【指す】と【差す】と【挿す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「さす」という読み方の「指す」と「差す」と「挿す」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「指す」と「差す」と「挿す」という言葉は同音の言葉ですが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。




「指す」と「差す」と「挿す」の違い

「指す」と「差す」と「挿す」の意味の違い

「指す」と「差す」と「挿す」の違いを分かりやすく言うと、「指す」は物や場所を示すことを表す時に使い、「差す」はある気分が生じることを表す時に使い、「挿す」は他のものの中に突き入れることを表す時に使うという違いです。

「指す」と「差す」と「挿す」の使い方の違い

「指す」という言葉は、「屋台を指して食べたいものを伝えた」「国語のテストで傍線が指す言葉がわからなかった」などの使い方で、場所や方向を示すことや、人や物を決めて示すことを意味します。

「差す」という言葉は、「朝日が差すと眩しくて目が覚める」「眠気が差してうつらうつらしてしまう」などの使い方で、光が当たることや、ある感情や気分が生じることを意味します。

「挿す」という言葉は、「電源を挿して充電する」「貰った花を花瓶に挿しておく」などの使い方で、細長いものを他の物の中に突き入れることを意味します。

「指す」と「差す」と「挿す」の使い分け方

「電源プラグをさす」という言葉において、「差す」と「挿す」どちらも使われていますが、「電源プラグを挿す」という表記がより適切です。

「差す」には、物の中や隙間に他の物を挟んだりする意味がありますが、「挿す」には他の物の中に突き入れることを意味します。そのため、後者はプラグを押し込むイメージですが、前者はプラグの上に何かを被せるといったイメージになります。

一方、「指す」という言葉は、対象を指し示すことや定めること、将棋をすることを意味するため、「差す」や「挿す」との互換性はあまりありません。

これらが、「指す」「差す」「挿す」の明確な違いです。

「指す」の意味

「指す」とは

「指す」とは、物や場所、方向を示すことを意味しています。

表現方法は「指を指す」「物事を指す」「人を指差す」

「指を指す」「物事を指す」「人を指差す」などが、指すを使った一般的な言い回しです。

「指す」を使った言葉として、「図星を指す」「掌を指す」があります。

「図星を指す」の意味

一つ目の「図星を指す」とは、物事を推察してぴたりと言い当てることを意味する慣用表現です。

図星の語源は、矢の的の中心に描かれている黒い点です。その部分を狙って弓を射ることから、急所の意味を持ち、「図星を指す」のように思惑や指摘などが当たることを意味する時にも使われるようになりました。

「掌を指す」の意味

二つ目の「掌を指す」(読み方:たなごころをさす)とは、物事が極めて明白で疑問の余地がないことを例えた慣用句です。手のひらにあるものを示すように事実がはっきりしていることが由来となった言葉です。

「指す」の類語

「指す」の類語・類義語としては、相手によくわかるように出して見せたり、自分で何かをしてみせることを意味する「示す」があります。

「差す」の意味

「差す」とは

「差す」とは、光が当たることや、水が増すことを意味しています。

表現方法は「日が差す」「光が差す」「傘を差す」

「日が差す」「光が差す」「傘を差す」などが、差すを使った一般的な言い回しです。

「差す」を使った言葉として、「差しつ差されつ」「噂をすれば影が差す」があります。

「差しつ差されつ」の意味

一つ目の「差しつ差されつ」とは、酒を注いだり注がれたりしながら親しく酒を飲む様子を意味する慣用表現です。

似たような表現に「差しつ押さえつ」がありますが、これも他人に酒を注いだり他人から酒を注がれるのを押しとどめたりして盛んにお酒のやり取りをすることを意味する言葉です。

「噂をすれば影が差す」の意味

二つ目の「噂をすれば影が差す」とは、噂をしているとその噂の当人がその場に現れることを意味することわざです。「噂をすれば影」という略もありますが、日常会話においては「噂をすれば」のみが使われていることが多い言葉です。

「差す」の対義語

「差す」の対義語・反対語としては、向こうへ離れることや遠くへ去ることを意味する「引く」があります。

「差す」の類語

「差す」の類語・類義語としては、きらきら光り輝くことを意味する「煌めく」、容器などに液体を流しいれることを意味する「注ぐ」(読み方:そそぐ)、光や熱、風などを受けることを意味する「当たる」などがあります。

「挿す」の意味

「挿す」とは

「挿す」とは、細長いものを他の物の中に突き入れることを意味しています。

表現方法は「コンセントを挿す」「鍵を挿す」「花を挿す」

「コンセントを挿す」「鍵を挿す」「花を挿す」などが、挿すを使った一般的な言い回しです。

「挿し木」の意味

「挿す」を使った言葉として、「挿し木」があります。これは、植物の枝や茎の一部を切り取って地中に挿し込むことで、根を出させ新しい株を増やす技術です。サツマイモやパイナップル、バナナは挿し木によって繁殖し栽培されています。

このように、「挿す」という言葉は、何か他の物に突き入れることを意味します。それは土の中だけではなく、「髪にかんざしを挿す」「スマートフォンに充電ケーブルを挿す」「車の鍵を挿す」など様々なものに使うことができます。

また、「植物を挿す」のように使うことで、「挿す」という言葉だけで挿し木をすることも意味します。

「挿す」の対義語

「挿す」の対義語・反対語としては、中に入っているものや挟まっているものを引っ張って取ることを意味する「抜く」があります。

「挿す」の類語

「挿す」の類語・類義語としては、あるものを全体の一部としてその中に入れることを意味する「組み込む」、位置を決めて植物を植えて根付くようにすることを意味する「植え付ける」、物と物との間に入れることを意味する「挟む」などがあります。

「指す」の例文

1.時計の針が9時を指す頃までには帰れるよう願っている。
2.赤ちゃんが指した方向には何もなかったが、その子はキャッキャ笑っていた。
3.現時点で計画が失敗するのは掌を指すように明らかである。
4.人を指指すのは良くないと教えたら、どうしてダメなの?と娘に聞かれ、確かにどうしてなのか直ぐには答えられなかった。
5.山を散策している途中で道に迷ってしまったが、幸い方位磁針を持っていたため、針が指す方向へ向かってとりあえず歩いてみることにした。
6.平穏に包まれた午後も、時計の針が三時を指すと終了するのは、子どもたちが一斉におやつ、おやつといい始めるので、一気に騒がしくなるためだ。
7.プレゼンテーションで上司から予算をオーバーしていることを厳しく指摘をされていたが、どうやら図星を指されていたようで、同僚は目が泳いでいたよ。

この言葉がよく使われる場面としては、物や場所、方向を示すことを意味する時などが挙げられます。

例文3の「掌を指す」とは、物事が極めて明白で、正確なことを例えた慣用句です。

「差す」の例文

1.サプライズのためとは言え、彼女に嘘を吐いてしまったので気が差す。
2.しばらく同じようなデータ整理の仕事をしていてそろそろ嫌気が差してきた。
3.友人は魔が差したのか、自身の恋人ではない女性と手を繋いで歩いていた。
4.以前は遮光カーテンをして寝ていたが、普通のカーテンに変えてから朝差し込む日の光で自然と目が覚めるようになった。
5.今日は嵐のような天気で、家でずっと本を読みふけっていたのだが、急に眩しいと思って窓を見たら日が差しているのがわかり、それで嵐が去ったことがわかったのだった。
6.評論家は、日本社会の各所にある同調圧力に対抗するには、同調圧力が小さいうちからどんどん水を差すことをいうのが大事だと力説していた。
7.彼はもともとエリート街道まっしぐらのサラリーマンであったが、社内政治に嫌気が差し、会社を辞めてしまってからは起業して今に至っている。

この言葉がよく使われる場面としては、光が当たることや何らかの気分が生じることを意味する時などが挙げられます。

例文1の「気が差す」とは、後ろめたい気持ちがすることを意味する慣用表現です。

例文2の「嫌気が差す」とは、嫌だと思う気持ちになることを意味する慣用表現です。

例文3の「魔が差す」とは、心の中に悪魔が入ったかのように、思いもよらない判断や行動を一瞬行なってしまうことを意味する慣用表現です。

「挿す」の例文

1.音楽が聴こえないと思ったらイヤホンを挿し込んでいなかったことに気が付いた。
2.家の鍵を挿したと思っていたが、開かないため見直したら違う鍵を挿していた。
3.コードを挿すだけでインターネットがつながるなんて便利な時代だ。
4.祖母から貰ったかんざしを挿して成人式の写真を撮った。
5.家に帰ってドアの鍵を挿して回そうとするとすでに鍵が開いていることがわかり、おかしいと思いつつドアを開けて入ってみると、部屋中があたり一面荒らされていたのだ。
6.自分で作った花瓶が花を挿すといまいちしっくりこなかったので、陶芸の先生に相談すると、挿された花をより良く見せるために作らなければならないと言われてとても納得した。
7.生花を挿すなんてわたしには縁のないことだと思ってみたが、たまたま知り合いに誘われたカルチャー講座がきっかけで、今では生花をすることが毎日の習慣となっている。

この言葉がよく使われる場面としては、細長いものを他の物に突き入れることを意味する時などが挙げられます。

基本的に「挿す」を使う例文ですが、「差す」に置き換えて使うこともできます。しかし「指す」という言葉を使うことはできません。

「指す」と「差す」と「挿す」どれを使うか迷った場合は、物や場所を示すことを表す場合は「指す」を、ある気分が生じることを表す場合は「差す」を、他のものの中に突き入れることを表す場合は「挿す」を使うと覚えておけば間違いありません。

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