【混迷】と【混乱】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「混迷」(読み方:こんめい)と「混乱」(読み方:こんらん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「混迷」と「混乱」という言葉は、色々なものが複雑に入り混じっていることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




混迷と混乱の違い

混迷と混乱の意味の違い

混迷と混乱の違いを分かりやすく言うと、混迷は人間の感情以外を表現する時に使い、混乱は人間の感情を表現する時にも使えるという違いです。

混迷と混乱の使い方の違い

混乱は「国中が混乱する」「様々な業界で混乱が起きている」「混乱して頭が真っ白になる」などのように、政治や経済状態だけではなく人間の感情や脳内に対しても使い、文語的表現にも口語的表現にも使用される言葉です。

一方の混迷は、「世界的混迷」「金融市場の混迷」「混迷する政治」などのように、政治や経済状態などを形容する際に使い、やや文語的な言葉です。

また混迷には、道理に暗くて分別の定まらないことを表す「昏迷」の意味も含まれています。同じ「こんめい」という読み方ですが「昏迷」は外部からの刺激に反応しない状態を意味することが多いため、口頭で人を形容するために使う際は混乱を使うほうが好ましいでしょう。

混迷と混乱の英語表記の違い

混迷を英語にすると「confusion」「bewilderment」となり、例えば「混迷の中退却する」を英語にすると「retreat in confusion」となります。

一方、混乱を英語にすると「confusion」「chaos」「disorder」となり、例えば「混乱に陥る」を英語にすると「fall into disorder」となります。

混迷の意味

混迷とは

混迷とは、分別に迷うことや見通しがつかないことを意味しています。その他にも、分別の定まらないことを意味します。

表現方法は「混迷極まる」「混迷する」「混迷に陥る」

「混迷極まる」「混迷する」「混迷に陥る」などが、混迷を使った一般的な表現方法です。

混迷と昏迷の違い

同じ「こんめい」という読み方をする「昏迷」は、心身ともに自己表現をしないで外部からの刺激にも反応しない状態を指しますが、分別が定まらず心が迷うことも表すため、混迷と同じ意味も持つ言葉です。

今日において昏迷は意識障害の一つとして認識されることが多いため、口頭での会話かつ人に対する形容として「こんめい」という言葉を使う際には注意してください。

四字熟語「混迷乱擾」の意味

混迷を使った言葉として「混迷乱擾」があります。

「混迷乱擾」(読み方:こんめいらんじょう)とは、人の心を乱して判断力を弱らせて悩ませることを意味する四字熟語です。乱擾とは乱れ騒ぐことや混乱させることを意味する言葉です。この四字熟語は「昏迷乱擾」とも書きます。

混迷の類語

混迷の類語・類義語としては、乱れていることを意味する「乱雑」、どうしてよいか判断がつかず迷うことを意味する「困惑」、入り混じって区別がつかない様子を意味する「渾沌」、目がくらんで正しい判断ができなくなることを意味する「眩惑」などがあります。

混迷の迷の字を使った別の言葉としては、定まった道や予想される道を大きく外れて進むことを意味する「迷走」、科学的根拠がなく社会生活に支障を来すことの多いとされる信仰を意味する「迷信」、考え方に柔軟性がないことを意味する「頑迷」などがあります。

混乱の意味

混乱とは

混乱とは、物事が入り乱れて秩序をなくすことや、整理がつかなくなることを意味しています。

表現方法は「混乱を招く」「混乱する」「混乱をきたす」

「混乱を招く」「混乱する」「混乱をきたす」などが、混乱を使った一般的な表現方法です。

混乱を使った言葉として、「混乱期」「地図混乱地域」があります。

「混乱期」の意味

一つ目の「混乱期」とは、仕事を始めてすぐの時期を指すビジネス用語です。考え方や感情がぶつかり合うことで目標に対する意見の食い違いが起き、業務の進め方だけでなく人間としての対立が生まれやすくなる時期です。

「地図混乱地域」の意味

二つ目の「地図混乱地域」とは、その土地の使用者と登録されている者が異なっており、両者に関連がないためその土地の地主が誰なのかがわからない地域を意味する言葉です。

区画整理や地図訂正などの業務が適正に行われないまま、土地が販売されるなどの事例が多発したために発生した状態で、「公図混乱」や「字図混乱」(読み方:あざずこんらん)とも表記されます。

混乱の対義語

混乱の対義語・反対語としては、一つにまとめることを意味する「統一」、物事を行う場合の正しい順序や望ましい状態を保つための順序や決まりを意味する「秩序」、きちんと片づけることや整うことを意味する「整頓」があります。

混乱の類語

混乱の類語・類義語としては、慌ててうろたえることを意味する「狼狽」、規律が乱れて筋道が立たない様子を意味する「乱脈」、世の中が乱れることや暴動などを意味する「動乱」、冷静な判断が出来ないほど心が乱れることを意味する「惑乱」などがあります。

混乱の乱の字を使った別の言葉としては、心が乱れて異常な言動をすることを意味する「狂乱」、世の乱れや騒動を意味する「禍乱」(読み方:からん)、権力や支配者に背いて武力行動を起こすことを意味する「反乱」などがあります。

混迷の例文

1.わが社も世界情勢の影響を受けたためか混迷し続けており、それに伴い社員の疲労もピークを超えているように感じた。
2.急速な政治的および経済的改革によって混迷を極めることとなり、国民は不満を募らせることとなった。
3.自己中心的な考え方を持った者の思うままに進められてしまった場合、組織が混迷に陥ることとなるだろう。
4.混迷を深める国際情勢を鑑みて我々の国での意思決定を行うのも大切だが、国民を第一に考えた政治を期待している。
5.国に支援を願う企業はたくさんあるが、中枢部の混迷は私たちに不安を与えるばかりである。
6.異動先では複数のタスクを同時進行しなければならないなどやることが多すぎて何から手をつければいいのか混乱している。
7.いきなり息子が歌手になりたいと言い出したので、私は頭が混乱してしまいました。
8.震災時の混乱に乗じて空き巣を働く不届き者は、厳正に処罰するべきだろう。
9.マイナンバーカードの申請期限を巡り、窓口業務は一時は混乱していたが、現在は落ち着きを見せている。
10.大勢の観客が集まった音楽フェスにおいて、混雑状況が悪化し、混乱が生じている。

この言葉がよく使われる場面としては、見通しがつかなかったり分別に迷うことを意味する時などが挙げられます。

例文2の「混迷を極める」とは、これ以上ないほどに混迷するという意味を持つ慣用表現です。

例文4の「混迷を深める」とは、すでに混迷しているものがより一層混迷するという意味を持つ慣用表現で、「混迷の度を深める」「混迷の度合いを深める」といった表現も同じ意味を持ちます。

混乱の例文

1.有名なショッピングモールでの爆破予告が届いたことで、買い物客はもちろん従業員たちにも混乱が生じてしまった。
2.度重なるメールによって混乱を招いてしまい申し訳ありませんでした。
3.来年度から新しいシステムが導入されるため様々な説明を受けているものの、実際新制度に触れた際は混乱必至だろう。
4.事件がひとまず収束したとしても、その後の混乱は免れないだろう。
5.その国は戦争中の混乱に乗じて他の国との交友関係を築き上げ、味方を増やしておくことで発展していった。
6.異動先では複数のタスクを同時進行しなければならないなどやることが多すぎて何から手をつければいいのか混乱している。
7.いきなり息子が歌手になりたいと言い出したので、私は頭が混乱してしまいました。
8.震災時の混乱に乗じて空き巣を働く不届き者は、厳正に処罰するべきだろう。
9.マイナンバーカードの申請期限を巡り、窓口業務は一時は混乱していたが、現在は落ち着きを見せている。
10.大勢の観客が集まった音楽フェスにおいて、混雑状況が悪化し、混乱が生じている。

この言葉がよく使われる場面としては、物事が入り乱れていたり整理がつかなくなることを意味する時などが挙げられます。

例文2はビジネス上だけではなく目上の方に使うことが出来る表現です。「混乱を差し上げる」のような表現はできないため、「混乱を招く」などの表現で丁寧語と共に使うようにしましょう。

例文3の「混乱必至」の必至とは、必ずそうなり避けられないことを意味する言葉で、混乱と組み合わせることで、必ず混乱するだろうことを意味する言葉になります。また、必死は全力を尽くす意味があるため、「混乱必死」という表現は不適切です。

混迷と混乱どちらを使うか迷った場合は、文語的な表現であったり感情以外を表す場合には「混迷」を、口語的表現であったり感情も表す場合は「混乱」を使うと覚えておけば間違いありません。

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