同じ「そう」という読み方の「沿う」と「添う」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「沿う」と「添う」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
沿うと添うの違い
沿うと添うの意味の違い
沿うと添うの違いを分かりやすく言うと、沿うとは長く続いてるものから離れないようにすること、添うとは傍から離れないようにすることという違いです。
沿うと添うの使い方の違い
一つ目の沿うを使った分かりやすい例としては、「ご期待に沿うことができず申し訳ございません」「道路に沿って花が咲いている」「要求に沿った回答をしています」「時代の流れに沿うように新しい機種へ機種変更した」「線路に沿うように歩く」などがあります。
二つ目の添うを使った分かりやすい例としては、「期待に添うことができず申し訳ない」「母の買い物に付き添う」「長年連れ添った彼女と結婚することになりました」「人の心に添うことは大切です」などがあります。
沿うと添うは異なっている意味と共通している意味の二つを持っています。異なっている意味の場合は、お互いに置き換えることができないのですが、共通している意味の場合は置き換えることが可能です。
まずは、異なっている意味を挙げてみます。沿うは長く続いてるものから離れないようにすることに対して、添うは人などの生き物の傍から離れないようにすることの意味です。
例えば上記の「線路に沿うように歩く」は、長く続いてる線路から離れずに歩くという意味になっています。一方、「線路に添うように歩く」となるのですが、添うは、基本的に人などの生き物に対して使う言葉なため、置き換えることができません。
一方、沿うと添うの共通する意味を挙げてみます。沿うは方針に従いそれから離れないようにして何かを行うことで、添うは目的通りにすることや叶うようにすることになります。どちらもの意味も目的通りに行うという共通したニュアンスになっています。
そのため、「希望に沿う」「希望に添う」と「期待に沿う」「期待に添う」などの場合は、どちらの表現を使っても間違いではありません。ただし、新聞などで用いる場合は、「沿う」を使うと覚えておけば間違いありません。
沿うと添うの英語表記の違い
沿うを英語にすると「follow」「along」となり、例えば上記の「道路に沿って花が咲いている」を英語にすると「Flowers are blooming along the road」となります。
一方、添うを英語にすると「accompany」「marry」となり、例えば上記の「母の買い物に付き添う」を英語にすると「Accompany mother’s shopping」となります。
沿うの意味
沿うとは
沿うとは、長く続いているものから離れないようにすることを意味しています。その他にも、方針に従いそれから離れないようにして何かを行うことの意味も持っています。
表現方法は「計画に沿う」「希望に沿う」「期待に沿う」
「計画に沿う」「希望に沿う」「期待に沿う」などが、沿うを使った一般的な表現方法です。
沿うの使い方
「線路に沿って雑草が生えている」「この川の流れに沿って歩いていくと休憩所があります」などの文中で使われている沿うは、「長く続いているものから離れないようにすること」の意味で使われています。
一方、「テーマに沿った研究をしています」「趣旨に沿う発言をするようにお願いします」などの文中で使われている沿うは、「方針に従いそれから離れないようにして何かを行うこと」の意味で使われています。
沿うは二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。ただし、意味によって使う場面が異なっています。長く続いてるものから離れないようにすることの意味の場合は、日常生活で使うことが多いです。
もう一方の、方針に従いそれから離れないようにして何かを行うことの意味の場合は、ビジネスシーンで頻繁に使われています。
沿うの類語
沿うの類語・類義語としては、祭礼の時ににお供の行列に加わることを意味する「供奉」(読み方:ぐぶ)、並んで進むことを意味する「並行」、一平面上の二直線のことを意味する「平行」などがあります。
沿うの沿の字を使った別の言葉としては、海に沿った陸地のことを意味する「沿海」、鉄道の線路や幹線道路に沿った所を意味する「沿線」、道に沿ったところを意味する「沿道」、今日までの歴史のことを意味する「沿革」などがあります。
添うの意味
添うとは
添うとは、傍を離れずにいることを意味しています。その他にも、目的通りにすることや叶うようにすることの意味持っています。
表現方法は「意に添う」「希望に添う」「期待に添う」
「意に添う」「希望に添う」「期待に添う」などが、添うを使った一般的な表現方法です。
添うの使い方
添うを使った分かりやすい例としては、「貴意に添うように努力致します」「長年連れ添ったパートナーと結婚することになりました」「祖母が病院へ行くので付き添うことになった」などがあります。
その他にも、「ご希望に添うことができません」「彼の希望に添うことにしました」「父の釣りに付き添うことになった」「彼とは影の形を添うように常に一緒にいます」などがあります。
「希望に添う」の由来
よく使われる言葉である「希望に添う」ですが、元々は「希望に副う」という言葉で使われていました。しかし、「副」が常用外漢字であるため、代用字として、常用漢字の「添」を用いた「添う」が使われるようになりました。
このような「添う」と「副う」のように、本来の字が難しい字面であったり、常用漢字ではない場合に代用字が使われます。
添うの類語
添うの類語・類義語としては、もたれかかるように傍に寄ることを意味する「寄り添う」、お供として付き従うことを意味する「随伴」、他人に付き従うことを意味する「追陪」などがあります。
添うの添の字を使った別の言葉としては、寄り添って寝ることを意味する「添い寝」、別の物を加えることを意味する「添加」、書類などに付け添えることを意味する「添付」、係員が乗客の世話や案内のために、付き添って同じ乗り物に乗ることを意味する「添乗」などがあります。
沿うの例文
この言葉がよく使われる場面としては、長く続いているものから離れないようにすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、方針に従いそれから離れないようにして何かを行うことを表現したい時にも使います。
例文3は、方針に従いそれから離れないようにして何かを行うことの意味で使われてます。ビジネスシーンで沿うを使う場合は、方針に従いそれから離れないようにして何かを行うことの意味が多いです。
例文5は、長く続いているものから離れないようにすることの意味で使われています。
添うの例文
この言葉がよく使われる場面としては、傍を離れずにいることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、目的通りにすることや叶うようにすることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は、目的通りにすることや叶うようにすることの意味で添うを使っています。
また、例文4と例文5は、傍を離れずにいることの意味で添うを使っています。傍を離れずにいることの意味の場合は、物理的だけではなく、心理的に離れないという意味でも使うことができます。
沿うと添うは、共通する意味と異なる意味の二つを持っているため使い分けが難しい言葉です。長く続いてるものから離れないようにすることの場合は「沿う」を、人などの生き物の傍から離れないようにすることの場合は「添う」と覚えておいてください。
また、共通する意味として目的通りに行うことの意味があります。この場合は、基本的にどちらの言葉を使っても問題ありません。ただし、新聞やニュースなどの報道機関で使う場合は、「沿う」の方を使うようにしてください。