似た意味を持つ「俗称」(読み方:ぞくしょう)と「通称」(読み方:つうしょう)と「愛称」(読み方:あいしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「俗称」と「通称」と「愛称」という言葉は、呼び名や名称という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
俗称と通称と愛称の違い
俗称と通称と愛称の意味の違い
俗称と通称と愛称の違いを分かりやすく言うと、俗称は人以外の呼び名を表現する時に使い、通称は人や事物の呼び名を表現する時に使い、愛称は親しみを込めたあだ名を表現する時に使うという違いです。
俗称と通称と愛称の使い方の違い
俗称という言葉は、「俗称メタボは現代における習慣病として定着してきた」「どんな業界にも俗称は存在する」などの使い方で、世間で通っているものの正式ではない呼び名を意味します。
通称という言葉は、「学生でも通称名を学校に登録することができる」「通称で呼ぶ方がその施設の特徴が分かりやすい」などの使い方で、正式ではないが世間一般で呼ばれている名称を意味します。
愛称という言葉は、「彼はクラスメイト皆に愛称で呼ばれている」「その施設は地域の人たちに愛称を付けられた」などの使い方で、親しみを込めてよぶ呼び名を意味します。
俗称と通称と愛称の使い分け方
俗称と通称は、どちらも世間一般で呼ばれている名前を指す言葉で、ほとんど違いはありません。
通称は人に対して使いますが、俗称には僧が出家する前の名前という意味があるため、今日では俗称という言葉を人の名前にあまり使いません。
一方、愛称は、人物やペット、キャラクター、建造物、施設など様々な物に対して使うことが出来ます。ただし、世間的に知られている名前ではなく、仲間内などで呼ばれているニックネームであるため、俗称と通称とは異なります。
これらが、俗称、通称、愛称の明確な違いです。
俗称の意味
俗称とは
俗称とは、世間で通っている、正式でない呼び名を意味しています。
また、僧にとって出家を行う前の名前も意味し、これを俗名(読み方:ぞくみょう)とも言います。
そのためか、今日では俗称という言葉は人に対して使うことはせずに、団体名や施設名、物の名前などに対して使われています。
俗称に似た言葉は俗語
俗称に似た言葉に「俗語」があります。これは、日常的に使う言葉や、改まった場面では使わないような言葉を指し、スラングや隠語、ギャル語、若者言葉なども俗語に含まれます。
俗語は本来くだけた場面で使われますが、俗語ではない日本語が海外の俗語に近しい発音となってしまうものに関しては、英語上の表記が日本における俗語になっていることもあります。
俗称の対義語
俗称の対義語・反対語としては、趣のある名前や呼び方を意味する「雅称」(読み方:がしょう)があります。
俗称の類語
俗称の類語・類義語としては、本名または正式な呼び方以外の名称を意味する「別名」、本来の名称以外の名前を意味する「異名」(読み方:いみょう)、世間一般に通用している名前を意味する「通り名」などがあります。
俗称の俗の字を使った別の言葉としては、世俗の煩わしい事柄を意味する「俗事」、世間の煩わしい務めを意味する「俗務」、俗事に執着しないであっさりしていることを意味する「脱俗」、ありふれていてとりえのないことを意味する「凡俗」などがあります。
通称の意味
通称とは
通称とは、正式ではないが世間一般で呼ばれている名称を意味しています。
「通称名」の意味
通称を使った言葉として、「通称名」があります。これは、外国籍を持つ人が日本国内で使用する名前を意味し、一般的には通名(読み方:つうめい)と呼ばれています。
本来、本名ではなく通称名を法律行為に使うことはできず、文書偽造や詐欺罪に問われる可能性があります。しかし、在日外国人は自治体に通称名を登録することで公的手続きに使うこともできます。
例えば、外国籍を持つ人との婚姻届けを出しても戸籍謄本がないため夫婦別姓の状態となりますが、通称名の登録を行うことで法的に夫婦同姓となることができます。
しかし、仮に犯罪を行なってしまったとして、通称名が登録されている場合には犯罪容疑者として本名が報道されない場合があります。また、複数の通称名を使用して携帯電話の契約および転売を行なっていたなど、批判や問題も挙げられています。
通称の対義語
通称の対義語・反対語としては、芸名や偽名、筆名などに対して本当の名前を意味する「本名」(読み方:ほんみょう)があります。
通称の類語
通称の類語・類義語としては、実名を避けて仮につける名前を意味する「仮名」(読み方:かめい)、別の呼び名を意味する「別称」や「異称」があります。
通称の通の字を使った別の言葉としては、世間一般にみられる状態を意味する「通常」、世間一般に通用している説を意味する「通説」、どれにも当てはまることを意味する「共通」、特に変わっていないことを意味する「普通」などがあります。
愛称の意味
愛称とは
愛称とは、親しみを込めてよぶ呼び名を意味しています。
「愛称語」の意味
愛称を使った言葉として、「愛称語」があります。これは、相手を呼ぶときに名前を短くしたり、名前に「ちゃん」や「くん」を付ける呼び方を指す言葉です。
本来は、親しみを込める時や、相手を愛おしむ時に使われる呼び方ですが、相手を見下した言い方になる場合もあります。
また、親しい間柄ではない相手に使ってしまうことで、距離がある関係であったとしても親しい状態を強制することにもつながります。
愛称の類語
愛称の類語・類義語としては、本名とは別に容姿や性質などの特徴から他人が付けた名前を意味する「渾名」(読み方:あだな)、親しみなどを込めて呼ばれる本名以外の名前を意味する「ニックネーム」、名前を付けて呼ぶことを意味する「呼称」があります。
愛称の愛の字を使った別の言葉としては、尊敬し親しみの心を持つことを意味する「敬愛」、人に親しみと愛情を持っていることを意味する「親愛」、全ての人を平等に愛することを意味する「博愛」、好んでいつも使うことを意味する「愛用」などがあります。
俗称の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世間で通っている、正式でない呼び名を意味する時などが挙げられます。
俗称という言葉は「俗に言う」や「俗に呼ばれている」などの表現に置き換えて使うことができます。
通称の例文
この言葉がよく使われる場面としては、正式ではないが世間一般で呼ばれている名称を意味する時などが挙げられます。
例文1のように通称という言葉は人に対して使いますが、俗称という言葉は人に対してはあまり使われないため通称の方が適しています。
愛称の例文
この言葉がよく使われる場面としては、親しみを込めてよぶ呼び名を意味する時などが挙げられます。
上の例文は全て親しみを込めた呼び名を意味していますが、からかうための呼び名も愛称とされることもありますが、度が過ぎた場合は蔑称となります。
俗称と通称と愛称どれを使うか迷った場合は、人以外の呼び名を表す場合は「俗称」を、人や事物の呼び名を表す場合は「通称」を、親しみを込めたあだ名を表す場合は「愛称」を使うと覚えておけば間違いありません。