似た意味を持つ「悔しくも」(読み方:くやしくも)と「奇しくも」(読み方:くしくも)と「惜しくも」(読み方:おしくも)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」という言葉は似た読み方をする言葉ですが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」の違い
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」の意味の違い
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」の違いを分かりやすく言うと、「悔しくも」は歯がゆい気持ちを表現する時に使い、「奇しくも」は不思議なことを表現する時に使い、「惜しくも」はもったいないことを表現する時に使うという違いです。
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」の使い方の違い
「悔しくも」という言葉は、「悔しくもベスト4という結果に終わった」「悔しくもあるがこの気持ちを大切にしたい」などの使い方で、自分の行いや行わなかったことに対して歯がゆいながらもを意味します。
「奇しくも」という言葉は、「奇しくも友人と誕生日が同じだ」「奇しくも再び出会うこととなった」などの使い方で、偶然なことに、不思議にもを意味します。
「惜しくも」という言葉は、「惜しくも敗退することとなった」「もう少しで逆転だったが惜しくも時間切れとなってしまった」などの使い方で、もう少しで目標に到達するはずだったが残念なことにを意味します。
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」の使い分け方
「悔しくも」と「惜しくも」はどちらも、一歩寸前で物事が失敗に終わった時に使う言葉ですが、前者は自分の行いや自分が行わなかったことに対して使われ、後者は他者の行動や結果に対して使われます。
一方の「奇しくも」は、偶然であることや不思議なことに対して使う言葉であるため、「悔しくも」や「惜しくも」とは大きく異なります。
これが、「悔しくも」、「奇しくも」、「惜しくも」の明確な違いです。
「悔しくも」の意味
「悔しくも」とは
「悔しくも」とは、自分の行いや行わなかったことに対して歯がゆいながらもを意味しています。
「悔しくも」の読み方
「悔しくも」は「くやしくも」という読み方をする言葉ですが、「悔いる」を「くいる」と読むことができることから、「悔しくも」を「くしくも」と読む人が多く見られます。
「悔しくも」の使い方
「悔しくも」を使った言葉として、「悔しくも勝利を収められなかった」「悔しくも準優勝」「悔しくも試合は終了となった」などがあります。
「惜しくも」と同じように使われる言葉ですが、「惜しくも」は他者の行いに対しても使うことができますが、「悔しくも」は使うことができません。
「悔しくも」の類語
「悔しくも」の類語・類義語としては、あっけないことを意味する「あえなく」、仕方がないことを意味する「止む無く」、自分の望みとは違っていることを意味する「不本意ながら」、物足りないことを意味する「不満ながら」などがあります。
「奇しくも」の意味
「奇しくも」とは
「奇しくも」とは、偶然なことに、不思議にもを意味しています。
「奇しくも」の読み方
「奇しくも」は「くしくも」という読み方をする言葉ですが、「きしくも」という読み方はありません。神秘的であることや不思議であることを意味する「奇し」という形容詞が変化したものに、助詞の「も」が付いた言葉です。
そのため、不思議にも、偶然にもといった言葉と同じように使いますが、「悔しくも」や「惜しくも」と同じような意味を持っていると誤認され使われることが多い言葉です。もったいない状況や後悔する様子を表すためには使われません。
「奇しくも」の対義語
「奇しくも」の対義語・反対語としては、仮に設定した条件や状況の範疇を出ていないことを意味する「想定内」、前もって考えていた結果の通りになったことを意味する「予想通り」、言うまでもないことを意味する「当然ながら」などがあります。
「奇しくも」の類語
「奇しくも」の類語・類義語としては、風変りなことや不思議なことを意味する「奇妙にも」があります。
「惜しくも」の意味
「惜しくも」とは
「惜しくも」とは、もう少しで目標に到達するはずだったが残念なことにを意味しています。
「惜しくも」の使い方
「惜しくも」を使った表現として、「惜しくも敗れる」「惜しくも負ける」「惜しくも優勝を逃す」「惜しくも散る」など、あと一歩のところで目標に到達できないことや、掴み損ねることを表す時などに使われます。
また、「惜しくも亡くなる」など人が亡くなる際に使われることもあります。
「惜しくも」という言葉は、自分や所属する団体が目標に到達できない場合に使いますが、他者に対しても使うことができるため、「悔しくも」という言葉に似た意味を持ちますが、対象によって使い分けます。
「惜しくも」の対義語
「惜しくも」の対義語・反対語としては、ゆったりと落ち着いておりゆとりがあることを意味する「余裕」があります。
「惜しくも」の類語
「惜しくも」の類語・類義語としては、無駄であることを意味する「むなしく」、努力した願いなどが叶わないことを意味する「力及ばず」、くやしい様子やくやしいことを意味する「無念にも」があります。
「悔しくも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の行いや行わなかったことに対して歯がゆいながらもを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「悔しくも」という言葉は自身が悔しい気持ちになった場合に使われていますが、「惜しくも」は自身でも他者でも使うことができるため、置き換えて使うことができます。
「奇しくも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、偶然なことに、不思議にもを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「奇しくも」も、何かを後悔するような意味はないため、「悔しくも」や「惜しくも」という言葉に置き換えて使うことはできません。
「惜しくも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もう少しで目標に到達するはずだったが残念なことにを意味する時などが挙げられます。
例文2の「惜しくも」は、自身の経験について表しているため、「悔しくも」という言葉に置き換えて使うことができます。
「悔しくも」と「奇しくも」と「惜しくも」どれを使うか迷った場合は、歯がゆい気持ちを表す場合は「悔しくも」を、不思議なことを表す場合は「奇しくも」を、もったいないことを表す場合は「惜しくも」を使うと覚えておけば間違いありません。