【垂涎】と【流涎】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「垂涎」(読み方:すいぜん)と「流涎」(読み方:りゅうぜん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「垂涎」と「流涎」という言葉は、どちらも食欲を催して涎を出すことや、ある物をどうしても欲しいと思う気持ちを表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




垂涎と流涎の違い

垂涎と流涎の意味の違い

垂涎と流涎の違いを分かりやすく言うと、垂涎とは食べ物が食べたくて涎を垂らすことや、ある物を手に入れたいと熱望することを意味していて、流涎は食欲を催して涎を流すことや、他人の物を羨ましがって欲しがることを意味しているという違いです。

垂涎と流涎の使い分け方

垂涎と流涎は、ほとんど同じ意味を持つ言葉であり、どちらの言葉を使っても同じである場合が多いものです。どうしても使い分けが必要である場合以外には、どちらを使っても良いものであると覚えておくようにしましょう。

垂涎とは慣用読みで「すいえん」とも読まれるものです。「垂涎の的」などの表現で使用されることが多く、これは喉から手が出るほどに欲しいという意味を含む言葉です。垂涎とは、本来は文字通り食べ物が食べたくて涎を垂らすという意味の言葉でした。

そこから転じて、ある物を手に入れたいと熱望すること、涎を垂らしてしまいそうなほどに欲しいと思うことを意味するようになりました。すぐに手に入るような物に対しては使わず、稀少で手に入りにくい物に対して使われる表現です。

対する流涎というのは、垂涎と同じように、空腹から食欲を催して涎を流すことを意味したり、物を欲しがる様子を意味する言葉です。垂涎と違うのは、流涎という表現を使った場合、他人の物を羨ましがって欲しがるという意味が含まれるということです。

垂涎が稀少なものを欲しいと願うのに対し、流涎は他人の持っているものが良いものに見えて、それを羨ましがって欲しがることを意味しています。その物の稀少性については問わないものであると考えるようにしましょう。

しかし、前述した通り、一般的には垂涎と流涎はほとんど同じ意味合いであると認識されているものです。どちらの言葉を使ってもあまり違いはなく、好きな方の表現を使って良いものであると覚えておくようにしましょう。

垂涎の意味

垂涎とは

垂涎とは、何かの食べ物が食べたくて涎を垂らすほどであることや、ある物を手に入れたいと熱望することを意味しています。

垂涎の読み方

垂涎の読み方は一般的には「すいぜん」ですが、慣用読みでは「すいえん」とも読まれるもので、病気の症状などを表す際には、こちらの慣用読みがされるのが一般的です。

表現方法は「垂涎の品」「垂涎の一品」「垂涎の眼差し」

「垂涎の品」「垂涎の一品」「垂涎の眼差し」などが、垂涎を使った一般的な言い回しです。

垂涎の使い方

垂涎とは、お腹が空いている状態で美味しそうなものを見た時などに使われたり、どうしても欲しいものがある際に、欲しい気持ちを比喩的に表現するためなどに使われる言葉です。「グルメ番組を見て、垂涎の心持ちである」などと使用したりします。

垂涎の「涎」という字は、常用漢字表外の漢字です。公的な書類などに記載する際には、「垂ぜん」などとひらがなで表記するのが良いでしょう。

「垂涎の的」の意味

また「垂涎の的」などの表現で使われることも多く、これは人気があり、多くの人が手に入れたいと熱望している物を表現する言葉です。「あのグッズはアーティストのサインが入っていて、ファンの間では垂涎の的となっている」などのように使用します。

垂涎というのは、漢字の通り、涎を垂らすほどであることを表現している言葉です。純粋に食べ物を欲していることを表現することもあれば、比喩的に、涎が出るほどに欲しいと思う物を表現する場合もあるのだと覚えておくようにしましょう。

垂涎の類語

垂涎の「垂」という字を使った別の単語としては、まっすぐに垂れ下がることを意味している「垂直」、教訓を後世の人々に残すことを意味する「垂訓」、自ら模範を示し、他の手本となることを意味する「垂範」などがあります。

流涎の意味

流涎とは

流涎とは、食欲を催して涎を流すことや、人の持っているものなどを羨ましがって欲しがることを意味しています。

流涎の読み方

流涎の正しい読み方は「りゅうぜん」ですが、場合によっては「りゅうせん」と読まれることもあります。垂涎とほとんど同じ意味を持つ言葉です。

流涎の使い方

流涎とは、お腹が空いている状態で、食べ物を欲して涎を流すことや、誰かの持っているものなどを羨ましいと感じて、欲しがることなどを意味しています。流涎には、垂涎と違って物事を羨ましがるという気持ちが含まれています。

流涎と垂涎の意味に、ほとんど違いはありませんが、垂涎が稀少な物を欲しいと熱望するのに対し、流涎は羨ましがって欲しがるという意味を持ちます。食欲を催して食べたいと願うという意味は一緒です。

また、流涎という言葉を使って物事を羨ましがる場合には、本人はその物を得るための努力をしないものだと考えるようにしましょう。ただ羨ましがって見つめるのが流涎であると考えると分かりやすいです。

指をくわえて、いいなぁ、欲しいなぁ、とただ思っている状態が流涎です。涎を流したままにしておくようなイメージで覚えておくとその意味が分かりやすくなります。使い方としては、垂涎とほとんど同じであると考えて間違いありません。

流涎の類語

流涎の「流」という字を使った別の単語としては、風や潮のままに海上をただよい流れることを意味する「漂流」、根も葉もない噂を言いふらすことを意味する「流言」、淀みがなく美しいことを意味する「流麗」などがあります。

垂涎の例文

1.ショーケースには宝石好きの私にとって垂涎の品が並べられている。
2.ダイエット中に見るグルメ番組ほど、垂涎の思いに浸れるものはない。
3.彼女の持っている限定グッズは、ファンにとっては垂涎の的の代物だ。
4.彼の出るコンサートチケットは、すぐに完売してしまい、私はいつも垂涎の思いを味わうのだ。
5.祖父は無類のチョコレート好きだが、祖父が幼いころは、チョコレートというのは垂涎の的だったそうだ。
6.オークションの目玉は古代エジプトの王の装飾品で、コレクターにとってまさに垂涎の一品だった。
7.子供の時は裕福ではなかったので、来客用の残りのお寿司が下げられていくのを、垂涎の思いで眺めていました。
8.我々は急いで消火にあたったが、残念ながら垂涎ものの古文書を、すべて消失してしまったのだ。
9.我々は決勝トーナメントに進出するチームたちの活躍を、垂涎の眼差しでみているしかなかった。
10.私はお金がなくただ垂涎の思いを味わっていただけだが、今日ついにその品を手に入れることができるのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、何か食べ物が欲しくて涎を垂らすほどであることや、ある特定の物を手に入れたいと熱望することなどを表現したい時などが挙げられます。垂涎は慣用読みでは「すいえん」と読まれることもあります。

病気の名称などとして使われる場合には、「すいぜん」ではなく「すいえん」という読まれ方をするのが一般的です。しかし「垂涎の的」などのようにして使用される場合には「すいぜん」と読みます。

垂涎というのは、喉から手が出るほどに欲しいこと、涎が出るほどに欲しいと思うことを意味しています。いつでも手に入るような品物や、日用品などについて表現する場合には使わない言葉なので注意をするようにしましょう。

流涎の例文

1.彼女の持っているものを、私はずっと流涎の気持ちで見つめている。
2.あまりにも空腹で、流涎を催すとはこのことかと実感する。
3.他人の持ち物に対して、あんまり流涎の姿勢を見せるものではないよ。
4.子供のころは、他の友達の持っている物がとても良いものに見えて、流涎の思いを味わったものだ。
5.流涎と垂涎は、ほとんど同じ意味を持つ言葉らしいよ。
6.小5の時に仲良くなった友人の家には私の家では絶対買ってもらえない高価なおもちゃがたくさんあって、お金持ちでいいなあと流涎の思いで見ていた。
7.中学高校と全寮制の男子校だった頃は、彼女と手を繋いで歩いている同級生を流涎の思いで眺めていた。
8.うちにはゲーム機がなくずっと流涎の思いを味わい続けていたものだから、今でもゲーム機に対する思いは強くあります。
9.ここには鉄道オタクにとって流涎の品々が並べられているが、私にはガラクタにしか見えません。
10.物置の”ガラクタ”は、マニアにとっては流涎もののコレクションだったらしく、鑑定士から1000万円の価値があると言われた。

この言葉がよく使われる場面としては、食欲を催して涎を流すことや、人の持ち物などを羨ましがって欲しがることを表現したい時などが挙げられます。垂涎とほとんど同じ意味を持つ言葉ですが、他者を羨ましがるという意味合いが含まれる言葉です。

流涎とは、他者の持ち物を羨ましく思い、自分も同じものが欲しいと望む気持ちを表現する言葉です。他者の物を過度に羨ましがるというのは、少々品性に欠ける表現でもあるので、他者に対して使う際には注意をするようにしましょう。

言葉の使い方の例文
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