似た意味を持つ「大学」(読み方:だいがく)と「大学院」(読み方:だいがくいん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「大学」と「大学院」という言葉は、どちらも「高等教育機関」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
大学と大学院の違い
大学と大学院の意味の違い
大学と大学院の違いを分かりやすく言うと、大学院とは大学を卒業した者が入学し、大学よりも高度な研究を極める機関という違いです。
大学と大学院の使い方の違い
一つ目の大学を使った分かりやすい例としては、「日本史上最年少の大学教授が誕生しました」「大学で心理学を専攻しています」「A4の大学ノートを3冊買いました」「家庭教師は大学生に人気のバイトです」などがあります。
二つ目の大学院を使った分かりやすい例としては、「大学院での研究はやりがいがあります」「京都の大学院大学に通っています」「大学の大学院生の比率は2割です」「近所の大学院生に英語を教えてもらっています」などがあります。
大学と大学院の使い分け方
大学と大学院という言葉は、どちらも学術の専門的研究や高等教育を行う機関を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
大学とは、高等教育と研究のための機関を意味します。日本の現行制度では、高等学校の上に位置し、修業年数4年の大学と、2年または3年の短期大学とがあります。専門的な知識や能力の習得を目的とし、修了すれば学士号の学位が取得できます。
大学院とは、大学の学部の上位に置かれ、学術の理論と応用を研究し深奥を究める機関です。大学院では大学よりも高度な研究をします。2年間の修士課程では修士号を、3年間の博士課程では博士号の学位が取得できます。
つまり、大学と大学院の違いには、入学の基準、研究の専門性、取得できる学位などが挙げられます。大学院は大学を卒業した者が入学し、大学よりも高度な研究や学びを極める機関だと言えるでしょう。
大学と大学院の英語表記の違い
大学を英語にすると「university」「college」となり、例えば上記の「大学教授」を英語にすると「a university professor」となります。一方、大学院を英語にすると「graduate school」となり、例えば上記の「大学院での研究」を英語にすると「graduate studies」となります。
大学の意味
大学とは
大学とは、専門の学芸を教授研究することなどを目的とする、高等教育の中核をなす教育機関を意味しています。
その他にも「大学寮の略」「俗に、社会人を対象にした教養講座」の意味も持っています。
大学の使い方
「大学受験で大事な科目は英語です」「大学入学共通テストの日程を確認する」「大学無償化制度について調べています」「大学偏差値ランキングを紹介します」「大学入試センターの電話番号を調べる」などの文中で使われている大学は、「高等教育の中核をなす教育機関」の意味で使われています。
一方、「大学は式部省の管轄下にあった最高教育機関でした」の文中で使われている大学は「大学寮」の意味で、「祖母は週に3回、市民大学に通っています」の文中で使われている大学は「社会人を対象にした教養講座」の意味で使われています。
大学とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「専門の学芸を教授研究することなどを目的とする、高等教育の中核をなす教育機関」の意味で用いられています。大学の「大」は等級や位がこの上なく高いこと、「学」は学ぶところを表す漢字です。
表現方法は「大学寮」
大学を用いた日本語には「大学寮」があります。大学寮とは、日本古代の令制官司の一つです。大学は律令制の最高の学校であり、また官人の養成機関でした。式部省の管轄で、明経・進士・明法の3本科と、算道・書道の2付随学科がありました。
大学の類語
大学の類語・類義語としては、国の行政機関などの付属機関として設けられた学校を意味する「大学校」、大学で専攻する学問の分野によって大別された教育上の組織を意味する「学部」最も程度の高い学問を学ぶ学校を意味する「最高学府」などがあります。
大学院の意味
大学院とは
大学院とは、大学の学部の上または独立に設置される機関を意味しています。
大学院の使い方
大学院を使った分かりやすい例としては、「大学院入試の英語の難易度を教えてください」「大学院の学費は自分で用意するつもりです」「奨学金制度を利用して大学院に進みました」「医学部の大学院は何年通う必要がありますか」などがあります。
その他にも、「社会人向けの大学院コースを設ける」「大学院の昼間課程で学んでいます」「大学院の志望理由書の書き方を先輩に教えてもらう」「大学院は何年で卒業できますか」「理系の大学院のパンフレットを集めいています」などがあります。
大学院とは、大学の課程の上に設けられ,学術の理論と応用を教授または研究し学芸の進展に寄与することを目的とする専門課程です。戦後学校教育法により、修士課程(2年)と博士課程(3年)に分けられています。
表現方法は「法科大学院」
大学院を用いた日本語には「法科大学院」があります。法科大学院とは、もっぱら法曹養成のための教育を行うことを目的とする専門職大学院を意味します。2002年成立の法曹養成関連法により、質量ともに豊かな法曹を確保するため、日本版ロー・スクールとして新設されました。
大学院の類語
大学院の類語・類義語としては、学部をもたない大学院のみの大学を意味する「大学院大学」、大学院など院のつく所で指導や教育を受けている者を意味する「院生」、大学院の修士課程を意味する「マスターコース」、大学院の博士課程を意味する「ドクターコース」などがあります。
大学の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学術の専門的研究および高等教育を行う機関を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「国立大学」とは、国によって設立または運営されている大学を指します。学校法人によって設立および運営されている大学は「私立大学」と言います。
大学院の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大学卒業後に専攻分野の学習と研究を行う機関を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「大学院生」とは、大学院に在籍する学生を意味します。大学院生は、修士や博士などの学位を取得することを目指しながら、専門分野の研究に取り組んでいます。
大学と大学院という言葉は、どちらも「高等教育機関」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、高校卒業後に学術の専門的研究を行う機関を表現したい時は「大学」を、大学卒業後に更に高度な専門的研究を行う機関を表現したい時は「大学院」を使うようにしましょう。