似た意味を持つ「頭ごなし」(読み方:あたまごなし)と「頭越し」(読み方:あたまごし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「頭ごなし」と「頭越し」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「頭ごなし」と「頭越し」の違い
「頭ごなし」と「頭越し」の意味の違い
「頭ごなし」と「頭越し」の違いを分かりやすく言うと、「頭ごなし」とは相手の言い分を聞かずに最初から決めつけた態度をとること、「頭越し」とは間に立つものを差し置いて直接働きかけることという違いです。
「頭ごなし」と「頭越し」の使い方の違い
一つ目の「頭ごなし」を使った分かりやすい例としては、「娘のことを頭ごなしに叱りつける」「私の話も聞かずに頭ごなしに怒られた」「頭ごなしに言われたら素直に受け入れられなくなる」「彼女は頭ごなしに秘書を叱りました」などがあります。
二つ目の「頭越し」を使った分かりやすい例としては、「前の人の頭越しに手紙を渡す」「頭越しに会議が行われた」「入社早々頭越しに部長に直訴した件はみんな知っています」「彼女は課長の頭越しに直接社長にその提案をもっていった」などがあります。
「頭ごなし」と「頭越し」の使い分け方
「頭ごなし」と「頭越し」は当事者の話が聞かれないことは共通していますが、意味が全く異なるので間違えないように注意しましょう。
「頭ごなし」は相手の言い分を聞かずに最初から決めつけた態度をとることを意味しているのに対して、「頭越し」は間に立つものを差し置いて直接働きかけることを意味しています。また、「頭越し」には人の頭上を越して何かの動作をすることの意味があるのも違いの一つです。
「頭ごなし」と「頭越し」の英語表記の違い
「頭ごなし」を英語にすると「without even giving a chance to explain」となり、例えば上記の「彼女は頭ごなしに秘書を叱りました」を英語にすると「She bawled his secretary out without even giving her a chance to explain」となります。
一方、「頭越し」を英語にすると「over one’s head」となり、例えば上記の「彼女は課長の頭越しに直接社長にその提案をもっていった」を英語にすると「She went over the section manager’s head and took his proposal directly to the president」となります。
「頭ごなし」の意味
「頭ごなし」とは
「頭ごなし」とは、相手の言い分を聞かずに最初から決めつけた態度をとることを意味しています。
「頭ごなし」の使い方
「頭ごなし」を使った分かりやすい例としては、「息子のことを頭ごなし叱りつける」「母は私の顔を見ると頭ごなしに怒鳴りつけた」「人の言うことを頭ごなしに否定する」「頭ごなしに否定するのは良くないです」などがあります。
「頭ごなし」の語源
「頭ごなし」の「頭」は身体の部位の「頭」ではなく、最初からを意味しており、「ごなし」は思うままに使うことを意味する「こなす」の連用形です。
この二つが合わさり、相手の言い分を聞かずに最初から決めつけた態度をとることを「頭ごなし」というようになりました。また、「頭ごなし」は基本的にマイナスなイメージでしか使いません。
表現方法は「頭ごなしに否定」「頭ごなしに怒る」「頭ごなしに言う人」
「頭ごなしに否定」「頭ごなしに怒る」「頭ごなしに言う人」などが、「頭ごなし」を使った一般的な言い回しになります。
「頭ごなし」の類語
「頭ごなし」の類語・類義語としては、相手に対して高圧的な態度をとることを意味する「高飛車」(読み方:たかびしゃ)、権力に物を言わせて人を押さえつけようとすることを意味する「高圧的」、人に対して威圧的な態度をとることを意味する「居丈高」(読み方:いたけだか)などがあります。
「頭越し」の意味
「頭越し」とは
「頭越し」とは、間に立つものを差し置いて直接働きかけることを意味しています。その他にも、人の頭上を越して何かの動作をすることの意味も持っています。
「頭越し」の使い方
「頭越しに交渉が行われました」「上司の頭越しに社長に相談する」などの文中で使われている「頭越し」は、「間に立つものを差し置いて直接働きかけること」の意味で使われています。
一方、「後ろの人の頭越しに切符を渡す」「私の頭越しに挨拶をする」などの文中で使われている「頭越し」は、「人の頭上を越して何かの動作をすること」の意味で使われています。
「頭越し」は元々、人の頭上を越して何かの動作をすることの意味で使うのが一般的でしたが、それが転じて、間に立つものを差し置いて直接働きかけることの意味で使われるようになりました。
「上司の頭越しに契約を結んだ」がビジネスでの使い方
「頭越し」は日常生活でもビジネスシーンでも使われています。例えば、ビジネスシーンにおいて「上司の頭越しに契約を結んだ」とすると、本来相談するべき上司に全く相談せずに契約を決めた場合などに使います。
表現方法は「頭越し外交」「頭越しに話す」
上記以外では「頭越し外交」「頭越しに話す」などが、「頭越し」を使った一般的な言い回しになります。
「頭越し」の類語
「頭越し」の類語・類義語としては、その範囲には入らないものとして取りのけることを意味する「除外」、存在価値を認めないことを意味する「無視」、受け流すことを意味する「スルー」などがあります。
「頭ごなし」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の言い分を聞かずに最初から決めつけた態度をとることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「頭ごなし」はマイナスなイメージを持ってる使われることが多いです。
「頭越し」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、間に立つものを差し置いて直接働きかけることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、人の頭上を越して何かの動作をすることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「頭越し」は間に立つものを差し置いて直接働きかけることの意味で使っており、例文4と例文5の「頭越し」は人の頭上を越して何かの動作をすることの意味で使っています。
「頭ごなし」と「頭越し」どちらの言葉を使うか迷った場合、相手の言い分を聞かずに最初から決めつけた態度をとることを表現したい時は「頭ごなし」を、間に立つものを差し置いて直接働きかけることを表現したい時は「頭越し」を使うようにしましょう。