似た意味を持つ「体系化」(読み方:たいけいか)と「構造化」(読み方:こうぞうか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「体系化」と「構造化」という言葉は、どちらも物事の捉え方を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
体系化と構造化の違い
体系化と構造化の意味の違い
体系化と構造化の違いを分かりやすく言うと、体系化とは個別のものをまとめること、構造化とは物事を分解して整理することという違いです。
体系化と構造化の使い方の違い
一つ目の体系化を使った分かりやすい例としては、「科学知識を体系化し学問として後世に伝える」「業務を体系化して資料にまとめる」「ノウハウを体系化するよう指示された」「体系化が難しいテーマだ」などがあります。
二つ目の構造化を使った分かりやすい例としては、「プログラムの構造化設計に関する論文を発表する」「問題を構造化して優先順位をつける」「事象を構造化して関係性を説明する」「情報を構造化して分かりやすく伝える」などがあります。
体系化と構造化の使い分け方
体系化と構造化という言葉は、どちらもビジネスシーンで使われ、似た表現をする言葉ですが、意味は異なるので注意が必要です。体系化は、個々にあるものをテーマに則して一つにまとめることを意味します。構造化は、物事を構成要素ごとに分解することにより全体を整理して捉えることを意味します。
上記の例の「業務を体系化する」とは、各部署や個人で行われているそれぞれの業務を、一連の作業としてまとめて捉えることです。一方、「問題を構造化する」とは、ひとつの問題を細分化し、問題要素ごとに整理して捉えることです。
つまり、体系化は個別のものをまとめること、構造化は物事を分解して整理することであり、全く異なる物事の捉え方なのです。
体系化と構造化の英語表記の違い
体系化を英語にすると「systematization」「codification」「organization」となり、例えば上記の「科学知識を体系化する」を英語にすると「systematize scientific knowledge」となります。
一方、構造化を英語にすると「structuralization」「structuring」となり、例えば上記の「プログラムの構造化設計」を英語にすると「structured design of programs」となります。
体系化の意味
体系化とは
体系化とは、個別の認識を一定の原理に従って関連付けたうえで、全体としてまとまりを持ったものに仕上げることを意味しています。
表現方法は「体系化する」「体系化された知識」「業務の体系化」
「体系化する」「体系化された知識」「業務の体系化」などが、体系化を使った一般的な言い回しです。
体系化の使い方
体系化を使った分かりやすい例としては、「情報を体系化する方法を学ぶ」「仕事のノウハウを体系化するために業務を整理する」「顧客の課題を体系化して捉える」「情報を体系化して活用する」などがあります。
その他にも、「知識を体系化することは容易ではない」「体系化が出来ないので具体例を並べる」「研究結果を体系化して説明して下さい」「キャリア教育の体系化が進んでいない」「言語概念の体系化を行いました」などがあります。
体系化の語源
体系化という言葉の体系とは、個々別々の認識を一定の原理に従って論理的に組織した知識の全体を意味します。体系化は、この体系に、そのような物や状態に変えるという意味を持つ接尾辞の「化」が組み合わさり、個別のものを筋道に従って関連付けてまとまめることを意味します。
体系を用いた日本語には「開放体系」があります。経済学用語であり、商品の輸出入や資本・労働の移動のような外国との取引を考慮して一国の経済を分析し、理論を構成していくことを意味します。このように、体系という言葉は、個別の事象から理論を導き出す時に使われています。
体系化の類語
体系化の類語・類義語としては、個々のものを集めて組織的なまとまりとすることを意味する「編成」、まとまりのない個々のものを一つの組織にまとめることを意味する「組織化」、各部分が統一的に組織されて一つの全体を形づくっている状態を意味する「体制」などがあります。
体系化の体の字を使った別の言葉としては、あるひとまとまりの物事のすべての部分を意味する「全体」、ある目的のために人々が集まって一つのまとまりとなったものを意味する「団体」、物事を構成するうえで中心となっているものを意味する「主体」などがあります。
構造化の意味
構造化とは
構造化とは、物事を構成要素ごとに分解し、構成要素間の関係を分かりやすく整理することを意味しています。
表現方法は「情報の構造化」「問題の構造化」「知の構造化」
「情報の構造化」「問題の構造化」「知の構造化」などが、構造化を使った一般的な言い回しです。
構造化の使い方
構造化を使った分かりやすい例としては、「構造化面接で採用ミスを防ぐ」「構造化設計の資料を作成している」「構造化参照を使った数式を利用する」「構造化照明顕微鏡で観察することにした」などがあります。
その他にも、「情報を分かりやすく構造化する」「課題を構造化して検証する」「構造化プログラミングの講義を受けた」「構造化インタビューの手法を採用した」「構造化された環境の中で働く」などがあります。
構造化という言葉の構造とは、一つのものを作り上げている材料の組み合わせ方や、物事を成り立たせている各要素の機能的な関連を意味します。よって、構造化とは、物事を構成要素ごとに分解し、構成要素間の関係を分かりやすく整理することを表します。
「構造化面接」の意味
構造化を用いた日本語には「構造化面接」があります。これは面接手法のひとつであり、あらかじめ評価基準と質問項目を決めてマニュアルに沿って画一的な面接を実施することです。面接官による評価のバラつきを起こさないことがメリットであり、公平な面接方法として注目されています。
構造化の類語
構造化の類語・類義語としては、事物をその種類・性質・系統などに従って分けることを意味する「分類」、ある集合をいくつかの同値なものどうしの集合に分けることを意味する「類別」、いくつかの要素を一つのまとまりのあるものに組み立てたものを意味する「構成」などがあります。
構造化の構の字を使った別の言葉としては、組み立てて築くことを意味する「構築」、これからしようとする物事について骨組みをまとめることを意味する「構想」、事実ではないことを事実らしくつくり上げることを意味する「虚構」などがあります。
体系化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、個別の認識を一定の原理に従って関連付けたうえで、全体としてまとまりを持ったものに仕上げることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にあるように、学問は一定の理論に基づいて体系化された知識と方法であり、 哲学や言語学などの人文科学、政治学や法学などの社会科学、物理学や天文学などの自然科学などがあります。
構造化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を構成要素ごとに分解し、構成要素間の関係を分かりやすく整理することを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「構造化プログラミング」とは、コンピュータプログラム整理された構造の組み合わせによって構成することを意味します。例文3にある「構造化データ」とは、HTMLで書かれた情報が何を意味するのかを検索エンジンが理解できるようタグ付けしたものです。
体系化と構造化という言葉は、どちらも物事の捉え方を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、個別のものをまとめあげることを表現したい時は「体系化」を、物事を分解して整理することを表現したい時は「構造化」を使うようにしましょう。