなくて自己嫌悪に陥ることがあります」「平気で迷惑行為をしている人に嫌悪感を抱く」「嫌悪施設として認識されやすい施設を一覧表にしました」「不潔な人に生理的嫌悪を感じる人は多いでしょう」などがあります。
嫌悪の読み方は「けんお」です。誤って「けんあく」「げんお」などと読まないようにしましょう。
嫌悪の「嫌」は訓読みで「きらう」「いや」と読み、好ましくないものとして避けることを表します。不快に思うことや気分がムカムカすることを表す「悪」と組み合わさり、嫌悪とは、憎みきらうこと、不愉快に思うことを意味します。
嫌悪を用いた日本語には「嫌悪施設」があります。嫌悪施設とは、近隣に立地すると住民から嫌がられることが多い施設のことです。墓地、葬儀場、廃棄物処理場、刑務所などが代表例で、嫌悪施設が近くにある物件は資産価値が低くなる傾向があります。
嫌悪の対義語・反対語としては、物事を愛し好むことを意味する「愛好」、その人にいだく親しみや好ましく思う気持ちを意味する「好意」などがあります。
嫌悪の類語・類義語としては、ひどく憎むことや憎み嫌うことを意味する「憎悪」、ひどく嫌に思うことを意味する「厭悪」(読み方:えんお)、嫌がって避けることを意味する「忌み嫌う」などがあります。
険悪の意味
険悪とは、表情や性質がとげとげしくなること、また、そのさまを意味しています。
その他にも、「状況などが悪化して油断ができないこと、また、そのさま」の意味も持っています。
「険悪な顔つきでこちらを見ている」「その話を聞いて彼は一瞬で険悪な表情になった」「言葉の端々に険悪な性格が見え隠れしている」などの文中で使われている険悪は、「表情や性質がとげとげしくなるさま」の意味で使われています。
一方、「夫とすぐに険悪ムードになってしまう」「言い合いになって険悪な雰囲気に陥る」「険悪な関係の改善には時間がかかるでしょう」などの文中で使われている険悪は、「状況などが悪化して油断ができないさま」の意味で使われています。
険悪の読み方は「けんあく」です。誤って「けんお」「けんあし」などと読まないようにしましょう。
険悪とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。険悪の「険」は訓読みで「けわしい」と読み、人が他を受け入れないさま、つけいる余地のないさまを表します。
上記例文にある「険悪な雰囲気」とは、その場の人間関係が極めて悪く、殺伐とした空気感やピリピリとした緊張感を表す言葉です。周囲に不快感や危機感を与える重苦しい状態であり、「気まずいムード」「不穏な空気」などと言い換えることができます。
険悪を用いた誤った表現には「険悪感」があります。正しくは「嫌悪感」であり、人や物事に対して感じる強い不快感を意味します。
険悪の対義語・反対語としては、性質や態度がもの柔らかであることを意味する「柔和」、穏やかで無事なことを意味する「平穏」などがあります。
険悪の類語・類義語としては、状況が不安定で危機や危険をはらんでいることを意味する「不穏」、よくない事が起きたり起こしたりしそうな危険な感じがすることを意味する「物騒」、悪い事態になりそうな危険な状態であるさまを意味する「際どい」などがあります。
嫌悪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、憎しみ嫌うこと、感情的にひどく嫌うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、嫌悪の慣用的な言い回しには「嫌悪感」「同族嫌悪」「嫌悪する」などがあります。「同族嫌悪」とは、自分と同じ性質や趣味などを持つ人に対して、はっきりとした根拠もなく嫌悪感や反発心を抱く心理現象です。
険悪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、表情や性質などがとげとげしく厳しいこと、状態や雰囲気などが厳しくあぶないさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある険悪は、「表情や性質などがとげとげしく厳しいこと」の意味で用いられています。例文2から例文5の険悪は「状態や雰囲気などが厳しくあぶないさま」の意味で使われています。
嫌悪と険悪という言葉は、どちらも「不快なこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手を不快に思う感情を表現したい時は「嫌悪」を、互いに不快である関係や状況を表現したい時は「険悪」を使うようにしましょう。