似た発音を持つ「兼ね合い」(読み方:かねあい)と「折り合い」(読み方:おりあい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「兼ね合い」と「折り合い」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「兼ね合い」と「折り合い」の違い
「兼ね合い」と「折り合い」の意味の違い
「兼ね合い」と「折り合い」の違いを分かりやすく言うと、「兼ね合い」とは二つのものが上手く釣り合いを保つこと、「折り合い」とはお互いが譲り合って解決することという違いです。
「兼ね合い」と「折り合い」の使い方の違い
一つ目の「兼ね合い」を使った分かりやすい例としては、「スケジュールの兼ね合いにより放送が延期になりました」「仕事と育児の兼ね合いを取るのは難しい」「品質とコストの兼ね合いを図りながら製品を作っている」「仕事と家庭の兼ね合いを見る」などがあります。
二つ目の「折り合い」を使った分かりやすい例としては、「自分の気持ちに折り合いをつける」「条件面での折り合いがつかないので今回は見送らさせていただきます」「同居している姑と折り合いが悪い」などがあります。
「兼ね合い」と「折り合い」は似た発音を持つ日本語ですが、意味は異なっています。
「兼ね合い」は、二つのものが上手く釣り合いを保つことなので、お互いが納得できる形を指しています。もう一方の「折り合い」は、お互いが譲り合って解決することなので、お互いが妥協して止むを得ずの形を指しています。
また、「折り合い」には、人間関係のことという意味があるのも違いの一つです。
「兼ね合い」と「折り合い」の英語表記の違い
「兼ね合い」を英語にすると「balance」となり、例えば上記の「仕事と家庭の兼ね合いを見る」を英語にすると「find a good balance between work and fun family」となります。
一方、「折り合い」を英語にすると「come to terms」となり、例えば上記の「自分の気持ちに折り合いをつける」を英語にすると「I’ll try to come to terms with reality」となります。
「兼ね合い」の意味
「兼ね合い」とは
「兼ね合い」とは、二つのものが上手く釣り合いを保つことを意味しています。
「兼ね合い」の使い方
「兼ね合い」を使った分かりやすい例としては、「この計画は予算との兼ね合いが難しい」「先方との兼ね合いにより打ち合わせの日程が変更になりました」「双方の兼ね合いを見て決定したいと思います」「忙しくて仕事と家庭の兼ね合いが取れない」などがあります。
「兼ね合い」は、二つのものが上手く釣り合いを保つことなので、お互いが納得できる形を目指す場合に使うことが多い言葉です。特に、ビジネスシーンにおいてよく使われています。
表現方法は「兼ね合いが難しい」「兼ね合いを考える」「兼ね合いにより」
「兼ね合いが難しい」「兼ね合いを考える」「兼ね合いにより」「兼ね合いを取る」「兼ね合いが取れない」「兼ね合いを図る」「兼ね合いが悪い」「兼ね合いがある」「兼ね合いがございます」などが、「兼ね合い」を使った一般的な表現方法になります。
「兼ね合い」の類語
「兼ね合い」の類語・類義語としては、釣り合うことを意味する「釣り合い」、二つ以上の物事の間で力や重さなどの釣り合いが取れいることを意味する「均衡」、ほどよく釣り合うことを意味する「平均」、調和が取れていることを意味する「バランス」などがあります。
「兼ね合い」の兼の字を使った別の言葉としては、本業の他に違う仕事も兼ね行うことを意味する「兼業」、本来の役目以外に他の役目をも兼ね勤めること「兼勤」、一つのものを二つ以上の用途に使うことを意味する「兼用」などがあります。
「折り合い」の意味
「折り合い」とは
「折り合い」とは、お互いが譲り合って解決することを意味しています。その他にも、人間関係のことという意味も持っています。
「折り合い」の使い方
「金銭面で折り合いがつかず移籍は成立しなかった」「取引先との交渉は大筋での折り合いがついた」などの文中で使われている「折り合い」は、「お互いが譲り合って解決すること」の意味で使われています。
一方、「職場の同僚と折り合いが悪いので辛い」「妻の親族と折り合いが合わない」などの文中で使われている「折り合い」は、「人間関係のこと」の意味で使われています。
「折り合い」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。
一つ目の意味は、お互いが譲り合って解決することなので、お互いが妥協して止むを得ずその形になったことを意味しています。また、片方だけが妥協するのではなく、「お互い」に妥協するという部分が重要になります。
二つ目の意味は、人間関係を表現したい時に使います。また、人間関係があまりよくない場合に使うのが一般的です。
表現方法は「折り合いがつく」「折り合いをつける」「折り合いが悪い」
「折り合いがつく」「折り合いがつかず」「折り合いをつける」「折り合いが悪い」などが、「折り合い」を使った一般的な表現方法になります。
「折り合い」を使った有名な言葉としては、「気持ちに折り合いをつける」があります。気持ちに折り合いをつけるとは、気持ちを整理するという意味です。
「折り合い」の類語
「折り合い」の類語・類義語としては、双方が譲り合って穏やかに解決することを意味する「妥協」、いくつかの異なった考え方の良い所を一つにまとめ上げることを意味する「折衷」、自分の意見や主張を押さえて相手の意向に従うことを意味する「譲歩」などがあります。
「折り合い」の合の字を使った別の言葉としては、請け合うことを意味する「請け合い」、物を争って取り合うことを意味する「奪い合い」、互いに相手の気持ちなどを知ろうとすることを意味する「探り合い」、互いに相手を知っていることを意味する「知り合い」などがあります。
「兼ね合い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、二つのものが上手く釣り合いを保つことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、ビジネスシーンにおいて使われることが多い言葉です。また、兼ね合いという言葉を使う場合は、二つもしくは、二つ以上のものが上手く釣り合いを保っている場合に使うと覚えておきましょう。
「折り合い」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、お互いが譲り合って解決することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、人間関係のことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は、互いが譲り合って解決することの意味で使っており、例文4と例文5は、人間関係のことの意味で使っています。
「兼ね合い」と「折り合い」は発音が似ている言葉ですが、意味は違うので注意してください。「兼ね合い」は二つのものが上手く釣り合いを保つことの意味で使い、「折り合い」は、お互いが譲り合って解決することの意味で使うと覚えておきましょう。