似た意味を持つ「台頭する」(読み方:たいとうする)と「頭角を現す」(読み方:とうかくをあらわす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「台頭する」と「頭角を現す」という言葉は、どちらも目立つことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「台頭する」と「頭角を現す」の違い
「台頭する」と「頭角を現す」の意味の違い
「台頭する」と「頭角を現す」の違いを分かりやすく言うと、「台頭する」とは勢いを増して目立つこと、「頭角を現す」とは才能や技能があるため際立つことという違いです。
「台頭する」と「頭角を現す」の使い方の違い
一つ目の「台頭する」を使った分かりやすい例としては、「若手演出家が台頭するようになりました」「主力が抜けても若手が台頭するチームは強くなる」「若手が台頭するプロ野球」「次世代が台頭している」などがあります。
二つ目の「頭角を現す」を使った分かりやすい例としては、「めきめきと頭角を現す若手選手」「彼は無名の選手だったのに最近頭角を現してきた」「若くして頭角を現す社員には共通点がある」「彼はこのチームでキャプテンとして頭角を現した」などがあります。
「台頭する」と「頭角を現す」は類語ですが、意味に少し違いがあります。「台頭する」は、勢いを増して目立つことや、勢力がのびて進出するということを意味しています。
もう一方の「頭角を現す」は、才能や技量などが周囲の人よりも一段と優れて際立つことを意味しています。
「台頭する」と「頭角を現す」の英語表記の違い
「台頭する」を英語にすると「rise」「gain power」となり、例えば上記の「次世代が台頭している」を英語にすると「the next generation is rising」となります。
一方、「頭角を現す」を英語にすると「stand out」「distinguish oneself」となり、例えば上記の「彼はこのチームでキャプテンとして頭角を現した」を英語にすると「He stood out as captain in this team」となります。
「台頭する」の意味
「台頭する」とは
「台頭する」とは、勢いを増して目立つことを意味しています。その他にも、上奏文などにおいて、貴人の名やそれに関する語の出てくるとき、敬意を表して普通の行よりも一段高く書くことの意味も持っています。
「台頭する」の使い方
「台頭する」を使った分かりやすい例としては、「若手が台頭する欧州サッカーは観ていて面白い」「弊社は若手が台頭することを歓迎しています」「新企業が台頭してきたので弊社も気が抜けない」「新戦力が台頭することによりレギュラー争いが激化している」などがあります。
「台頭する」は二つの意味を持つ言葉ですが、勢いを増して目立つことや、勢力がのびて進出すること、と覚えておけば問題ないでしょう。
なぜなら、上奏文などにおいて、貴人の名やそれに関する語の出てくるとき、敬意を表して普通の行よりも一段高く書くことの意味は、上奏文は天皇に出す文章のことなので、ほとんど使う機会がないからです。
表現方法は「若手が台頭する」「新勢力が台頭する」「新人が台頭する」
「若手が台頭する」「新勢力が台頭する」「新人が台頭する」「新企業が台頭する」などが、「台頭する」を使った一般的な表現方法になります。
また、よく使われる場面としては、ビジネスシーン、スポーツ界隈、政治界隈、芸能界隈などです。
「台頭する」の由来
「台頭する」の「台頭」は、元々、「擡頭」(読み方:たいとう)という漢字を使っていました。擡頭の「擡」が常用外漢字であるため、代用字として、常用漢字の「台」を用いた擡頭が使われるようになりました。
台頭は文化庁が定める常用漢字表に記載されているため法令や新聞などで使用できますが、擡頭は常用漢字表に記載されていないため法令や新聞などで使用できません。そのため、公的な書類などに記載する際には「台頭」を使う方が良いでしょう。
また、台頭は擡頭と全く同じ意味の言葉であり、どちらの漢字を使っても間違いではないことを覚えておきましょう。使いやすい方の漢字を使って良いものなので、好みに合わせて使い分けることが可能です。
「台頭する」の類語
「台頭する」の類語・類義語としては、 新しい人物や製品などが世間に現れることを意味する「登場」、公の場に新人が初めて登場することを意味する「デビュー」、際立って見えることを意味する「目立つ」、売り上げなどが急に伸びることを意味する「急伸する」などがあります。
「台頭する」の頭の字を使った別の言葉としては、普通の程度を遥かに超えていることを意味する「頭抜ける」(読み方:ずぬける)、物事が限界に達してこれ以上には向上しない状態になることを意味する「頭打ち」などがあります。
「頭角を現す」の意味
「頭角を現す」とは
「頭角を現す」とは、才能や技能があるため際立つことを意味しています。
「頭角を現す」の使い方
「頭角を現す」を使った分かりやすい例としては、「今まで目立っていなかった人が頭角を現してきた」「プロになってすぐ頭角を現す彼に驚いている」「大学時代から頭角を現していた彼はプロに入ってもすぐ活躍した」などがあります。
「頭角を現す」は、才能や技量などが周囲の人よりも一段と優れて際立つことを意味しています。また、「頭角を出す」とは表現しないと覚えておきましょう。
「頭角を現す」は他人と比べて使う言葉なため、競争環境で使うことが多いです。競争環境というと、ビジネスシーン、音楽や絵画などの芸術関係、スポーツ界隈、囲碁将棋などがあります。
「頭角を現す」の由来
「頭角を現す」の由来は、中国の詩人韓愈(読み方:かんゆ)の言葉です。頭角とは頭の先や獣の角ことで、群れの中で頭の先が出て他のものより一際目立つという意味で生まれた言葉になります。それが転じて、才能や技能があるため際立つという意味で使われるようになりました。
「頭角を現す」の類語
「頭角を現す」の類語・類義語としては、一際優れていることを意味する「抜きん出る」、目覚ましい勢いで進出することを意味する「躍進する」、目覚ましく活動することを意味する「活躍する」、大きく発展して活躍することを意味する「飛躍する」などがあります。
「頭角を現す」の現の字を使った別の言葉としては、神仏が姿を変えてこの世に現れることを意味する「現化」(読み方:げんげ)、実際に現れ出ることを意味する「現出」、目の前に現れることを意味する「現前」などがあります。
「台頭する」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勢いを増して目立つことを表現したい時などが挙げられます。
例文2のように、「若手が台頭する」というフレーズはよく使われています。
「頭角を現す」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、才能や技能があるため際立つことを表現したい時などが挙げられます。
「頭角を現す」は、才能や技能があるため際立つことを意味しているため、上記の例文のように、競争環境で使われることが多いです。
「台頭する」と「頭角を現す」どちらを使うか迷った場合は、勢いを増して目立つことを表現したい時は「台頭する」を、才能や技能があるため際立つことを表現したい時は「頭角を現す」を使うと覚えておきましょう。