【気性】と【気質】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「気性」(読み方:きしょう)と「気質」(読み方:きしつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「気性」と「気質」という言葉は、生まれつきの性質を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




気性と気質の違い

気性と気質の意味の違い

気性と気質の違いを分かりやすく言うと、気性は心の動きを持つ性質を表す時に使い、気質はあまり心の動きを持たない性質を表す時に使うという違いです。

気性と気質の使い方の違い

一つ目の気性を使った分かりやすい例としては、「彼は気性の荒い男性だ」「怒りっぽい気性の男性に怒鳴られる」「気性の激しい取引先の担当者との会議は胃が痛い」などがあります。

二つ目の気質を使った分かりやすい例としては、「おだやかな気質の持ち主である」「日本人の気質はヨーロッパの気質とは大きく違う」「我慢強く粘着気質である」などがあります。

強い心の動きを表す場合には気性、やさしさなどのそれほど心の動きを有しない性質を表す場合には気質を使うため、「激しい気性」「おだやかな気質」というそれぞれの例文を「激しい気質」「おだやかな気性」のように入れ替えて使うことはあまりしません。

気性と気質の英語表記の違い

気性も気質も英語にすると「disposition」「temper」となり、例えば上記の「怒りっぽい気性の男」を英語にすると「a man of choleric temper」となります。

気性の意味

気性とは

気性とは、生まれつきの性質や気が強い様子を意味しています。

気性の使い方

気性を使った分かりやすい例としては、「彼は怒りやすい気性の人として社内で有名である」「彼女の気性は自分には手に負えない」「預かった猫の気性が荒い」「子どもの気性が激しいため困っている」などがあります。

表現方法は「気性が荒い」「気性が激しい」「気性が強い」

気性は「気性が荒い」「気性が激しい」「気性が強い」という使い方で、すぐ感情をあらわにしたり、感情の起伏が激しい様子を表す言葉になります。

気性の慣用句

気性のさっぱりしている様子を表す「竹を割ったような性格」という慣用句がよく使われますが、これは竹を切った際まっすぐに割れる様子から気性が激しくないことを表現しています。

「気性難」の意味

気性を使った言葉として「気性難」などがあります。気性が激しかったりイライラしがちで、喜怒哀楽でいう怒りっぽく短気な性格を意味します。

人間にも使われる言葉ですが、気性の荒さが馬の能力にもつながることから重要視されているため、「気性難の馬」という使い方で競走馬に対して多く使われているのが見受けられます。

気性の類語

気性の類語・類義語としては、その人特有の行動や反応を決定する感情的、知的特質を意味する「性分」や「賦質」(読み方:ふしつ)などがあります。

気性の性の字を使った別の言葉としては、個人または個体に備わったそのもの特有の性質を意味する「個性」、経過が長引く病気の状態や望ましくない状態が長く続くことを意味する「慢性」、男女または雌雄の区別を意味する「性別」などがあります。

気質の意味

気質とは

気質とは、他人に対する態度などに現れる、その人の心の持ち方を意味しています。

表現方法は「気質がある」「気質を持っている」

「気質がある」「気質を持っている」などが、気質を使った一般的な表現方法です。

気質の使い方

気質を使った分かりやすい例としては、「犬の気質や習性は身体でコミュニケーションをとることだ」「兄と私は異なった気質を持っている」「先輩気質の人は頼りがいがある」「ヤンキー気質のタレントのコメントが面白い」などがあります。

気質の読み方

気質という言葉には「きしつ」と「かたぎ」という読み方があり、前者の場合はその人個人の性質を意味します。

一方後者の「かたぎ」と読む場合は、身分、職業、年齢層や環境などが同じ人たちの間にみられる特有の性格を意味します。

今日では、上二つの読み方に対応するぞれぞれの意味が混同して使われて、「先輩気質」や「ヤンキー気質」のような言葉が多く見受けられます。

他にも気質を使った言葉として「名人気質」や「気質喜劇」などもあります。

「名人気質」の意味

前者の「名人気質」(読み方:めいじんかたぎ)とは、名人といわれる人に特有の性質のことを指し、具体的にはがんこであったり利害に執着しない気質を持つ傾向のことを意味します。「名人肌」とも言い換えられます。

「気質喜劇」の意味

後者の「気質喜劇」とは、特異な気質を持った人物の奇行などを描き風刺する喜劇の一ジャンルです。ただし、この言葉に含まれている気質は心理学における感情的傾向の意味合いで使われているため、気性と比較している気質とはやや違うことに注意してください。

気質の類語

気質の類語・類義語としては、人々の教訓と倫理行動と反応を決定する先天的な固定概念を意味する「素質」、際立った特徴を意味する「特性」、他にある選択肢を他の選択肢より好むという精神的な意向を意味する「傾向」などがあります。

気質の質の字を使った別の言葉としては、そのものだけが持っている特別の性質を意味する「特質」、生まれつき持っているすぐれた性質や顔かたちを意味する「美質」、飾り気がないことやつつましくて倹約なことを意味する「質素」などがあります。

気性の例文

1.馬の気性は遺伝や血統に左右され、脚力を含む競走馬の能力を構成する要素となる。
2.職場の主任は気性が勝った女性でやや嫌煙されそうだが、それが彼女の長所でもあるだろう。
3.ここ最近、雨が続いたり大雪が降ったり暖かくなったりと、天気の気性が激しい。
4.気性が荒いサメは、海の中の生物だけではなく人を襲うこともあるため注意が必要だ。
5.その企業は進取の気性に富んでおり、ここ数年業績を伸ばし注目されている。
6.今の上司は気性が激しく毎日誰かしらつかまえては文句や愚痴を言っているので私たちは密かに被害者の会を作ろうかと話している。
7.彼はおとなしい見た目とは違って気性が激しいため、怒ると周りの人々を驚かせることがある。
8.部長は気性がとても荒く、一度でも怒られると二時間はずっと説教を食らわされる。
9.その選手は気性が荒く、試合中に何度も審判に抗議していたので最後には退場させられました。
10.彼女はまだ新人社員だが気性が強いため、自分の意見をはっきりと述べることができる。

この言葉がよく使われる場面としては、激しい感情の動きや気の強さを持つ性質などを意味する時などが挙げられます。

例文2の「気性が勝つ」とは気が強いことを表す使い方です。「気が勝つ」や「勝気」とも言い換えられます。

例文5の「進取」とは自ら進んで物事に取り組むことを意味します。つまり「進取の気性」とは、従来のやり方にとらわれることなく積極的に新しい物事に取り組んでいこうとする性格を意味する言葉になります。

気質の例文

1.子どもの気質は半分が親の遺伝だと言われているが、残りの半分はその子どもを取り巻く生活環境で決められる。
2.その職業に向いていると考えられる人々の気質はおおむね共通している。
3.ある性格や気質を持った人が、特定の病気にかかりやすい傾向があることは昔から知られていた。
4.この国の人々は、陽気でユーモアがあり活発的に行動する気質を持っているように感じる。
5.先輩にかわいがられている彼は、根っからの後輩気質である。
6.彼女はわがままでいつも自分が話題の中心なのが当然という女王様気質だが、なぜかみんな彼女の言うことを聞いてしまう。
7.母はまあまあなクレーマー気質ではあるが、この時の行動ばかりは称賛に値すると思う。
8.SNSには粘着気質な人間も入るので、個人情報を公にするのはリスクしかないだろう。
9.うちの父親はどちらかというとオタク気質だったので、私がアニメを見ることに好意的な態度を示してくれる。
10.たとえアメリカ暮らしが長くても、時々会釈をしたりして日本人気質が出てしまうこともあります。

この言葉がよく使われる場面としては、他に対する態度に現れる心の持ち方や生まれ持った性質を意味する時などが挙げられます。

今日では、例文5のように「後輩気質」などの使い方をして個人の性質ではなく、複数同じような人がいるカテゴリを表す言葉として使われることが多いです。

気性と気質どちらを使うか迷った場合は、激しい心の動きや気が強い性質を表す場合には「気性」を、備わっている心のやさしさなどの性質を表す場合は「気質」を使うと覚えておけば間違いありません。

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