同じ「ぞくじんか」という読み方の「属人化」と「俗人化」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「属人化」と「俗人化」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
属人化と俗人化の違い
属人化と俗人化の意味の違い
属人化と俗人化の違いを分かりやすく言うと、属人化とは業務などが特定の人に属する状態になること、俗人化とは平凡な考え方や行動をとるようになることという違いです。
属人化と俗人化の使い方の違い
一つ目の属人化を使った分かりやすい例としては、「仕事が属人化していて引継ぎが難しい」「業務の属人化を解消したい」「業務内容によっては属人化も悪くない」「属人化は社内の風通しを悪くする」などがあります。
二つ目の俗人化を使った分かりやすい例としては、「個性を大事にして俗人化するなよ」「聖職者の暮らしは俗人化している」「大富豪の息子なのに俗人化している」「一風変わった奴だったけど俗人化して面白くない」などがあります。
属人化と俗人化の使い分け方
属人化と俗人化という言葉は、どちらも「ぞくじんか」と読み、人にまつわる言葉ですが、意味や使い方は全く異なります。
属人化とはビジネスシーンで使われ、会社において業務などが担当者に属した状態になり、その担当者にしか業務の内容が分からなくなることを意味します。一方、俗人化とは平凡でありふれた人間になること、世間一般の考え方や行動をとるようになることを意味します。
なお、俗人化という言葉は使われることがほとんどなく、ありふれた世俗の人を意味する「俗人」で使われています。また、「属人化」と書くべきところを間違って「俗人化」と書かれることがあるので注意しましょう。
属人化と俗人化の英語表記の違い
属人化を英語にすると「personalized」「individualization」「individual efforts」となり、例えば上記の「仕事が属人化している」を英語にすると「the work is personalized」となります。
一方、俗人化を英語にすると「popularization」「trivialization」「ordinary」となり、例えば上記の「俗人化するなよ」を英語にすると「Don’t be an ordinary person」となります。
属人化の意味
属人化とは
属人化とは、特定の人に属する状態になることを意味しています。
表現方法は「属人化を解消する」「属人化 は悪くない」「脱属人化」
「属人化を解消する」「属人化 は悪くない」「脱属人化」などが、属人化を使った一般的な言い回しです。
属人化の使い方
属人化を使った分かりやすい例としては、「社内の属人化を解消するツールです」「属人化させないような人事の配慮がある」「属人化した仕事の引継ぎは大変だ」「業務の属人化によるリスクを痛感する」などがあります。
その他にも、「担当者が退職することによって属人化の問題が顕在する」「業務の属人化を解消し標準化させたい」「属人化はスペシャリストを生むとも言える」「部長は属人化が悪くないと思っているようだ」などがあります。
属人化という言葉の「属人」とは、その人に属することや、人を基本として考えることを意味します。属人化とはビジネスシーンにおいて用いられることが多い言葉であり、ある業務の進め方や内容が、その担当者にした分からない状態になることを意味します。
業務が属人化すると、その担当者がいなければ仕事が進まない、人によって内容や方法が変わってしまう、業務の引継ぎがしづらい、などのリスクがあります。
属人化の対義語
属人化の対義語・反対語としては、誰もが共通して使用できる一定の基準を定めることを意味する「標準化」、思想や行動を画一的な型にはめることを意味する「規格化」などがあります。
属人化の類語
属人化の類語・類義語としては、特定の人を基本としているさまを意味する「属人的」、個人的なものにすることや個人に応じて変更したり作り変えたりすることを意味する「パーソナライズ」、特定の職域に精通し専門的な知識と能力のある人を意味する「専門家」などがあります。
俗人化の意味
俗人化とは
俗人化とは、平凡でありふれた人間になること、世間一般の考え方や行動をとるようになることを意味しています。
俗人化の使い方
俗人化を使った分かりやすい例としては、「俗人化での没個性となる」「聖職者の俗人化は時代と共に進んでいる」「ヨーロッパ貴族が俗人化する時代だった」「お坊さんの生活は俗人化している」などがあります。
その他にも、「人々を俗人化する社会の流れがあった」「貧富の差は俗人化を妨げる」「資産家の娘なのに彼と付き合ってから俗人化している」「神仏に仕える身ながら俗人化した暮らしだ」などがあります。
俗人化という言葉の「俗人」とは、世俗の営利や栄誉にはしって風流や学問を理解しない人や、俗世間の人を意味します。俗人化とは、他と特に異なっている所がなく平凡な人間になることであり、また、世間一般の考え方や行動をとるようになることを意味する言葉です。
俗人化の対義語
俗人化の対義語・反対語としては、風雅を解する人や風流な人を意味する「雅人」、 無欲で世事に疎い人を意味する「仙人」などがあります。
俗人化の類語
俗人化の類語・類義語としては、広く行き渡ることや全体に通用させることを意味する「一般化」、一般の人々の間に広く行き渡ることや一般大衆のものになることを意味する「大衆化」、僧侶になった者が僧侶であることを捨て俗人に戻ることを意味する「還俗」などがあります。
属人化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある業務を特定の人が担当し、その人にしかやり方が分からない状態になることを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にあるように、業務の属人化は様々なリスクがあるため、ネガティブな意味で使われることが多くあります。例文4のように、基本的にはマイナスイメージのある属人化ですが、企画業務や開発業務など、標準化することが難しく属人化されているのが一般的とされる業務もあります。
俗人化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ありふれた考え方や行動をとる人になること、世間一般の人になることを表現したい時などが挙げられます。
例文4や例文5にあるように、僧侶などの聖職者が一般人と同じような生活をすることを「俗人化」と表現することがあります。
属人化と俗人化はどちらも「ぞくじんか」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、業務などが特定の人に属する状態になることを表現したい時は「属人化」を、ありふれた行動や考え方をするようになることを表現したい時は「俗人化」を使うようにしましょう。