似た意味を持つ「予防」(読み方:よぼう)と「防止」(読み方:ぼうし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「予防」と「防止」という言葉は、どちらも悪い事態になることを防ぐことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
予防と防止の違い
予防と防止の意味の違い
予防と防止の違いを分かりやすく言うと、予防とは前もって防ぐことを意味し、防止とは防ぎ止めることを意味するという違いです。
予防と防止の使い方の違い
一つ目の予防を使った分かりやすい例としては、「病気の予防は治療に勝るという」「感染症予防のためにも免疫力を高めておきたい」「風邪の予防に葛湯を飲んでいます」「予防接種のスケジュールを確認する」などがあります。
二つ目の防止を使った分かりやすい例としては、「感染症拡大防止策を徹底して下さい」「水難事故を防止するルール作り」「警察官が非行防止教室を行った」「高度成長期に大気汚染防止法が制定された」「不具合を未然防止したい」などがあります。
予防と防止の使い分け方
予防と防止という言葉は、どちらも好ましくない状態にならないようにすることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
予防とは、前もって手段を講じ、好ましくない事態を防ぐことを意味します。気をつけることや、用心することのニュアンスがあり、この言葉は、「病気の予防」「感染症予防」「予防接種」など特に医療分野でよく使われています。
一方、防止とは、好ましくない事態が起きないように、あるいは事がひろがらないように、防ぎ止めることを意味します。「非行防止」「汚染防止」「再発防止」のように、社会的または組織的な問題に対して使われることが多い言葉です。
予防と防止の英語表記の違い
予防も防止も英語にすると「prevention」「protection」となり、例えば上記の「病気の予防」を英語にすると「disease prevention」となります。
予防の意味
予防とは
予防とは、悪い事態の起こらないように前もって防ぐことを意味しています。
表現方法は「予防をする」「予防を図る」「予防を徹底する」
「予防をする」「予防を図る」「予防を徹底する」などが、予防を使った一般的な言い回しです。
予防の使い方
予防を使った分かりやすい例としては、「インフルエンザの予防接種を予約する」「夫は抜け毛を予防する薬を使っている」「予防医学協会は全国各地にあります」「緊急事態宣言発令の前段階として予防的措置を新設する」などがあります。
その他にも、「予防技術検定の過去問を探しています」「春の火災予防運動の期間です」「高齢化社会においては予防医学の重要である」「認知症を予防する生活を実践してみる」「責められないように予防線を張る」などがあります。
予防という言葉の「予」は訓読みで「あらかじめ」と読み、前々から、前もっての意味を持ちます。予防とは、悪い事態が起こらないように前もって防ぐことであり、特に医療の分野で多く使われる言葉です。
「予防医学」の意味
予防という言葉を用いた日本語には「予防医学」があり、健康を損ねる因子を防ぎ、取り除くことを目的とした医学を意味します。具体的には予防接種、保健指導などの医療行為などを指します。対する「治療医学」は、病気や怪我を直すための医学を意味します。
予防の対義語
予防の対義語・反対語としては、ある事柄や状況に合わせて適当な処置をとることを意味する「対処」、病気やけがを治すことを意味する「治療」などがあります。
予防の類語
予防の類語・類義語としては、自分の力で自分を守ることを意味する「自衛」、妨げることや食い止めることを意味する「阻止」、対策をたてて予防し災害を取り除くことや農作物の病害虫害を防ぎ除くことを意味する「防除」などがあります。
防止の意味
防止とは
防止とは、防ぎ止めることを意味しています。
防止の使い方
防止を使った分かりやすい例としては、「青少年の非行防止に取り組む」「お店に万引き防止ポスターが貼られている」「不祥事に対して再発防止策を講じる」「政府は感染症の拡大防止対策に本腰を入れる」などがあります。
その他にも、「追突防止装置が付いている車です」「危険防止のため作動中は機械に触れないでください」「転落防止のための柵を取り付けました」「ヒューマンエラーを防止対策を考える」「製造現場での事故を未然に防止したい」などがあります。
防止という言葉は、文字通り「防ぎ止めること」であり、悪い事態にならないように物事を抑えたり、物事が起きないようにすることを表します。
表現方法は「非行防止」「再発防止」「追突防止」
「非行防止」「再発防止」「追突防止」など、名詞と結びついて表現されることが多い言葉です。
「公害防止管理者」の意味
防止という言葉を用いた日本語には「公害防止管理者」があり、公害が発生する可能性のある工場や施設などに常駐して、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動などの検査を行い、公害を防止する役割を果たします。「特定工場」に指定された工場では、必ず公害防止管理者を選任しなければなりません。
防止の対義語
防止の対義語・反対語としては、物を前へおし進めることを意味する「推進」、物事がはやく捗るように促すことを意味する「促進」、力を添えてある傾向をより著しくさせることを意味する「助長」などがあります。
防止の類語
防止の類語・類義語としては、好ましくない事態が生じないようにすることを意味する「防ぐ」、物事がそれ以上進まないように防ぎ止めることを意味する「食い止める」、防ぎとめることや食い止めることを意味する「支える」などがあります。
予防の例文
この言葉がよく使われる場面としては、好ましくないことが起こらないように前もって防ぐことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にあるように、予防という言葉は医療に関して使われることが多い言葉です。例文4にある「予防外交」とは、戦争や武力衝突が発生する前に、紛争のおそれのある国同士を仲介することによって紛争の発生や拡大を防ぐことです。
防止の例文
この言葉がよく使われる場面としては、悪い事態を防ぎ止めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「感染症拡大防止対策」とは、すでに発生している感染症が拡がらない目的で講じる対策のことです。例文3にある「再発防止」とは、同じトラブルが二度と発生しないよう、プロセスや仕事の仕組みにおける原因を調査して取り除き、改善や対策を行うことです。
予防と防止という言葉は、どちらも悪い事態になることを防ぐことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、前もって防ぐことを表現をしたい時は「予防」を、防ぎとめることを表現をしたい時は「防止」を使うようにしましょう。